クラシック 名盤探訪

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この曲この一枚 その5 R.シュトラウス:「オペラ名場面集」

2009年10月06日 | この曲この一枚
  

このアルバムは、R・シュトラウス作曲になる主要オペラからの名場面を手際よくまとめたもので、オペラ職人ホルライザーが腰の据わったいぶし銀の指揮ぶりを発揮している。
中でも素晴らしいのが、ワルター・ベリーとクリスタ・ルートヴィッヒ夫妻の息の合った歌いぶりで、各オペラの魅力的な場面の至極の音楽を、見事に聴き手に伝えてくれている。
まずはオペラ「薔薇の騎士」第二幕フィナーレの場面、オックス男爵が愚痴をこぼしてあれやこれや歌い続けるのだが、背景に流れる有名なワルツの調べがウィーンナ・ワルツの上を行く洗練さに満ちたもので、ベリーの絶妙な歌い回しと合わさって聴く者の心を盛り上げる。
次の二作の場面は、まだ充分にシュトラウスのオペラそのものの良さを知らなかった頃に聴き、夫妻の見事な歌い合いと共にその作品の素晴らしさを、深く教えてもらった事を今でも覚えている。
オペラ「影のない女」の第三幕冒頭の”バラック、わが夫よ”から始まるルートヴィッヒの奥行きの深い歌声には理屈抜きに惹きつけられてしまう。
この場面の音楽は本当に魅力的で、何度聴いても飽きが来ないのには感心させられる。
この作品、シュトラウスのオペラの中でも一番好きな作品、そしてあらゆるオペラの中でも最も好きな作品の一つとなって、今でもディスクに乗せる回数が特に多い。
オペラ「エレクトラ」の”何の用ですか、見知らぬ人よ”の場面も負けず劣らず素晴らしい。
ここでのエレクトラと弟オレストの対話のやり取りは、心理の綾を深く抉る音楽ともども強烈なインパクトを聴く者に与える。
これ以上の褒め言葉は止めにして、早速その場面の一つでも耳にして欲しいと思う「この曲この一枚」ではある。
・ハインリッヒ・ホルライザー指揮、ベルリン・ドイツオペラ管弦楽団、ワルター・ベリー<Br>、クリスタ・ルートヴィッヒ<Ms> <DENON>
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