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妖怪と怨霊の日本史

2006年02月11日 09時20分41秒 | 読書
田中聡「妖怪と怨霊の日本史」

  怨霊も妖怪も幽霊も、それが生まれたのは、人間がそれぞれを意識したときに始まる。恐竜やカンブリア紀の愉快な仲間たちと異なり、人類が誕生する前の古い地層から怨霊の化石を発見することはできないのだ。
 人はどのようにそれを意識しはじめたのか。
 妖怪と名指しはされなかったが、古代から続く概念。これが奈良期に怨霊と別れ、さらに平安期、この怨霊が個人的な内面を持つことによって、幽霊へと進化(?)していく。この変遷がさまざまな怪異妖怪怨霊譚によって語られていく。楽しい。
 著者のあとがきによれば、妖怪のエピソードを通じて古代から現代までの通史を書く野望があるとのこと。是非、平安から中世期の続きも期待したい。

 「鬼とは、心に地獄を作り出した者たちの姿でもあった。」
 能の「鉄輪」にしても、異人としての鬼ではなく、心に地獄を作り出してしまった女だった。

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