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立川談志遺言大全集2

2006年02月12日 09時48分13秒 | 読書
立川談志「立川談志遺言大全集2 書いた落語傑作選2」

 古谷三敏の「寄席芸人伝」に下ネタばかりやる落語家の話があった。ときは戦前・戦中。下ネタの落語家を文化人たちが反権力だともてはやす。時局が切迫するに連れ、しかし、文化人たちは下ネタではなく、「愛国」だの「七生報国」だの言い出す。当の落語家は相変わらず下ネタを続け、あるときは宮様の前でもやり(今日のはとくに汚ねえなあ、と回りがびっくりするような)、当局にひどい目に合わされる。それでも下ネタを続ける落語家。
 そう、彼の芸は、それで完結しており、それを全うすることこそ芸人魂を貫くことと同義であった。
 偉そうなこと言う人間を、下ネタによって人間の普遍的な部分までひきずりおろす。そこに笑いがあり、また偉さに対する健全な反応の一つと言ってもいいだろう(ルネサンス期の巨人フランソワ・ラブレーを今思い起こした人、あなたは偉い!)。
 常に偉そうなことを言っていた文化人たちが戦後コソコソとし、下ネタを貫いた落語家が堂々としている。だって、文化人たちは偉そうな物言いだけ同じで態度をころころ変えたのに対して、落語家は一貫して踏みとどまったから。
 さて、この2巻には「勘定板」が収録されている。あまり落語全集などには載らない話。枕からキタナイ。この話もふくらませ方、終わらせ方によってキタナサのエスカレーションが限りないだろう。
 「”閑所場”というのもある。つまり静かな処、といことらしい。成程、あそこは静かだ。第一、一人で満員。あまりトイレのダブルとかツインてなァねえや。もっとも中国へ行くと凄えぞォ………」

 と、今週はこの5冊でした。

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