とっておきの名盤 その１１ バルトーク 歌劇「青ひげ公の城」

独グラモフォンはフエレンツ・フリッチャイの素晴らしい才能に惹かれ、１９５０年代に多数、彼の演奏のＬＰを発売している。
彼は多数の名演奏家を輩出しているハンガリー出身の指揮者であるだけに、同郷の作曲家バルトークの作品と非常に相性がいい。
バルトークと一緒に演奏する機会に数回恵まれたこともあるという。
それだけに、バルトークの代表作である管弦楽のための協奏曲、弦楽器・打楽器とチェレスタの為の音楽、ピアノ協奏曲第３番等、どれもが他の演奏家のＣＤに比べてとても相性の良い演奏をしている。
バルトークの代表作のひとつである「青ひげ公の城」のこの盤は、とりわけ素晴らしい演奏だと思う。
他の指揮者の盤では、曲の良さがわからず最後まで聴き通すことは一度もなかったが、この盤を聴き始めたとたん、バルトークの息がかかったような表現の素晴らしさに引き込まれ、最後の一音まで耳を離すことが無かったほどである。
ディートリヒ・フイッシャー＝ディースカウの青ひげ公、ヘルタ・テッパーのユディットもフリッチャイの意図を汲んだ立派な歌唱である。
いつもベストの名盤をいくつか揚げているのだが、この曲に関してはこの盤が唯一私が推奨する一枚である。
・フエレンツ・フリッチャイ指揮、ベルリン放送交響楽団　＜Grammophon>