大内村役場として昭和4(1929)年に建てられたRC造の建物。 設計者の更田時蔵の作品というと宇都宮の旧大谷公会堂(旧城山在郷軍人会館)が有名ですが、あちらが大谷石を使った重厚な建物なのに対し、こちらは開口部にアーチを多用し、外壁を白く塗って軽快な印象を高めています。 左手角部は階段室かとも思いますが、2階のハメ殺しの窓にも手すりを付け、バルコニーの手すりから連続させて一体感を演出するなど細かい部分にも配慮を欠かしません。 個人的にはかなりお気に入りの建物です。 栃木県真岡市飯貝478 09年01月中旬
※参考 こちらが旧大谷公会堂(大正15年もしくは昭和4年築)。
※追記 更田(ふけた)時蔵は鳥取県の出身で早稲田工手学校を大正2(1913)年に卒業した第1回生。 同年に飯田徳三郎設計事務所に入所し、後に栃木県内務部土木課建築係に勤務。 一時期、神戸市電気局電気事業拡張工事部で発電所や変電所の設計に携わった後に宇都宮市の設計主任技師に着任したという。 自らの建築設計事務所を開設したのは大正12(1923)年であり、栃木県内の施設をRC(鉄筋コンクリート)造にて建て替える事が目標であったといわれる。 事務所開設直後は横浜市でRCの復興建築も手掛けている(大正12年の関東大震災によるものと思われる)。 参考『栃木県の近代化遺産』
ちよっとアールデコっぽい所もありますが、気に入ったのは1階左角のアーチ窓。大きさがアンバランスなのが、愛嬌たっぷりに思えて仕方がありません(笑)。
そういえば栃木に昭和はじめに建てられたと思われる、インターナショナルデザイン+F・L・ライト風の床屋があったのを思い出しました。栃木って探せば、こういう建物がまだまだ出てきそう(笑)。
ここはネット検索で見つけた時から密かに期待していたのですが、本当に期待通りの建物で私好みでした。
本当は内部も見たかったのですが、開館時間が分からなかった(休館中?)のがとても残念です。
栃木のインターナショナルデザイン+ライト風の床屋ですか。
真岡には遠藤新設計の久保講堂がありますが、そういう雰囲気の建物なんでしょうかね。
そういえば先日、本家ライトのヨドコウ迎賓館を見てきましたが、あれも素晴らしい建物でしたよ。
旧三和町というと今の古河市の一部になるわけですね。
同じような建物というと同一の設計図面で建てられた古いものなのか、
家主がこのデザインを気に入って外観を模倣した新しい建物なのか気になる所です。
明治時代の塩務局の建物などは各地にほぼ似たようなデザインの建物が残っていますが、
果たしてそちらはどうなんでしょうね(興味津々)。