平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ジウ 警視庁特殊犯捜査係~安易な作品づくりはやめよ!

2011年07月30日 | 推理・サスペンスドラマ
 期待していたが、残念。
 これって米倉涼子さんの「交渉人」ですよね。
 伊崎基子(黒木メイサ)と門倉美咲(多部未華子)は、米倉さんの宇佐木玲子を二で割ったような存在。
 宇佐木は戦闘も交渉も両方出来た。
 金髪の少年が物語の縦軸になることも、「交渉人」の真里谷恭介を思わせる。

 まあ、「交渉人」の焼き直しでも、物語が面白ければいいのだが、テンポが悪い。
 前半の人物描写が長すぎる。
 基子と美咲のキャラクター描写なら後半の立てこもり事件の中でやればいい。
 予算が少ないので仕方がないのだろうが。

 ラストの「脱げ」。
 「交渉人」でも同じようなシーンがあったような……。
 また、こういうことで次回への期待を持たせ、視聴率を上げようとする製作側の品性のなさを感じる。
 ドラマはドラマで勝負しろ。
 それから、おそらく美咲ではなく、基子が立てこもり場所に入っていれば、簡単に犯人を逮捕できていますよね。
 背後から迫る犯人を後ろから投げ飛ばして、腕を決めて。
 なのに無理にドラマにしようとして美咲を行かせる。
 無理をして嘘をつくから、リアリティがなくなる。

 このドラマの製作者は、ドラマ(あるいは視聴者)をなめているか、そもそも実力がないのかのどちらかだ。
 もっと面白いものを作るためにキリキリ頭を使って下さい。
 せっかく、黒木メイサさん、多部未華子さんといういい素材があるのにもったいない。


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それでも、生きていく~野茂、できた……

2011年07月29日 | その他ドラマ
 「人って逃げてばかりいると、命より先に目が死ぬ」
 「(向き合って)どう生きるか、どう死ぬかを考えてきた。覚悟した」

 洋貴(瑛太)と双葉(満島ひかり)は、目をそらせてきたものと向き合うことを主張する。
 両親を含めて、彼らが向き合わなくてはならないことは、真実。
 『なぜ文哉は亜季を殺し、今はどう思っているのか?』ということ。
 ここから未来が始まる。
 亜季のことは記憶から消すことはできないだろうが、<フツーの男の子、女の子>になれる第一歩には出来る。

 しかし……。
 真実と向き合うことは、つらいこと。
 やはり目を背けたくなるような悲惨な現実。
 今回は文哉と双葉の出生の秘密が明らかになった。
 これからも真実は明らかになっていくのだろう。
 今までそれなりに安定していた現実は破壊され、どんどん地獄が見えて来る。
 その果てにあるものは何か?

 シナリオとしては、カレーの使い方が上手い。
 文哉を偶然見つけて連れ戻そうとする父・駿輔(時任三郎)。
 だが、彼にそれを思い留まらせたものは、カレーのにおい。
 通常、こういう場面では視覚的な小道具が使われることが多いが、嗅覚を持ってくるとは!

 藤村五月(倉科カナ)。
 彼女はこのふたつの家族のことを記事にしようとしている記者?

 それからラスト。
 野茂の真似をして「野茂、できた……」。
 双葉の心のしなやかさ、柔軟性を示す言葉。
 自分の出生の秘密が明らかになっても、彼女の心は折れない。
 野茂の投球フォームの様にしなやかに跳ね返す。


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愛のむきだし~真実は股間にあり!

2011年07月28日 | 邦画
 盗撮、女装、レズビアン……。
 軽快に描かれる変態の世界。
 でもね、変態だからといって目を背けてはいけない。
 人間誰しも、多かれ少なかれ壊れていて、変態の要素があると思うんですよ。

 主人公ユウ(西島隆弘)にとって、盗撮は<愛>を探し求める行為。
 愛情表現が、盗撮という屈折した形でなされただけ。
 純粋な愛の行為。愛のむきだし。
 だから、それが徹底して行われると、彼の不良仲間が感動した様に崇高なものになる。

 一方、そんな愛を求める行為を阻害するものが、世間の常識であり、道徳を説く宗教。
 ユウが闘うことになる宗教団体・ゼロ教会はその象徴。
 ゼロ教会は、愛を求めるユウを去勢しようとする。
 あたかも世間が<変態>というレッテルを貼って、ユウを変態行為から脱却させようとした様に。

 だが、宗教とは何か?
 ゼロ教会の信者たちが虚ろな目で妄信している様に、ただの幻想でしかない。
 信じる者にはリアリティのある世界だが、信じない者にはデタラメな砂上の楼閣。
 アタマの中で作られた世界。
 作品はそんな幻想に縛られて去勢されている人間を糾弾する。
 もっと自由になって、むきだしの愛情表現をしろと語る。
 それは世間から変態と後ろ指を指されるものであってもいい。

 すべての真実は股間にあり!
 男も女も股間を熱くすることこそが生きることだと作品は語る。
 つまり、愛のむきだし。

 この作品は下半身にこだわる。
 頭の中だけで完結する世界を拒絶する。
 そして、下半身の形而下の世界を形而上まで高める。

 作品のヒロイン・ヨーコ(満島ひかり)とコイケ(安藤サクラ)については、まだまだ掘り下げて考えてみる必要がある様に思う。
 男への嫌悪、世界を破壊し尽くしたい衝動。原罪。
 彼女たちは男を求めている? 愛を求めている?
 その屈折した思いが、たとえば男性のペニスを切り取る行為に繋がっている?

 ハードな世界だ。
 4時間という作品の長さもあるが、見終わるとヘトヘトになる。


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「カラフル」 森絵都~さあ、カラフルな世界に踏みだそう

2011年07月27日 | 小説
 世界との和解の物語である。
 自殺した少年・小林真(まこと)の体に入り込んだ主人公の<ぼく>は、生前の真が見ていたものを見る。

 不倫をしていた母親。
 うわべだけの偽善者の父親。
 意地悪で自分のことしか考えていない兄。
 売春をしているあこがれの女の子。

 これらのことに嫌気がさして、真は自殺をしたのだ。

 一方、体に入り込んだぼくは、客観的にこれらのことを見る。
 たとえば、不倫をしていた母親。
 彼女は「平凡を絵に描いたような人生」を嫌い、「心の奥底で非凡な何か」を求めていた。
 「ただの主婦ではなく、もう一人の、会ったことがない、全く別の自分」を探してみたかった。
 「何も得られないまま老いてていく不安」に耐えられない女性だった。
 その結果が不倫だった。
 主人公のぼくは、母親についてそんなことを理解する。
 誰もが満たされず、孤独で、何かを求めて生きていることを知る。
 嫌悪していた世界との和解だ。

 そんな和解を作品ではこんなふうに表現する。
 「黒だと思っていたものが白だった、なんて単純なことでなく、たった一色だと思っていたものが、よく見るとじつにいろんな色を秘めていた。黒もあれば白もある。赤も青も黄色もある。明るい色も暗い色も、きれいな色もみにくい色も、角度しだいではどんな色だって見えて来る」

 世界は様々な色に満ち、<カラフル>なのだ。
 そのことを理解した時、人は世界を受け入れることが出来る。
 世界はみにくいものかもしれないが、きれいな色もある。角度を変えれば違った色が見えて来る。だから自殺するほど悲観するものではない。
 さあ、<カラフル>な世界に一歩踏み出そう。

 物語のオチについてはネタバレになるので書きませんが、ぼくが真の体に入り込むことが、周囲を客観的に見るという仕掛けになっている。
 苦しんだり悩んだりしている時は自分をなかなか客観的に見られないものなんですね。


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007 死ぬのは奴らだ~優雅で甘いロジャー・ムーアのボンド

2011年07月26日 | 洋画
 ロジャー・ムーアのジェイムス・ボンドって、僕は好きなんですよね。
 甘くて優雅で。
 この作品「死ぬのは奴らだ」は、ロジャー・ムーアがボンドを務めた第1作。
 アクションやストーリー的にはイマイチだが、ロジャー・ムーアのボンドの魅力は溢れている。

 たとえば簡単にダマされる所。
 ニューオリンズの敵の酒場でボンドは二度捕まる。
 1回目は壁が回転して、2回目は床が下に下りて。
 2回目はさすがに警戒したが、ボンドより敵の方が数倍上手なのだ。

 省エネも特徴。
 周囲に飢えたワニがいる沼の小島からボンドはどう脱出するか?
 何とワニの背中をピョンピョン跳んでいって対岸に脱出する。
 ワニを銃で撃ったり、水中で格闘することもない。
 バスルームで毒ヘビが迫っても、アルコール入りのひげ剃りスプレーにライターで火をつけて殺すだけ。
 省エネである。
 派手なアクションがない分、優雅であるとも言える。

 毎回登場するQの秘密兵器も今回は強力な磁石の腕時計のみ。
 ハイテク自動車などは登場しない。
 そして、この腕時計、あまり役には立たない。
 サメとの戦いでは少し役に立ったが、先程のワニのシーンでは、手こぎボートを協力磁石で引きつけようとして失敗(ボートはロープで繋がれていたため)。一番役に立ったのは女性の服のファスナーを下ろす時(笑)。

 優雅と言えば、ラストでこんなシーンがあった。
 例によってボンドガールの女性(ジェーン・シーモア)とベッドイン。場所は寝台列車の個室。
 そこへ敵が襲って来る。
 列車のベッドは折りたたみ式で、寝ていた女性は折りたたまれたベッドと列車の壁に挟まれる。
 その間にボンドは敵を撃退。
 折りたたみベッドに挟まれていた女性は「どうして折りたたまれたベッドから、もっと早く助けなかったよ?」と文句を言うばかりで、敵が襲ってきたことに気づいていない。
 これはなかなか優雅だ。
 何しろ女性は敵が襲ってきたことを知らず、怖い思いをしなかったのだから。

 というわけで、僕は、甘くて省エネで優雅なロジャー・ムーアのジェイムス・ボンドが大好きなのである。
 ショーン・コネリーから始まって、ボンドは様々な役者さんが演じてきたが、比べてみるのも面白いかもしれない。


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江~姫たちの戦国~ 第28回「秀忠に嫁げ」

2011年07月25日 | 大河ドラマ・時代劇
 「養女の縁を切っていただきとうございます」

 江(上野樹里)が結構、闘っている。
 無理矢理、秀次(北村有起哉)に会いに行ったり、秀吉(岸谷五朗)に絶縁状を叩きつけたり。
 史実や歴史のリアリティとしてどうか、とも思うが、やはり主人公は闘わなくては。
 闘うことで、主人公になる。

 だが、その闘う方法は相変わらず。
 無理矢理、誰かに会いに行こうとするのは、江の十八番。
 利休の時もそうだったが、会って話をしても説得出来ない。
 秀吉には軽くいなされる。
 それは江が<兵も政治力も持たないひとりのお姫様>であるためだ。
 何も持たないお姫様であるため、事件の当事者の間をウロウロするばかり。
 ここが、この作品の難しい所。
 
 江が主人公として、歴史に働きかけることが出来るとしたら、秀忠(向井理)と結婚して、徳川という権力を持ってからだろう。
 徳川の兵力・政治力を持って、初めて江は秀吉に象徴される大きなものと対峙することが出来る。
 この点で、現在は第28話ですが、徳川以前に時間を使い過ぎ。
 徳川の妻になる以前の江は、単なる歴史の目撃者でしかない。

 というわけで、今回は秀吉と秀次。
 妄執に囚われ、秀次の幻影に逃げ惑う秀吉の無残。
 秀次の「天はわしを見放した。わしはもう疲れた。わしがいても許される場所にいく」と語る絶望と諦め。
 これらはドラマになっていた。
 感じるものがある。
 秀吉と秀次が幸せだったのは、太閤や関白になった時でなく、上を目指していっしょに闘っていた時だったのだろう。


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夏ドラマは低迷、夏枯れらしい

2011年07月23日 | その他
 今期の夏ドラマについてこんな記事があった。
 以下、リアルライブより。

『テレビ各局の新ドラマが続々とスタートしたが、“夏枯れ”とでも言うべきか大半のドラマがコケてしまった。
 その筆頭がここ数年不振を極め、枠の打ち切り説まで浮上し始めたフジテレビの月9ドラマ「全開ガール」。初回こそ14.6%と好調なスタートを切ったが、第2話は9.8%と早くも1ケタに突入した。
 「このドラマでハッキリと新垣結衣は主演を張れるタマじゃないことが分かった。聞くところによると、有名女優に軒並みオファーをしたが断られたため、一か八かの賭けで新垣を起用。それが見事に外れた形となった」(テレビ関係者)
 なかなか外れがないはずの医療ドラマだが、前の2作が高視聴率を記録したフジの「チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸」は初回が14.2%で第2話が11.6%、日本テレビの「ブルドクター」は初回が13.9%で第2話が10.8%といずれも苦戦。
 「『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』は主要キャストが変わっていないが、専門用語が多すぎてシリーズのファンがついていけなくなったのでは? 『ブルドクター』は主演の江角マキコがもはや何の役を演じても『ショムニ』にしか見えない」(同)
 演技派女優の満島ひかりを起用したフジのヒューマンドラマ「それでも、生きてゆく」は初回が10.6%で第2話が9.2%と“低空飛行”。韓流スターのチャン・グンソクが出演した韓国ドラマをリメイクした「美男ですね」は初回10.9%、松田翔太主演の日本テレビ「ドン★キホーテ」は初回・第2話とも11%台、観月ありさ主演のTBS「華和家の四姉妹」は初回が13.5%で第2話が12.5%と今後さらなる下降が予想されるが、「観月の熱愛報道がまったく“追い風”とならなかった」(芸能記者)。
 そして、大コケしたのが6月のAKB48総選挙でトップの座に返り咲いた前田敦子主演のフジ「花ざかりの君たちへ」。初回から10.1%とつまづき、第2話は6.0%にまで落ち込んでしまった。
 「07年の堀北真希版では小栗旬、水嶋ヒロらのイケメンが脇を固めたが、今回は名前が通ったイケメンがさっぱり。前田は昨年日テレ系の主演ドラマ『Q10』が平均視聴率10.9%と惨敗。制作サイドはAKBファンがドラマを見ると思ったかもしれないが、前田がイケメンに囲まれているドラマなんてAKBファンが見るとは思えないので完全な読み違え」(同)
 まだスタートしていないのはいずれもテレビ朝日系のドラマ「陽はまた昇る」、「ジウ」、「バラ色の聖戦」の3本のみだが、コケないための“戦略”はあるのだろうか?』

 この分析、大方当たっていると思う。
 『全開ガール』や『ブルドクター』が象徴しているが、皆、過去にどこかで見た感じ。
 またか、という感じで、全然新しくない。
 『花ざかり』と『美男ですね』はリメイク。しかも大人の鑑賞には堪えない。
 『チーム・バチスタ』も新作ではあるが、過去のそれほどでもない実績に寄りかかっている。
 現在のテレビドラマは、行き詰まっていますね、企画が。
 安易な企画が多すぎる。
 世の中には、他にもっと面白いものがありますよ。
 現在の体制では、パワーに溢れた新しいものは生まれない。
 既存のドラマの焼き直しのような作品しか作れないプロデューサー・脚本家は、新しい他の人材に場所を譲られたらどうか?

 今期で僕が最後まで見ようと思うのは、『それでも、生きていく』。
 暗いドラマだが、役者さんの演技と、あくまで本格ドラマを作ろうとする製作スタッフの姿勢に共感する。

 現在のテレビドラマに必要なのは、コケない安全策でなく、冒険である。


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それでも、生きていく~彼らが過去から解放される日は来るのか?

2011年07月22日 | その他ドラマ
 「どうして短いスカートを履かせちゃったんだろう」

 第3話での響子(大竹しのぶ)のせりふ。
 響子は15年間、ずっとこの言葉を問い続けて自分を責めてきたんですね。
 言葉を換えれば、過去に縛られてきた。

 そして、この作品の登場人物たちは皆、過去に縛られている。
 洋貴(瑛太)のように「箱に閉じ込める」ことで、向き合わないようにしてきた人間もいるが、これも過去に縛られたひとつの形。
 彼らが解放されるには、今回の響子の様に、ひとつひとつ解決していくしかないのだが、過去に負った深い傷は簡単に癒されるものではない。
 短いスカートを履かせたことは解決したが、たまねぎの皮を剥くように次の疑問が湧いてくる。
 娘が殺されたのが自分のせいでも家族のせいでもないとしたら、「なぜ殺されたのか?」
 永遠に続く過去の呪縛。
 過去は常についてまわり、彼らを苦しめる。
 彼らは、現在を肯定し、未来に生きることが出来ない。

 人間の気持ちを丁寧に追ったドラマですね。
 展開に多少強引で性急過ぎる所がありますが、役者さんたちの演技が凄くて、それ以上に圧倒される。

 演技と言えば、今回は大竹しのぶさん。
 カメラ据え置きの長まわしのカットがふたつある。
 ひとつは、双葉(満島ひかり)とのバス停のシーン。
 ふたつめは、洋貴との台所のシーン。
 通常テレビドラマでは、アップや切り返しなどを行って、カット割りを頻繁にやる。
 長まわしだと視聴者が飽きてしまうからだ。
 しかし、今回は2カ所の長まわし。
 役者さんの演技で、観ている者を釘付けに出来ると監督が考えた結果だ。
 それに大竹さんを始め、満島さん、瑛太さんは見事に応えた。
 今年の大河ドラマに大竹さんは出演しているが、この作品くらいの演技を大竹さんにさせてあげなさいよ、と脚本家・製作スタッフに言いたくなる。

 毎回、僕が絶賛している満島ひかりさんの演技も相変わらず。
 あの表情、体の強ばり、せりふまわし。
 どんどん満島ワールドに引き込まれていく。

 それから彼らが住んでいる農村の風景も。
 あれほど穏やかで美しい風景の中に生きていても、彼らはそれに気づかないんですね。
 彼らが過去から解放される時は来るのか?
 今回、いくつか笑うシーンがあったが、彼らが心から笑える時は来るのか?


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海がきこえる~思春期の心の嵐

2011年07月21日 | コミック・アニメ・特撮
 この作品、 杜埼の視点で描かれているから、ヒロイン・里伽子の気持ちが伝わりにくいんですよね。
 高知に自分の居場所を見出せない孤独、父親のこと、見栄、プライド、恋愛かどうかよくわからない杜崎に対する気持ち。
 落ち込んだり、イライラしたり、悲しかったり。
 実は里伽子の心の中には、思春期のフクザツな嵐が吹きまくっている。
 その渦巻く嵐が里伽子を輝かせ、杜崎や松野は、その輝きに魅きつけられている。

 杜崎と里伽子の距離感が面白い。
 里伽子は杜崎を、唯一<自分を受け止めてくれる存在>だと考えている。
 だから彼にわがままを言い、甘えてしまう。
 しかし、プライドの高さゆえか、一歩踏み出して正直な気持ちをぶつけることが出来ない。
 一方、杜崎も里伽子のことが気になっているが、友人・松野のことなどがあり、距離を縮められない。

 そんなふたりが一歩踏み出すのには時間が必要だった。大人になる必要があった。
 思春期の心の中の嵐はやがて収まる。
 あの時代を客観的に見られる様になる。
 あの時、見えなかったことが見えて来る。
 終盤の同窓会での居酒屋のシーンは、そういうシーンだ。

 見事な青春映画である。
 フツーの青春映画だと、主人公とヒロインはすぐに理解し合い、安易にハッピーエンドになったりするのだが、それがない。
 杜崎たちが大人になる時間を置いた所がいい。
 通常は劇的に盛り上げようとして、主人公はヒロインのもとに走ったりするのだが、そのあざとさがなくて、それがリアル。
 まあ、ラストは吉祥寺の駅で杜崎は少し走りますが。

 それともうひとつの主人公。
 四国・高知の風景。
 アニメの背景で描かれると現実とは違う雰囲気を醸し出す。
 絵画を見ている様な癒される感じ。
 里伽子たちの心の嵐を、風景がしっかり受け止めている様な印象を受ける。

 原作は氷室冴子。
 里伽子たちの気持ちが氷室先生の筆でどの様に描かれているか楽しみだ。
 ぜひ原作を読んでみたい。


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華輪家の四姉妹~姉妹たちは魅力的だが、作品としては平均点

2011年07月20日 | ホームドラマ
 吉瀬美智子さん、貫地谷しほりさん、川島海荷さんが好きな女優さんなのでまさに夢の競演。夢の姉妹。

 役柄もそれぞれの女優さんのキャラクターを活かしている。
 吉瀬美智子さん演じる藤子は、キャリアウーマン。
 貫地谷しほりさん演じる桜子は、コメディエンヌ。
 川島海荷さん演じるうめは、奥手な真面目少女。

 この作品の魅力は、これら女優さんの新しい面を見られる所だ。
 今回の第2話では、泣き叫ぶ吉瀬さん。
 恋人に別れを告げられ、自分の人生の象徴であったトロフィを壊されて、藤子は泣き叫ぶ。
 今まで吉瀬さんが演じてきた女性って、クールで強くて、感情をおもてに出さない女性が多かった。
 そんな吉瀬さんが子供の様に泣き叫ぶ。
 「どうして死ぬほど努力をしてきた私が誰かの一番になれないのよ!」
 これは大きな見所だ。
 藤子の働く編集部が、実際の講談社の社屋を使っているのも面白い。

 物語は、四姉妹が自分を見出していく成長物語になりそうだ。
 これは少し残念。
 既存のテレビドラマの枠を越えていないからだ。
 どうせなら、第1話で竹美(観月ありさ)がセクハラ上司を殴った様な痛快物語や、竹美に三姉妹がメチャクチャ振り回される完全なコメディにしてほしかった。
 変に人間ドラマを入れると、物語が弾まない。
 かと言って、すごい人間ドラマにもなっていないし、どっちつかずの中途半端。

 まあ、可も不可もない、テレビドラマの平均点という作品だ。
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