平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第31回「終焉」~栄華を極めた男の人生の締めくくりとしては、いかにも淋しいものであった

2016年08月08日 | 大河ドラマ・時代劇
 終焉を迎える秀吉(小日向文世)。
 繰り返す言葉は「秀頼のこと頼む」
 ただ、これだけしか言わない。
 遺言状は本多正信(近藤正臣)や石田三成(山本耕史)に言われるがままに書いてしまう。
「哀れ」である。
「諸行無常」である。
 そんな秀吉だが、一瞬、正気に戻る時があった。
 秀吉は信繁(堺雅人)に言う。
「佐吉を支えてやってくれ。あいつは寂しい男でな」
 的確な洞察力だ。
 三成が天下分け目の決戦をすることまでは予見できなかったかもしれないが、自分が死んだ後、三成が苦労することを見抜いている。
 家康が脅威になることも見抜いていた。
「佐吉、家康を殺せ」

 死の床の秀吉が考えていたことは、ひたすら〝秀頼〟のことだったのだろう。
 多くのものを持っているのに、ただ願ったのは、自分の息子の将来。
 権力者であっても庶民であっても、その本質は変わらないのだ。
 いや、むしろ権力者の方が、不幸なのかもしれない。
 何しろ死の直前まで遺言状のことで患わされて、心安らかになれないんですからね。
 多くを持つことは不安を大きくする。
 ………………………………………………………………

 家康は、秀吉から権力を奪うことにあまり積極的ではないようだ。
 積極的なのは、本多正信ら謀臣たち。
 家康は信繁に言う。
「生き延びられれば良いと思ううちにここまで来た。
 いくさは大嫌いじゃ。
 間違いなく勝てるいくさなど、どこにもない。
 戦場で命からがら逃げ惑うのはもうご免じゃ」
 司馬遼太郎の小説や今までの大河ドラマの、狸親父で好戦的な家康とはまったく違った描写だ。
 こうも付け加えた。
「殿下が亡くなられて再び世が乱れては元も子もないのう」
 これらのせりふは家康の本音であろう。

 では、関ヶ原、大坂の陣と続く家康の今後の動きをどう解釈するか?
 おそらく、家康は、ふたたび世が乱れぬために、自分が生きのびるために、豊臣をつぶそうとするのだろう。
 秀頼が大坂城に居座っていると、江戸と大坂で権力が二分し、安寧の禍根になるから、仕方なくつぶす。
 家康は、大坂冬の陣の後、秀頼に大阪城を出て大和に移り住むように提案したらしいですからね。
 豊臣家を普通の一大名にすることで、世の中は安定するし、秀頼の命も助かると考えた。

 家康を〝悪〟としない歴史観ですね。
 主人公の信繁が豊臣側だから、普通は家康を〝悪〟に描きそうなものだが、それをしない。
 だが、一方で豊臣も〝悪〟にしない。
 豊臣側も大義や言い分や美学があり、それに殉じて豊臣は滅びていったとする。
 そんな描写になりそうだ。

 歴史に善悪はない。
 それぞれが自分は正しいと思って争い、死んでいく。
 そこにあるのは、愚かさと哀しさと諸行無常だけだ。
 ………………………………………………………………

 最後は、出浦昌相(寺島進)さま。
 死んでしまったよ。
 でも、ほんとは生きてたってオチ?
 昌幸(草刈正雄)から「信幸(大泉洋)を補助してくれ」と言われて徳川側に行き、本多忠勝(藤岡弘、)にもその実力を認められるって感じかなぁ。
 あるいは、真田家への責任追及を逃れるために、佐助(藤井隆)が出浦昌相になる?
 それと、戦術を教えながら『桃太郎』を孫たちに語る昌幸(笑)
 本当にいくさ大好きな人だなぁ。

 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする