平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「セクシー田中さん」原作・芦原妃名子さんが死去~原作の映像化について考える。コミックと映像の文体は違う。

2024年01月30日 | コミック・アニメ・特撮
『セクシー田中さん』の原作者・芦原妃名子先生が亡くなった。
 心からのお悔やみとご冥福をお祈りいたします。

 原作の映像化は難しい。
「小説・コミックの文体」と「映像の文体」が違うからだ。

 特にテレビドラマは60分の尺に収めなければならない。
 だから寄り道をしている暇がないし、監督の現場判断でカットされることもある。
『推しの子』でも描かれていたが、
 事務所との関係で下手な役者を使わなくてはならないこともあるし、
 事務所のプッシュで役者の出番を増やさなければならないこともある。
『セクシー田中さん』の場合、うるさい事務所や役者さんはいなさそうですけどね。

 だから自分の作品にこだわりをもつ作家さんは映像化を許諾しない方がいい。
「映像と原作は別物だから映像スタッフにお任せします」と割り切るくらいの方がいい。

 原作は「カルピスの原液」だ。
 作家の個性によって「オレンジカルピス」や「カルピスソーダ」になったりする。
 たとえば『ゴジラ』。
 庵野秀明さんも山崎貴さんも『ゴジラ』という設定を使って自分の世界を作っている。
『クレヨンしんちゃん』『ルパン三世』もそうだろう。
 一方、通常のテレビドラマは「カルピスの原液」を水で薄めたものと言える。
「カルピスの原液」は一般人には飲みにくい。だから水で薄めて飲みやすくする。
 だが原作ファンはそれでは物足りない。

 原作の映像化で成功した作品で思い浮かぶのは──
 映画『砂の器』
 映画『STAND BY ME ドラえもん』
 アニメ『うる星やつら ビューティフルドリーマー』
 アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』
 いずれも橋本忍、野村芳太郎、山崎貴、押井守、宮崎駿といった一流の人たちだ。

 一方、下手なクリエイターに映像化された場合は悲惨なものになる。
 ……………………………………………………………………………………

 さて、今回の一番の問題はどこにあるのだろう?

 日テレにあると思う。
「コミックと映像はまったく別なものであること」を説明せず、映像化権を取るために原作者に期待を抱かせるような契約を結んだことがまずい。
 もししっかり説明していたら芦原先生は許諾しなかっただろう。
 あるいは、
 制作の過程で日テレが原作側とコミュニケーションを尽くさなかったことも悪い。

 そもそもこの日曜22時30分の日テレドラマ枠はトラブルが多い。
『城塚翡翠』でも原作者と揉めて、確か原作者が後半のシナリオを書いていた。
 現在放送中の『厨房のありす』は設定と演出がパク・ウンビンさんの某韓流ドラマに似ている。
 僕は門脇麦さんもパク・ウンビンさんも好きだから残念だ。

 もっともこの枠、『ブラッシュアップライフ』や『3年A組』のような名作もあるのだが……。

『セクシー田中さん』の脚本・相沢友子さんは挑発的なインスタの投稿はまずかった。
 聞く所に拠ると相沢さんと芦原先生は一度も会って話をしていないらしい。
 間に入っていたのは日テレのプロデューサー。
 相沢さんにしてみれば自分の脚本が直されて、9話10話を奪われたことは面白くなかっただろう。
 脚本家として理不尽を感じていただろうし、芦原先生も原作者として同様であったはず。
 ふたりがしっかり話をしていれば、今回のようなことは起きなかったかもしれない。

『セクシー田中さん』は好きな作品だっただけに残念だ。


※関連記事
 「セクシー田中さん」作者・芦原妃名子さん急死。脚本めぐりトラブルか(サンスポ)

コメント (6)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

光る君へ 第4回「五節の舞姫」~貴族社会に疑問を持っているまひろ、道長、直秀、倫子、詮子

2024年01月29日 | 大河ドラマ・時代劇
「わたしはいまだ六位で官職につけていない藤原為時の娘。
 藤原でもずっと格下だから気にしないで」
 ついに素性を明かしたまひろ(吉高由里子)。
 道長(柄本佑)を庶民の男だと思っているからこう言ってしまう。
 道長は複雑な表情。
 面白い仕掛けですね。
 身分が下かと思っていたら相手ははるかに上の人だった。
 そのことが「五節の舞」の時にわかり、
 しかも母を殺した右大臣家の子息であることがわかり……。
 実に見事な作劇だ。
 五節の舞のシーンではいつ気づくのかとドキドキさせられる。
 ショックを受けて舞を失敗してしまうのではないかとハラハラさせられる。
 道長は目をつむって居眠りをしていたので気づかなかった様子。←引っ張るねえ。
 ふたりがぶつかり合うのは次回。
 …………………………………………………………………………

 まひろは身分制度や貴族社会に疑問を持っている。

 かぐや姫の解釈を尋ねられて
「かぐや姫にはやんごとない人への怒りや蔑みがあったのではないかと思います。
 帝さえも翻弄していますから。
 身分の高い低いなど何ほどのことという、かぐや姫の考えはまことにさっそうとしているとわたしは思います」
 このような発言をした背景には「三郎のこと」「道兼のこと」「父のこと」がある。
 身分制度がなければ自分は三郎と恋愛できるし、道兼は裁かれるし、父は官職を得られる。

 貴族社会や身分制度に疑問を持っている人物は他にも。

 ひとりめは直秀(毎熊克哉)。
 散楽で貴族社会をからかい、盗賊をおこない富を貧しき人に分け与え、
「放免に追われるやつは悪いやつなのか?」と問う。

 ふたりめは道長。
 貴族社会で出世することに興味がない。
 逆に父や兄の醜さに嫌気がさしている。
 父が毒を帝に盛ったことを知った時は、そこまでするかと思ったことだろう。
 自分の思いをあまり感情に出さない道長だが、仲間と次の帝について話した時、「毒を盛る」という言葉を発してしまった。

 三人目は倫子(黒木華)
 左大臣の娘だが、自分を権力争いの道具にされるのを拒んでいる。
 貴族社会を完全に否定していないが、倫子は自分の意思で飄々と生きていくのだろう。
 おっとりしているが、たくましい女性だ。
 まひろもそんな倫子のことが気になっている様子。
 父・源雅信(益岡徹)が倫子に甘いのも面白い。

 四人目は詮子(吉田羊)
「人のごとく血を流すでない! 鬼めが!」
 譲位した円融天皇(板東巳之助)、愛した男にひどい言葉を浴びせられてしまった。
 その原因を作ったのが父だと知って激怒。
 詮子は貴族社会の醜さをトコトン思い知ったことだろう。

 さて、これらの人物が絡み合って、どのような物語が展開していくのか?
 ……………………………………………………………………

 まひろは親戚・藤原宣孝(佐々木蔵之介)とこんな会話をした。
「学問とは何のためにあるのでしょう?
 論語も荀子も墨子も人の道を説いておりますのに父上はその逆ばかりなさっておられまする」
 宣孝は答える。
「父上も人だからじゃ」

 人は「理想」だけでは生きていけないんですね。
 現実は「理想」とかけ離れているから、それを諫めるために論語、荀子、墨子がある。
 あるいは、
 人は総じて「醜い」ものだから、「美しい人」を書いた物語が求められる。

 さて、まひろと宣孝、いよいよ距離が近くなって来ました。
 宣孝は大人の世界の考え方を教えてくれる存在。
 愚痴を聞いてくれる存在。
 今後の展開が楽しみだ。

コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「さよならマエストロ」~やはりオーケストラものは面白い! 當真あみさんはぶっ飛んだ天才女子高生役!

2024年01月28日 | その他ドラマ
 日曜劇場「さよならマエストロ」(TBS系 日曜21時)が面白い。
「のだめ」「リバーサルオーケストラ」──オーケストラものにハズレはない。

 物語は市民オーケストラの再建もの。
 残された期間は3ヶ月。
 その中で成長していく楽団員と、集まってくる優秀な演奏者たち。
「リバーサルオーケストラ」と同じやないかい! とツッコミたくなるが、ここはスルーしておこう。

 何しろ今作には「當真あみさん」が出ているのだ!
「最高の教師」で共演した芦田愛菜さんとまたもやいっしょなのだ!
 脚本は當真さんも出演した「妻、小学生になる」の大島里美さんなのだ!

 今回の當真あみさんの役は「ぶっ飛んだ女子高生」谷崎天音(たにざき あまね)役。
 今まで内向的な優等生的な役が多かったのでめずらしい。

 どんなふうにぶっ飛んでいるかと言うと──
・楽譜が読めず、楽器が出来ないのにオーケストラに入団したいと志願する!
・指揮者をやりたいから楽器ができなくても平気でしょ? と言ってのける。

 きっかけは前回の演奏会で、市民オーケストラの演奏する「運命」を聞いたこと。
 それ以来、天音はクラシックの虜になって、クラシックを聴きまくった。
 クラシックで一番好きな曲はヨハンシュトラウス2世の「皇帝円舞曲」。
 ただし、ヨハンシュトラウス2世の「2世」を「によ」と読んでしまう←おバカ!

 しかし彼女は音楽の天才なのだ。
 まず楽器が出来ないのにオーケストラに入りたいと言ってしまう所がすごい!
「運命」をちょっと聴いただけでクラシックの虜になってしまう所がすごい!
 西島秀俊さんの主人公の指揮者に「なぜ指揮者になりたいのか?」と尋ねられると、
「この音楽になりたいから」と答える。
 そして、さらにすごいのが──
「タンタタンタンタン♪」
「ターラターリラリラン♪」
「パパパパパパパパパーン♪」
「タラララントゥラントゥラン♪」
 何と「皇帝円舞曲」を聴いて個々の楽器の音を聞き分けていた!
 聞き分けていた楽器は「チェロ」「ファゴット」「フルート」「オーボエ」。そして「スネア」まで!
 普通の人はまず主旋律に耳が行くのに彼女は副旋律まで聴いていた!
 主人公の指揮者は「彼女は面白い。未来の指揮者になるかもしれない」と語る。

 上手い人物造形だ。天音の天才ぶりがよくわかる。

 主人公の指揮者は「指揮者になるには演奏者の気持ちを理解することが必要」と語って天音に下手でも何か楽器をできるようになることを要求する。
 すると天音はすぐにそれを受け入れて、オーケストラで一番目立っているからという理由で楽器の中でも特に難しい「バイオリン」を選ぶ。笑
 まあ、當真あみさんの特技はバイオリンなので役柄的には大丈夫なんですけどね。

 というわけで、當真あみファンにとっては「さよならマエストロ」は神ドラマ!

 その他、出演するのは──
・ヒロインで芦田愛菜さん
・問題を起こすフルート奏者役で新木優子さん
・トラウマを持つティンパニー奏者役で、「りんくま」こと久間田琳加さん
・謎の行動をとる主人公の妻役で石田ゆり子さん
 これまた好きな女優さんばかりなので楽しみだ!

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「新空港占拠」~テレビドラマは実況ツッコミを入れながら見る時代になったようだ!

2024年01月26日 | 推理・サスペンスドラマ
 ツッコミ所満載! ドラマ『新空港占拠』(日本テレビ系 土曜22時)が面白い!

 最近、僕はタブレットを購入したが、
 タブレットでネット掲示板の「実況」を読みながら見るのに、この作品はうってつけなのだ。
 ネット民たちはこんなツッコミを入れながら『新空港』を見ている。

 櫻井翔さんの演じる刑事が透明ビニールでグルグル巻きにされてダストシュートを滑走すると──
・サクラップ、キター!
・コントやめろwww
・腹痛いwww
・今季NO.1ギャグドラマ!
・完全にふざけて作ってるだろうwww

 櫻井さんの刑事が耐爆防備容器に爆弾を入れて、ふたを手で抑えて爆発を阻止すると──
・手で押さえてるwww
・手で防げるパワーwww
・日テレってバカなのかwww

 人質のパワハラおじさんが水槽に入れられて水責めにされると──
・おっさんの水責めとか誰が見たいんだよwww
・どこから水槽を持って来たんだよwww
・ビッグモーターかよwww

 その他、秘密の脱出口が見つかって、人質が逃げる順番をあみだくじで決めたり、
 逃げる女性空港社長のコケ方がギャグだったり、ともかく面白い!
 ………………………………………………………………………

 櫻井翔さんの主人公の決めぜりふも話題になっている。

 定番は「うっそだろ……?」(嘘だろう?)
 バージョン違いで「ふざけやがって!」「こいつら人間じゃねえ!」

 視聴者は「うっそだろう……?」がいつ出るか、楽しみにしている。

 もうひとつの楽しみは仮面を被った犯人の正体が毎回ひとりずつ明かされていくこと。
「今回は誰だ?」
「あの仮面を被った人はanoちゃんに違いない」
「今回は山谷花純。らんまんの長屋に出てた人か」
「高橋メアリー・ジェーンは決定だな」
 仮面の下から見える口もとでネット民たちはさまざまに推測する。
『大病院占拠』でもそうだったが、これもこの作品の楽しみのひとつだ。
 ………………………………………………………………………

 女優陣が素晴しい!
 僕の好きな人ばかりだ。

 主人公のバディ刑事役で瀧内公美さん!
 僕は『リバーサルオーケストラ』でファンになったのだが、準主役か!
 amazonのCM(バスに乗って街を見ている女性)にも出ていて
『amazon姉さん』とも呼ばれている。
 第2話のラストでは敵の罠にはまってミンチにされそうになっていたが、大丈夫か?

 情報分析官役で白石聖さん!
 演じているのはとんでもなく優秀な分析官。
 一瞬で、防犯カメラの映像を捜査本部に集め、
 一瞬で、あとどれくらいで水槽の水がいっぱいになるか計算し、
 一瞬で、偽装遺書のフェイクを見破る!
 彼女がひとりいれば刑事とか要らないだろう。笑
 ネットではPCのキイボードを打つ彼女の指がきれいだと評判←よく見てるなぁ。

 というわけで『新空港占拠』第3話は27日(土)22時~放送。
 次回は走るのを止めると死んでしまう『殺人ランニングマシーン』が登場するらしい。笑

 テレビドラマは実況ツッコミを入れながら見る時代になった!


※関連動画
 「新空港占拠」第2話ダイジェスト/主演・櫻井翔【日テレドラマ公式】(YouTube)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世相放談!~櫻井よしこ「あなたは祖国のために戦えますか?」 石原伸晃「共産主義的な物言い」で炎上!

2024年01月24日 | 事件・出来事
 世相放談。

1.櫻井よしこ「あなたは祖国のために戦えますか」
 櫻井よしこ氏の発言が炎上している。
 いはく、
「あなたは祖国のために戦えますか。多くの若者がNOと答えるのが日本です。安全保障を教えてこなかったからです」
 この発言に対し、反発する意見が多い。
「あなたは戦場に行くのですか?」「安全な所で見ているだけではないんですか?」
 良いことだ。
 経団連や自民党政治家や櫻井よしこ氏のために死ぬなんてバカげている。

 著名人の言葉も書いておこう。
・クリント・イーストウッド(俳優・映画監督)
「戦争を美しく語る者を信用するな。彼らは決まって戦場にいなかった者なのだから」
・ヤン・ウェンリー(自由惑星同盟提督)
「人間の行為の中で何が最も卑劣で恥知らずか?
 それは権力を持った人間や権力に媚を売る人間が安全な場所に隠れて戦争を賛美し、
 他人には愛国心や犠牲精神を強制して戦場へ送り出すことです」

2.共産主義的な物言い
 ワイドショー・ミヤネ屋で石原伸晃・元衆議員議員と泉房穂・元明石市長がこんな議論をしたらしい。
 自民党の裏金問題の件で、石原氏が政治にお金がかかることを主張すると、
・泉房穂氏
「お金がないのは政治家じゃない、お金がないのは国民。
 国民の生活を救うのが政治なのに、ある意味ポケットにお金が入るようなこと(をしていること)に、国民は不信感を持っている」
・石原伸晃氏
「そんな共産主義的な物言いは、あれだけ『革新市長』といわれていた方なのにと、正直言って私はびっくりしています。そんなきれいごとだけで、世の中は進まないじゃないですか」

 泉氏が『国民の生活を救うのが政治』と当たり前のことを言ったのに
 石原氏は『共産主義的な物言い』と切って捨てたのだ。
 こんな知性の人間が政治家・大臣をやっているのか?
 もっと勉強しろ!
 何でも彼でも『共産主義』で一括りにするな。

 石原氏の頭の中を敢えて解説すればこうだろう。
・共産主義的~すべての人間が幸せになる社会
・資本主義~貧富の格差があるのは当たり前。
      現在は強い者が上に行き、弱い者が下に行く社会。
      すべての人間を救う政治なんてあり得ない。

3.パーティ券裏金問題終結
 パーティ件裏金問題における検察の捜査は終了した。
 今後は検察審査会で検討される。
 これを受けて自民党は「岸田派」「安倍派」「二階派」の派閥解消を決定したが、
 ほとぼりが醒めれば、また派閥をつくるんじゃないの?

 現在、自民党は「政治刷新本部」を立ち上げ、政治資金改革を検討中。
 ここで
・政治資金パーティの禁止
・連座制~秘書や会計責任者がやったことに政治家も責任を問われる。
 まで決定できたら大きな進歩だ。

 連座制になれば「秘書がやりました」は通用しなくなる。
 政治資金パーティが禁止されれば、議員の皆さんも政治に専心できるんじゃないの?
 今までは政治そっちのけで、パーティ券を売ることにヘトヘトだったみたいだから。

コメント (6)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

光る君へ 第3回「謎の男」~まひろ、本領発揮! 姫たちの集いで忖度なく勝ちまくる!

2024年01月22日 | 大河ドラマ・時代劇
 キャラクター造形が素晴しい。
 まひろ(吉高由里子)は和歌は上手いが、絵は下手。
 左大臣の娘・源倫子(黒木華)の姫たちの集いでは本領発揮!
 偏継(へんつぎ)ですべての札をゲット!
 苦い顔のやんごとなき姫様たち。
 まひろ、空気を読んで~! ガチすぎ! 忖度して~!笑
 倫子は皮肉で
「すご~い。まひろさんは漢字がお得意なのね~」
 まあ、まひろはまだ子供ですからね……。
 忖度したり、空気を読むことなどできない。
 オタクだから自分の好きなことは必死でやる。

 物語はそんなまひろがたくましく宮廷社会を生きていくものになるのだろう。

 藤原道長(柄本佑)は字が下手くそ。学問も苦手らしい。
 字が下手というのは史実らしく、残されている道長の筆はどれもひどいものだとか。
 ただ権力を持っていくにつれて字が上手くなっていったらしい。
 これは人格が変わっていく暗示なのか?

 こんなふたりが今回のラストで三度目の回合。
 ついにお互いの素性、身分を明かすことになるのか?
 会えない時間がふたりの気持ちを育んでいった。
 しかし、まひろが道長の素性を知った時、どのような反応をするのか?
 波瀾の展開は次回!
 ………………………………………………………………

「謎の男」については僕はある程度予想がついていた。
・権力をからかう散楽の男。
・放免に不当に逮捕されている民を救う男。
 反権力という点でこのふたりの男は一致する。
 男の名は直秀(毎熊克哉)。
 直秀は道長のことを知っている様だし、今回まひろと道長が出会う橋渡しもした。
 直秀は何者なのか?
 ………………………………………………………………

 宮廷では道長の父・藤原兼家(段田安則)が暗躍。
 毒を盛って円融天皇(坂東巳之助)を譲位に追い込む。
 次は東宮・師貞親王(本郷奏多)が即位して花山天皇になるのだが、
 兼家は花山天皇も早く追い落として、自分の孫の懐仁親王を帝の地位につけたい様子。
 一方、円融天皇も自分の直系を帝にしたいので兼家の提案に乗った。
 だが、政敵もいる。
 左大臣・源雅信(益岡徹)は倫子を入内させようとしている。

 この平安の権力闘争、実に面白い。
 こんな政争の中で道具にされているのは女性たちだ。
 この完全な男社会の中で、まひろ、倫子、詮子(吉田羊)たちは何を思うのか?
 今回、まひろは自分が間者にされていることに納得していない様子だった。
 ………………………………………………………………

 貴族のイケメン四人衆が登場!

 藤原公任(町田啓太)
 藤原行成(渡辺大知)
 藤原斉信(金田哲)
 そして道長。

 芸人のはんにゃ金田さんはイケメンなのか? という声もあるかもしれないが、
 金田さん、いわゆる「平安顔」だよね。
 倫子の黒木華さんもそう。

 貴族のイケメン四人衆。
 今回は「雨夜の品定め」みたいなことをやっていたが、今後の言動が楽しみだ。

 今回は次の展開に移る前振り回だった。
 次回、道長の素性がわかってドラマは大きく動き出すのだろう。

 ………………………………………………………………

※追記
 姫たちの集いの先生・赤染衛門(凰稀かなめ)は著名な歌人。本名不詳。
 中国由来の渡来人系貴族・赤染氏の出身らしい。
 だから漢学に詳しかったのか。
 夫は大江匡衡。
 このふたりの子孫が鎌倉幕府の大江広元であり、そのまた子孫が毛利元就だとか。

 この作品、やたら「藤原」が多い。
 何かで読んだが、名字で「藤」がつく人は皆「藤原氏」の系列らしい。
「加藤さん」「佐藤さん」
 これらの名字が多いのは平安時代の藤原氏の権勢の結果なのだろう。

※追記
 道長を誤認逮捕した男たちは検非違使ではなく「放免」と言うらしい。
「放免」~検非違使配下の者たちで元々は罪人。
     罪を不問にする代わりに検非違使の配下になった。
「鬼平犯科帳」とかでも鬼平の手足となって働く元罪人がいましたね。    
 ちなみに「無罪放免」という言葉はここから来ているらしい。

 検非違使がなぜ放免を使ったかというと、検非違使に任命される者は貴族で、
 貴族は汚れ仕事に手を染めてはいけなかったから。
 前回、道兼も血だらけになったことで父・兼家に怒られていましたね。
 おそらく、この「穢れ」の思想が後の武士の誕生に繋がるのだろう。

コメント (6)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「放浪記」② 林芙美子~私は生きる。何でもいいから生きて働く事が本当の事だと思う

2024年01月20日 | 小説
 林芙美子『放浪記』の2回目。
 前回も書いたが、林芙美子は『放浪記』を出版するまで本当に売れない作家だった。
 彼女の書く詩は自分の心の中に渦巻くものを自由に書いたもの。
 親交のあった萩原恭次郎、坪井譲治、岡本潤らアナーキスト詩人たちから『ダダイズムの詩』だと評された。

 そんな芙美子は日記『放浪記』でこんなことを書いている。

『自分の詩を読んでみる。みんな本当の、はらわたをつかみ出しそうな事を書いているのに一銭にもならない。どんな事を書けば金になるのだ』

『書く。ただそれだけ。捨て身で書くのだ。気取りはおあずけ。
 食べたい時は食べたいと書き、惚れている時は惚れましたと書く。それでよいではございませんか』


『何かをモウレツに書きたい。心がその為にはじける。
 毎日火事をかかえて歩いているようなものだ。私は煙を頭のてっぺんから噴いているのだ』


『みんな自分が可愛いのだ。どなたさまも自分に惚れすぎている。人の事は見えない。
 だから私がいくら食べたいという詩を書いても駄目なの』


『肺が笑うなぞという、たわけた詩が金になるとは思わないけれども、それでも世間には一人位は物好きな人間がありそうなものだ』

『金持ちの紳士が千頁の詩集を出してくれれば裸になって逆立ちしてもいい』

 童話を出版社の博文館に持ち込み、反応がよくなかった時は──

『急いで博文館を出て深呼吸する。
 これでもまだ私は生きてるのだからね。あんまりいじめないで下さい。
 神様、私は本当は男なんかどうでもいいのよ。
 お金がほしくてたまらないのよ。私はねえ、下宿料が払えないのよ。インキだって金がかかるのよ』


『いったいどこまで歩くのだ。無意味に歩く。何も考えようがない』

 しかし、芙美子は負けなかった。無意味でも歩き続けた。
 作家の平林たい子とは無名時代からの友人で、銀座の街を二人でのし歩いた。

『何くそ! 笑え! 笑え! 笑え! たった二人の女が笑ったとて、つれない世間に遠慮は無用だ』

 何だかんだ言って、林芙美子はたくましい。
 そして最後には開き直り、生きていることを肯定する。

『「少女」という雑誌から三円の稿料を送ってくる。私は世界一のお金持ちになったような気がした。
 間代二円入れていく。下宿のおばさん急ににこにこしている。
 手紙が来て判を押すという事はお祭りのように重大だ。
 三文判の効用。生きていることもまんざらではない』


『あれもこれも書きたい。
 山のように書きたい思いでありながら、私の書いたものなぞ一枚だって売れやしない。
 それだけの事だ。名もなき女のいびつな片言(かたこと)』


『私は書けるだけ書こう。体は丈夫だ。果てる時は果てる時だと思っている』

 ……………………………………………………………

 林芙美子の『放浪記』
 ここには「怒り」「嘆き」「涙」「貧困」「絶望」があり、
「生活」「たくましさ」「ユーモア」「小さな喜び」「激励」「希望」がある。

 僕は疲れ果てた時、『放浪記』を読む。
 日記だからどこから読んでも構わない。
 何気なくページを開いて、目に飛び込んで来る言葉を味わう。

 最後は『放浪記』のこんな言葉で締めます。

『クヨクヨしていても仕様のない世の中だ。
 すべては自分の元気な体を頼みに働きましょう。
 私は生きる。何でもいいから生きて働く事が本当の事だと思う』


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「放浪記」① 林芙美子~私は野育ち、誰にも世話にならないで生きて行こうと思えば、オイオイ泣いてはいられない

2024年01月19日 | 小説
 林芙美子の『放浪記』
 森光子さんの舞台で有名だが、実は林芙美子の恨みつらみを書いた日記である。

 発表を目的としていない日記なのでともかく読みにくい。
 人間関係もわかりづらく時系列もメチャクチャだ。
 でもこれが出版されると大衆の心を掴み、ベストセラーになった。
 林芙美子が人気作家になるきっかけにもなった。

 ではなぜベストセラーになったのか?
 それは書かれていたことが林芙美子の「必死な叫び」だったからだ。
 嘘偽りのない本音だったからだ。
 これが日々苦しい生活を送る庶民の心をとらえた。
『放浪記』の中の言葉はすべて『心をえぐる詩』である。

 というわけで、そのいくつかを紹介していきます。
 ………………………………………………………………

 まずは『貧乏』について。
 林芙美子は食べるために、女中、女工、カフェの女給、産婆助手、事務員など様々な仕事をした。
 しかし、どれも長く続かなかった。
 彼女が『生まれながらの放浪者』だからである。
 そして、こんな言葉──

『朝から水ばかり飲んでいる。盗人に入る空想をする。どなた様も戸締まりに御用心』

『私はやっぱり食べたいのです。階下の人達が風呂へ行ってる隙に味噌汁を盗んで飲む。
 神よ笑い給え。あざけり給えかし。ああ、あさましや芙美子消えてしまえである』


『朝から晩まで働いて六十銭の労働の代償をもらって帰る。
 土釜を七輪に掛けて机の上に茶碗と箸を並べると、つくづく人生はこんなものだったのかと思った』


『地虫のように太陽から隔離された歪んだ工場の中で、コツコツ無限に長い時間と青春と健康を搾取されている』

『あぶないぞ! あぶないぞ!
 あぶない不精者ゆえ、バクレツダンを持たしたら、喜んでそこら辺へ投げつけるだろう。
 こんな女が一人うじうじ生きているよりは、いっそ早く、真っ二つになって死んでしまいたい』


『日本の社会主義者よ。いったい革命とは、どこを吹いている風なのだ』

『ヘエ、街はクリスマスでございますか。
 信ずる者よ、来たれ主のみもと……何が信ずる者でござんすかだ。
 イエスであろうと、御釈迦さまであろうと、貧しい者は信ずるヨユウなんかないのだ』


『眼が燃える。誰も彼も憎たらしい奴ばかりなり。
 ああ私は貞操のない女でございます。一つ裸踊りでもしてお目にかけましょうか。
 お上品なお方達よ、眉をひそめて、星よ月よ花よか!
 私は野育ち、誰にも世話にならないで生きて行こうと思えば、オイオイ泣いてはいられない』


『熱い御飯の上に、秋刀魚を伏兵線にしてムシャリと頬ばると、生きている事もまんざらではない。
 沢庵を買った古新聞に、北海道にはまだ何万歩という荒れ地があると書いてある。
 ああ、そういう未開の地に私達のユウトピアが出来たら愉快だろうと思うなり』


 すごいな。圧倒される。
『バクレツダンを持たしたら、喜んでそこら辺へ投げつけるだろう』笑
 エネルギーの塊の林芙美子の言葉は読むと元気をもらえる。
『放浪記』が当時の庶民の共感を得た理由はここにあるのだろう。

 次回は、売れない作家・林芙美子の心の叫びを紹介していきます。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世相を斬る!~能登半島地震、自民党パーティ券裏金事件、松本人志性加害疑惑、ホリエモン、安藤優子

2024年01月17日 | 事件・出来事
 世相を斬る!
 これからは時事問題を簡単にまとめていきます。

 二次被災が次々と起こっている能登半島地震。
 避難所での低体温症、感染症、100人にひとつのトイレ。
 そんな中、議員たちは「国会議員は被災地に行くべきか」で議論白熱。
 与党議員は町で募金活動←他にやることあるだろう!
 首相の被災地訪問は90分。

 自民党パーティ券裏金問題は会計担当者だけが起訴されて終結らしい。
 政治資金規正法が抜け穴だらけの結果だ。
 いい加減「秘書がやりました」「会計責任者がやりました」はやめてほしい。
 いっしょに議員も罪に問われる「連座制」に法改正すべき。

 東京地検もな……。
 昨年あれだけ大風呂敷を広げたのにこの結果。
 起訴までのシナリオができたんじゃないのかよ?
 まあ、シナリオに沿って捜査することは冤罪に繋がるので避けなくてはいけないんだけど。
 
 ホリエモンは自民党のパーティ券裏金を小さなことと発言。
「東京地検特捜部も巨悪がなくなって存在意義が薄れやしないかと必死に重箱の隅を突いている感じはするよね。五輪疑獄も無理矢理感あったもんなぁ」
 そんな堀江貴文氏。
 インボイスの時は非課税業者を「盗っ人」「脱税」と批判していたくせに。
 ダブルスタンダード。
 この人、ほんと上の連中にはペコペコするよな。笑
 こんな堀江に「そうだ。そうだ」と同意して、自分も強者になった気になっているバカもいる。

 松本人志性加害疑惑。
 コメンテイターの安藤優子氏は14日ワイドナショーでこんな発言。
「密室の中の出来事で、当人しかわからないことだから第三者が何かを語ることは避けた方がいい」
 おいおい、当人しかわからないことでワイドショーは面白おかしく扱って来たじゃないか。
 たとえば広末涼子さんの不倫とか。
 ダブルスタンダード。
 内輪に対しては甘い。
 これからは不確かなことには何もコメントするなよ。

コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

光る君へ 第2回「めぐりあい」~「お前は誰なんだ?」で始まる恋! 身分など関係ない恋!

2024年01月15日 | 大河ドラマ・時代劇
 今回の大河ドラマは恋愛ドラマだった。

 まひろ・紫式部(吉高由里子)と三郎・藤原道長(柄本佑)。
「まひろ、お前は誰なんだ?」
「三郎こそ誰なのよ?」
 お互いの素性を知らない恋。
 身分など関係ない恋。
 つまり純粋な人と人の恋。

「三郎は名前しか書けないから偉くなれないか。はっはっはっ」
 この笑い方にハマった!
 吉高由里子さんの作品はいろいろ見て来たが、吉高さんの演じる女性はすべて魅力的だ。
 平安時代の元服の年齢は12歳~16歳、平均で13歳らしいから、今のメイクは幼い感じ。
 等身も子供体型にしているように見える。

「お前は誰なんだ?」で始まった恋。
 お互いの素性があきらかになった時、哀しい恋になるのだろう。
 特にまひろには三郎の兄・道兼(玉置玲央)との確執がある。
 家の格も違いすぎる。

 もうひとつの恋愛は藤原詮子(吉田羊)と円融天皇(板東巳之介)だ。
 といっても、ふたりの関係は恋愛ではない。
 政治的な動機でつくられたものだ。
 求愛の歌を送った詮子に帝は言う。
「汚らわしい! お前は親王の母として生きよ」
 詮子は帝に思いを残しているから、拒まれてつらい。
 まひろと道長の関係を見ていると、詮子のつらさが一層伝わって来る。

 脚本の大石静さん、さすがベテラン!
 まひろと詮子を対照的に描いて、上手い語り口だ。
 ………………………………………………………………

 対照的なまひろと詮子はこんなことでも描かれた。

「この世に楽しいおなごがいるのか?」
 代筆屋の仕事が楽しいと語るまひろに道長はこう言った。
 道長は政治に利用された姉・詮子の状況を知っているから、まひろに驚く。
 この前に詮子は道長に
「この世の中に幸せな女なんかいるのかしら」
 と愚痴をこぼしている。

 一方、まひろも楽しいだけの女性ではなかった。
 代筆をやっていることを父親に咎められると、
「あそこは私が私でいられる場所なのよ! あそこにいれば私は六年前のこと忘れられる」
 と語る。
 明るいまひろも苦しみを抱えていたのだ。

 これまた上手い語り口だ。
 歌や文の代筆から『源氏物語』へ。
 まひろは自分の中に渦巻くさまざまな思いを昇華するために『源氏物語』を書いていく。
 そんなまひろを詮子は応援していくのだろう。
 まひろの書くものに慰められて、早く続きを読ませてほしいとせがむのだろう。


※追記
 絵師の役は三遊亭小遊三師匠。やはり語りに味がありますね。

※追記
 履き物によって再会するまひろと道長。
 ネット民はこれを「シンデレラ」と喝破。
 別のネット民は中臣鎌足と中大兄皇子の出会いの故事が元ネタではないかと指摘。
 中臣鎌足は藤原家の始祖。
 鎌足が蹴鞠で飛ばした履き物を中大兄皇子が拾ったという故事があるらしい。
 やはりネット民の分析力はおそろしい。

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする