エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

大仏がおわす

2014年01月29日 | ポエム
東京大仏は、東京の北部・板橋区の外れにおわす。
鎌倉、奈良に次いで日本で3番目に大きいと言われている。



乗蓮寺というお寺さんである。
東武東上線の下赤塚駅から徒歩20分程度の距離にある。
すぐ隣が、板橋区立植物園であって、今頃だと「しもばしら」が見られる。



昨日、ぼくは大仏に逢いに出掛けたのであった。
ここの大仏様は、とても柔和なお顔をしておられる。
線香を一束百円で買い求め、手を合わせた。

何を祈ったのかは、秘密である。
だがしかし、人の幸せを祈った事は間違いない。
俗人的な平凡な祈りである。







「卒塔婆の乾いた音や冬のほとけ」







大仏に祈り、その帰り道には冒険家・植村直己の墓に詣でた。
この寺は、植村直己氏の菩提寺である。



手を合わせていたら、卒塔婆がカラカラと乾いた音を立てて鳴った。
ヒマラヤの風のようであった。
或は、植村氏が暖かさを願っているとでも言うのだろうか。



クレパスの中か、或は雪崩れた雪の底辺か、はたまた降り積もった雪の中か・・・。
植村直己の御霊にぼくは想いを馳せたのであった。
ヒマラヤは寒かろう。
だがしかし、その寒さの中にこそ植村氏の御霊は安んじておられるのだろうと思った。

東京大仏は、ただ黙って鎮座しておられる。
柔和なお顔で・・・。



     荒 野人