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東海道四谷怪談

2010年07月15日 23時10分24秒 | 読書
 夏です。
 夏っていえば怪談でしょう。いやだな、いやだな、こわいな、いやあ、なんか妙だなあ、変だなあ、だってそうでしょう、で、あたし気づいちゃったんです、という常套句が散りばめられる稲川淳二、通称イナジュンの季節。
 こないだ「東海道四谷怪談」に関する原稿を書くことになったので、お岩さんのお墓参りに行ってきました。「東海道四谷怪談」はお岩さんの八面六臂の活躍が有名だけれど、あれは、もともとは忠臣蔵のスピンオフとして企画された芝居でありました。芝居では、だから田宮家はもちろん赤穂ではなく、塩冶家臣。


 場所は巣鴨の妙行寺。お岩さんは、芝居ではああいうふうに描かれていたけれど、実際はずいぶん違うらしい。お岩さんが嫁いだ田宮家は貧しい家だったのだけれど、お岩さんが女中奉公などして家が次第に豊かになり、その家内神のお稲荷さんが近所の評判でよその女の人達が参詣に来た、と。ここらへんからお岩さんの霊力が噂されるようになったのではないか、と思う。



 これがお岩さんのお墓。手を合わせて、あなたのこと書きますけれど大目に見てくださいと、お願い。
 でもね、ここがお岩さんのすごいところだと思う。だって、菅原道真や崇徳上皇について書こうと思っても行かないでしょ、墓参りに。でも、いまだにお岩さんの芝居をやるときに墓参りしなかったから、誰それが怪我したとか、死んだとか、そういう話があるじゃないですか。その力量。
 お岩さんって、他の怨霊とはね、もう全然違うんですよ。天神様として祀られている菅原道真だって、数人祟り殺したと、病気とか雷とかで。でもね、お岩さんってもうそういうレベルじゃないんです。南北の描いた「東海道四谷怪談」でお岩さんが殺した数は18人、しかも手ぬぐいを使って絞め殺したりもしてるんですよ。祟りってえより、普通に殺人でしょ、それ。お岩さんがその手で人を殺した段階で、彼女は幽霊レベルを脱してお化けになったんです。
 先月原稿書いたものなので、深くは書けないんですが、「東海道四谷怪談」って、ものすごく面白いです。芝居を観る機会があればぜひ、いつか忠臣蔵を通しで見た後、四谷怪談を見たら、その裏返しの芝居と裏返しの主題について鶴屋南北について感心するかもしれません。
 でも、そういうこと一切なしに見ても、この芝居面白いんです。昔これを見て、わおわお喜んでいて、こないだ戯曲を読んでまた感心しました。南北、日本文学の巨匠の一人なんじゃないか、と。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
写真に撮って大丈夫でしょうか。 (Nancy)
2010-07-16 03:40:25
古今東西いろいろ怪談はありますが、こういうのは情が絡む日本のが一番恐ろしいし悲しいですね。
雨月物語なんか好きです。
どうかaquiraさんが祟られませんように、、、(笑)
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嘘みたいな話 (aquira)
2010-07-16 20:59:42
 落車しました。
 左胸を強打して、痛いです。
 まさか………
返信する

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