ハンガリーの名指揮者フリッチャイは1914年に生まれ、1963年に49歳の生涯を閉じているから、若くしてのその死は、惜しんでも惜しみ足りないものがある。
彼はブタペスト高等音楽学校で音楽教育を受け、コダーイやバルトークに師事しているので、それこそ作曲家直伝の教えを受けたことは間違いない。
フリッチャイが最も得意とした領域はバルトークで、「管弦楽のための協奏曲」、「弦楽器と打楽器とチェレスタの為の音楽」、歌劇「青鬚公の城」、「ピアノ協奏曲第3番」などいずれも最高の名演とされている。
それこそ私にとってフリッチャイのバルトークは何時聴いても、民族的な音の響き、テンポ、そして強弱の付け方、全てを取ってみてもバルトークそのものを感じる。
そして何度聴いても、曲の中に新しい発見を感じ取ることが出来るのが嬉しい。
この盤、一緒に入っている「ピアノ協奏曲第3番」のゲザ・アンダのピアノも素晴らしいが、「管弦楽のための協奏曲」はモノラル録音ながら遜色は全然感じられないし、演奏の素晴らしさばかりが私の胸を打つ。
バルトークの良さというか本質を教えてくれた「この曲この一枚」、どうしても外すわけにはいかない。
・フェレンツ・フリッチャイ指揮、ベルリン放送交響楽団 <Grammophon>
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