平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

八重の桜 第17回「長崎からの贈り物」~たとえ光を失ったとしても銃を知るこの手がある

2013年04月29日 | 大河ドラマ・時代劇
 今回はせりふでストーリーを追っていきます。

★「都の要石がはずれた」
 孝明天皇(市川染五郎)の死を知った覚馬(西島秀俊)の言葉ですが、上手い表現ですね。
 これで影でうごめいていたものが動き出す。
 覚馬は実際にグラバー邸で薩摩と長州が同席しているのを目撃するし、今回の後半では岩倉具視(小堺一機)の動きも。
 この作品が非常に抑制が利いているのは、<会津視点>にこだわっている点ですね。
 影でうごめく者たちの描写も、今回のグラバー邸のようにあくまで覚馬視点で描かれる。
 会津視点では追い切れない岩倉具視などの描写は短い時間でサラリと。
 主人公の八重(綾瀬はるか)に至っては、遠い会津の地にいて、世の中の情勢からははるかにかけ離れている。
 主人公が都に行って情勢を目の当たりにするなんてことを決してしない。(『江』とかはしてました……)
 この抑制の利いた筆は、歴史描写としては正しいのだけれど、物語のダイナミズムには欠ける。
 どちらが好きかは視聴者の好みの問題ですが。

★「たとえ光を失ったとしても銃を知るこの手がある。学んだ知識や身に染み込んだ魂を会津のために使えばいい」
 失明を知らされて自棄になった覚馬への神保修理(斎藤工)の言葉。
 <手><知識><見に染み込んだ魂>
 そうですね、人は自分に与えられたものすべてを使って生きていけばいいんですよね。
 何かが欠けたり、欠けていたりするのは当たり前のこと。
 貧乏な家に生まれてお金のない所からスタートしなければならない人もいるだろうし、事故で歩けなくなってしまう人もいる。
 しかし、持っていないことや失われたものを嘆くのではなく、それらを補う方法を見出して全力で生きていく。
 その姿は美しくて崇高。
 実に気高い。
 実際、視覚を失った覚馬が今後どう生きていくか楽しみです。

★「よくやってくれた」
 国禁を犯したドイツの商人カール・レーマンに会いにいった田中土佐(佐藤B作)にかけた、容保(綾野剛)の言葉。
 容保と言えば、「ならぬものはならぬ」の頭のかたい融通のきかない人だと思っていましたが、こういう柔らかい面も持っていたんですね。
 何の澱みもためらいもなく、この言葉をサラリと言った容保に名君の風格を感じました。
 一方、自分がしたことを正直に話した土佐も見事。
 いい主君関係だと思います。

 覚馬にしても、容保にしても、土佐にしても、会津の人間は背筋がピンと伸びて<私心>がないんですよね。
 上に昇りたいという野心もないし、お金や美女を手に入れたいという欲望もないし、家族に会いたいという普通の欲求さえ抑えてしまう。
 彼らが人間として面白いかと言えば、?がついてしまうのですが、これが脚本・山本むつみさんの美学なのでしょうか。
 逆にもっと俗っぽい人間が出て来てもいい気もする。

 それにしても、この作品は溜めに溜めまくりますね。
 史実なので仕方がないのでしょうが、もし今回、覚馬が会津に戻って家族と対面していたらそれなりのドラマになっていたはず。
 しかし、それをしない。
 対面は戊辰戦争の時になるのでしょうが、それまでドラマを溜めている。
 やはり筆が非常に抑制されていますね。

★「覚馬さんが戻れないはずだ。こうした銃を西国諸藩が大量に買い入れているなら、いくさの火種はもはや長州だけではない」
 スペンサー銃を見た時の川崎尚之助(長谷川博己)の言葉。
 銃を見て無邪気に喜ぶ八重とは対照的に、尚之助はひとつの銃からこんなことを読み取っている。
 八重の弟・三郎の「丘の上から城が見渡せる」という言葉にもすぐに反応。
 何という洞察力!
 一方、八重は素朴で目の前の出来事に一喜一憂するばかり。
 もともと大河ドラマで女性を主人公にすることは難しいのだが、「八重の桜」の場合は先にも述べた<抑制の利いた描写>であるため、主人公の影が薄くなってしまっている。
 まあ、これも物語の溜めで、戊辰戦争になった時に八重が主人公として爆発するのでしょうね。


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潜入探偵トカゲ~蓮佛美沙子、ミムラ、吉田里琴……女優さんで第2話を見てみた!

2013年04月26日 | 推理・サスペンスドラマ
 昨日放送していた『潜入探偵トカゲ』第2話。
 この作品を女優さんで見てみてみよう!
 トカゲ(松田翔太)の助手の香里役の蓮佛美沙子さん。
 蓮佛さん、いい感じですね。
 助手として一生懸命だったり、トカゲの自分への扱いがひどくて怒ったり、しっかりコメディエンヌしている。
『Q10』で見て以来、雰囲気のある女優さんだなと思っていたので、その活躍は嬉しい!
 少し前なら、こうした役は仲里依紗さんがやっていたのでしょうが、顔立ちも似ている。
 出産休養中の仲さんに代わって同ポジションを確保出来るかも。
 一方、役柄としては、同じ助手という役まわりで『ガリレオ』の岸谷美砂(吉高由里子)と被ってしまうのが難点。
 そして、岸谷美砂の方が<吉高由里子節>全開という感じで、美砂と比べると、香里はちょっと大人しい。
『トカゲ』はかなり突飛な設定なので、もっと弾けてもいい気がします。

 そう言えば、『トカゲ』は脚本が橋本裕志さんで、『ガリレオ』は福田靖さんなんですね。
 ある意味、脚本家対決でもある。

 刑事・槙原洋子役のミムラさんもいい感じ。
 ドラマのプロデューサーが、こういうキリリとした女刑事をキャスティングする時、名前があがるのはきっとミムラさんでしょうね。
 本仮屋ユイカさんとかだと女刑事としては少し頼りなくて弱い感じになる。
 そして、おそらくミムラさんがこうしたキャリアを重ねていけば、将来は、『アンフェア』の篠原涼子さん、『ストロベリーナイト』の竹内結子さんになるかも。
 いい作品に恵まれてぜひそうなってほしいです。

 有望な新人女優さんを探すのもドラマを見る楽しみ。
 特に今期は学園物が多いので、たくさん目を引く逸材がチラホラいる。
 昨日の『トカゲ』では学園のいじめ女生徒・志田花音役の吉田里琴(よしだりこ)さん。
 端役ながらインパクトがあったので公式HPで調べてみると

「ハガネの女 season2」菊田真理衣役(2011.4~)
「水戸黄門 第43部」お里役(2011.8.15)
「京都地検の女7」第7話 岡崎葵役(2011.9.1)
「運命の人」最終話(2012.3.18)
「家族のうた」第4話 桜木陽菜役(2012.5.6)
「リーガル・ハイ」第8話 安永メイ役(2012.6.5)
「ビューティフルレイン」 松山菜子役(2012.7~9)
「レジデント~5人の研修医」第3話 斉藤マヤ役(2012.11.1)
「夜行観覧車」村田志保役(2013.1.18~)
「映画 ひみつのアッコちゃん」加賀美あつ子役(2012.9.1公開)

 など、各話出演も多いが、なかなかのキャリア。
 吉田里琴さん、注目ですね!

 というわけで、昨日の『トカゲ』第2話は女優さんで見てしまいました。
 トップを走る人気女優さんを見るのもいいのですが、これからの才能ある女優さんを発見し、応援するのが、マニアな見方かな、とも。

 そうそう、そう言えば昨日の『トカゲ』には校医の雨宮麻紀役の西田尚美さんも出演されていましたね。
『瑠璃の島』『Q10』、いずれもお母さん役をやられていましたが、西田さんも大好きな女優さんです。

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八重の桜 第16回「遠ざかる背中」~「もののふのまことは義の重きにつくことにある」

2013年04月22日 | 大河ドラマ・時代劇
 孝明天皇(市川染五郎)は容保(綾野剛)に語る。
 自分は容保から「もののふのまことは義の重きにつくことである」を学んだと。
 容保にとって孝明天皇は最大の理解者だったんですね。
 義にこだわった容保のことを正しく理解している。
 こんな理解をしてくれたのは孝明帝だけ。
 長州はもちろん、味方であるはずの幕府までもが会津のことを悪く言っている。
 周囲が不理解者ばかりの中、容保にとっては最高に嬉しい言葉であっただろう。

 一方、この孝明帝の言葉は、慶喜(小泉孝太郎)や薩摩を意識して、揶揄した言葉でもある。
 なぜなら慶喜も薩摩も考えているのは自分の利益のことばかりで、少しも〈義〉に生きていないから。
〈義〉に生きることが正しいかどうかは別の問題として、うまい作劇ですね。
 今回の京の都パートは〈義〉というテーマで貫かれている。
〈義〉の会津と〈不義〉の慶喜・薩摩。
 一見バラバラの史実を扱っているようだが、しっかりひとつのテーマで描かれている。
 それは一篇の見事な短編小説を読んでいるかのよう。

 会津パートは〈女のいくさ〉。
 うら(長谷川京子)は、娘のために火事の中を走り、ある時は厳しく、ある時は愛情をもって娘を育てる。
 これぞ女のいくさ。
 会津パートではないが、二葉(市川実日子)は出産という「女のいくさ」をする。
 この出産にあたっては、難しい政治の話をしている平馬(池内博之)も覚馬(西島秀俊)もオロオロするばかり。
〈女のいくさ〉が子育てや出産という女性観は、現代の女性から批判も出そうだが、当時の女性からしてみれば当然の考え方であったのだろう。
 またNHKの公式HPに拠れば、二葉は明治の世になると教育に人生を捧げる進歩的な女性になるらしい。
 二葉の心のドラマは今後も展開されそうですね。
 一方、八重(綾瀬はるか)の〈女のいくさ〉は前の二人とは違っている。
 戦うのは、中野竹子(黒木メイサ)←実に凛々しい!
 剣・薙刀VS鉄砲!
 八重の戦いは男性的ですね。八重らしいと言えば八重らしいけど。
 というわけで、今回の会津パートのテーマは〈女のいくさ〉でした。

 最後に佐川勘兵衛役の中村獅童さんと孝明天皇役の市川染五郎さん。
 やはり歌舞伎の役者さんは独特の雰囲気がありますね。
 今回のおふたりのアップの顔などは、見得を切っているような歌舞伎調で実に風格があった。
 獅童さんの槍の舞も。
 逆に岩倉具視役の小堺一機さんなんかは、先入観かもしれませんが、やはり軽く、風格からはかけ離れている。
 もっとも、そういう小堺さんのキャラクターゆえにキャスティングされたのでしょうが、凛々しい黒木メイサさんの登場といい、キャスティングの妙を今回感じました。


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めちゃイケ! 期末テスト~AKBセンターバカは川栄李奈! キンタロー。はともちんに無視される!

2013年04月21日 | アイドル
 昨日の『めちゃイケ!』め茶の水女子第48高期末テスト、ここにはバラエティ番組のあらゆる基本が詰め込まれている。

★スキャンダル
 スキャンダルは、何だかんだ言ってみんなが一番大好きなもの。
 そのスキャンダルでイジられていたのが、さっしー(指原莉乃)とみーちゃん(峯岸みなみ)。
 なぜ博多に移動になったかを執拗に尋ねられるさっしー。
 さっしーはそれに答えて「写真を(週刊誌に)売られたからです!」(笑)
 これを受けて岡村先生「悪いのは週刊誌ではありません。変な男を選んだあなたが悪いんですよ」(笑)
 そして、さっしーが言わされた言葉が「わたしはさしこで、させ子ではありません!」(笑)←いいのか? こんなこと言って……。

 みーちゃんは丸坊主事件。
 被らされていたカツラをみーちゃんが外そうとすると岡村先生「カツラを取ってはいけません! めちゃイケがYoutubeでしか放送できなくなります」(笑)
 そして言わされた言葉が「わたしはハゲではありません! ベリーショートです!」(笑)←いいのか? こんなこと言って……。

★テンドン
 一度ウケたギャグを繰り返すことを<テンドン>と言うらしいが、キンタロー。さんとともちん(板野友美)のやりとりはまさにそれ。
 キンタロー。さんがモノマネをすると、ともちんは無表情で不機嫌な顔。
 するとキンタロー。「ともちん、笑って」(笑)
 このやりとりは大爆笑で、数回繰り返された。
 ともちんも演技でやってるんだろうけど、こういうのを見てると「板野友美って、クールで独自のスタンスを持っていて、カッコイイなぁ」と思ってしまう。
 それから芸人キンタロー。を封じ込めるには、このようにリアクションしないことだということがわかる。
 今後も別の場所で、このやりとりを見てみたい。

 テンドンのふたつめは『フライングゲット』。
 テストの成績で勝つとキンタロー。さんが大島優子さんに見せつけるように『フライングゲット』を踊る(笑)
 大島さんが勝つと、今度は大島さんがキンタロー。さんに『フライングゲット』(笑)
 みーちゃんがすごい答えをすると、これまでの鬱憤を晴らすように『フライングゲット』(笑)
 キンタロー。さんの貢献が大きいが、『フライングゲット』がこんなふうに使われるようになるとはねー。
 レコード大賞を獲った曲でもあるし、しっかりAKBの代表曲になった。

★順位
 順位を競うのもバラエティの基本。
 AKBの中で誰が成績が良くて、おバカなのかはみんなが知りたい所。
 過去二回の『めちゃイケ!』の試験で実績を残したこじはる(小嶋陽菜)が「わたしはこの中では中の下です」と宣言したから、こじはる以上のおバカは誰なのか? という興味が高まる。
 そして、こじはる以下の成績を取ったのは、総監督(高橋みなみ)!!
 これで総監督の権威失墜!? みんながバカにして、誰も総監督の言うことを聞かなくなる!?
 そして、こじはる、総監督にだめ押しのひと言、「私いつも、たかみなのことバカだと思ってたんですよ」(笑)

★スター誕生
 過去、この『めちゃイケ!』のテストでは、重盛さと美さんなど数々のスターを生み出してきた。
 そして今回注目を浴びたのが、りっちゃんこと川栄李奈。
 AKBヲタだと『子兎道場』などで、りっちゃんが最下位になるのはある程度予想してたんですけどね。
 一般にはあまり知られていない川栄李奈がキャスティングされたのは、そういうことだと思うし。
 さて、そんなりっちゃんの解答はこんな感じ。
〈踏み絵〉の解説をする社会の問題で「家に入る前に足を洗っている」(笑)
〈アルハラ=アルコールハラスメント〉を解説する社会の問題で「男の人が急にアルパカをたたいた(強め)」(笑)
〈knee〉を和訳して「カニ」(笑)
〈Haste makes waste(急がば回れ)〉の和訳では、「ハステとワステが仲良く作った」(笑)
〈会いたかった〉を英訳して”AITAKAATA SHE AND HE”(笑)
〈味をしめる〉を使って文章を作る国語問題で「炭酸が抜けるから味を占める」(笑)←本人は「蓋を閉める」のつもりだったらしい。
〈エジソン〉の説明では「アメリカ人は99%の電球で出来ていると唱えた人」(笑)
 うーむ、やはりりっちゃんは偉大だ。
 特に「アルハラ」の答えで、(強め)とつけ加えている所がいい。
 そして、自分が大差をつけて最下位だということが告げられると、歴史的な名言「ウソだろうが!?」(笑)
 新たなスター誕生の瞬間である。

★ディティル
 舞台装置のディーテールも楽しさのひとつ。
 壁には習字が貼ってあって、『反省 峯岸みなみ』、『博多へ 指原莉乃』、『ひるおび! 柏木由紀』、『お局 篠田麻里子』、『三度目 小嶋陽菜』『前髪命 渡辺麻友』といった文字が並ぶ(笑)
 おまけに大きな額縁には、『恋愛禁止(バレなきゃOK)』(笑)

 というわけでバラエティのあらゆる要素が詰め込まれた今回の『めちゃイケ!』学力テスト。
 今回は川栄李奈がフューチャーされたが、48グループにはまだまだ人材はいる。(たとえば今回おとなしかったNMB48の山本彩さんなんかももっと掘れば面白いのに……)
 ぜひ第二弾、三弾をやってほしいものです!


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みんな!エスパーだよ!~超能力があったらどんなことに使うか?

2013年04月20日 | 学園・青春ドラマ
 もし超能力があったらどんなことに使うか?

・喫茶店のマスター・輝光(マキタスポーツ)はスカートめくりに使う(笑)
・主人公・鴨川嘉郎(染谷将太)は、そんな輝光たちの魔の手からヒロインたちを守るために使う。
・謎の教授(安田顕)とその助手・秋山(神楽坂恵)は世界平和のために使う。

 以上のことを人間心理でカテゴライズすると
・スカートめくりに使う→人間の動物的・原初的欲望
・ヒロインを守ることに使う→一般感覚・常識
・世界平和に使う→理想・イデオロギー
 みたいなことになるだろうか?

 そして、この作品を見ている視聴者は主人公・嘉郎の立場に立ちながら、この3つの選択肢を揺れ動く。
「確かにスカートめくりに使いたいよね」
「いやいや、それはダメでしょう」
「偽善者、もっと自分の欲望に素直になれよ」
「君たち、そんな低次元の議論はやめたまえ。せっかく与えられた力は人類の改革・世界平和のために使うべきだ」

 この3つの選択肢のうち、最後の〈世界平和のため〉っていうのが、モチベーションとしては一番弱いかな。
 それはスパイ映画などに出てくる国家レベルの話で、日常からはかけ離れている。
 理想やイデオロギーといったものが喪失して、何が正義なのか、正しい行動なのか、わからない状況だし。

 一方、モチベーションとして一番強いのは、〈スカートめくりに使う〉という選択。
 これは仕方がないね、〈種の保存〉というのは生物のDNAにすり込まれた根本的なものだと思うし。

 というわけで、『みんな!エスパーだよ!』はお下劣でありながら、人間というものを深くえぐり込んで描いた作品なのです。
 比較してみると、たとえば『ラストシンデレラ』(木曜10時・フジテレビ)の篠原涼子さんが演じる主人公は次のようなことに悩んでいる。
「今までは仕事を友達だと思って生きてきた。でも、このままおっさんみたいに朽ち果てていっていいのか? よし、男を作る! でも、どうやって作る? 気づいたら恋の仕方を忘れてた」
 この主人公の悩みって、実は浅くて表面的。
『みんな!エスパーだよ!』の義郎が一般感覚・常識のレベルで悩んでいるのと同じ。
 だからドラマとして退屈で、どこかで見たようなドラマにしかならない。

 低迷しているテレビドラマを活性化するひとつの方法論が、『みんな!エスパーだよ!』には示されている。


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家族ゲーム~監禁・ゲーム・嘘メール・暴力……見ていてつらい問題作

2013年04月18日 | ホームドラマ
 体罰が社会問題となっている現在、よくこの作品をやりましたね。

「こんな世界にも希望はある。でもな。現実は、お前が思ってるよりよっぽど残酷なんだ。だから強くなれ」
 茂之(浦上晟周)を強くするために、吉本荒野(櫻井翔)は〈負荷〉をかける。
 賭け勝負・監禁・嘘メールで友達を信頼させておいていきなり梯子を外す……。
 それらは茂之が学校で受けていたいじめなどよりはるかに思い負荷。
 より強い負荷をかければ、学校でのいじめの負荷など跳ね返せるようになるというわけだ。

 だけど、こんなやり方でいいのだろうか、と僕は思ってしまう。
 たまたま茂之は強い子で、吉本も茂之なら大丈夫だと考えて負荷をかけたんだろうけど、親友の園田の言葉を信用して学校に行ったら、いきなり「俺があんなコメントすると思うか? 全部家庭教師の仕業だよ」なんて言われたら精神が崩壊しますよね。
 茂之はそれを怒りという形で吉本にぶつけたからよかったけれど、弱い子なら、その場で自殺してもおかしくない。

 僕はつらい現実があったら逃げろという立場なので、やり方としては『35歳の高校生』の馬場亜矢子(米倉涼子)のような、となりにいて〈寄り添ってあげること〉の方が好きですね。
 吉本がやっていることは、柔道の体罰コーチがやっていることと同じ。
 というより体の痛みでなく、精神的に痛めつけている分、より陰湿。
 痛めつけている対象が子供だから尚更つらい。
 この作品の製作者が、「現在の体罰批判の風潮は間違っている」と主張したいのならいいのですが、果たしてそこまで考えてこれを作っているのかどうか?

 物語としては『家政婦のミタ』を意識した家族の再生もの。
 頭のおかしな家庭教師がやって来たというホラー物であるのなら、ホラー物として見ればいいのでしょうが、作品の狙いは違うようです。


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ガリレオ 第1話~科学と宗教をテーマにした秀作

2013年04月16日 | 推理・サスペンスドラマ
 地震学の学者が地震のメカニズムを解明して、防災学の学者が地震対策を練る。
「ガリレオ」の場合は、湯川(福山雅治)が事件を物理学的に解明して、刑事が犯人をつかまえる。
 湯川の興味は、事件の物理学的解明と「僕に言わせれば現象には必ず理由がある。再現性が高い現象は必ず科学的に実証できるはずだ」という彼の考え方を証明すること。
 理性的でクールですね。
 自分の立ち位置を科学者として割り切り、犯人を含めて事件に関わった人達の心の問題には立ち入らない。
 それは刑事の岸谷美砂(吉高由里子)らに任せる。

 しかし、そんな湯川が<心>に立ち入ったシーンがあった。
 それは事件が解決して帰る湯川が、「クアイの会」の子供たちの姿を見た時のこと。
 あの時、湯川は子供たちをじっと見つめていたが、いったい何を考えていたのだろう?
「クアイの会」という場所を失って、競争やいじめのある実社会に投げ出される子供たちの将来に思いを馳せたのか?
「クアイの会」という居場所を自分が奪ってしまったことに罪の意識を感じたのか?
 いずれにしても湯川は事件の謎を解明することで、子供たちや信者たちの人生に関わってしまったのである。
 人は行動すれば、他人や社会に何らかの影響を及ぼす。
 湯川先生がいくら物理学者に徹しようとしても、必ず他人に関与してしまう。

 物理学者は原子力を発見した。
 それを発電や爆弾などに活用するのは他の技術者の役割であり、原爆を落とす落とさないの判断をするのは政治家であるが、物理学者が原子力発電や原爆に責任がないということはない。
 ここに科学者の矛盾と難しさがある。

 それにしても
「今すぐ科学を捨て、日本でいう江戸時代ぐらいの科学技術水準に戻すならば世界人口の9割は死ななくてはなりません。そして生き残った1割の人間の平均寿命は40歳ほどです」
 なのか……。
 ぼくは福島原発事故以来、科学の発展や暴走に懸念を抱いていましたが、しっかり恩恵を受けていたわけですね。
 そして、世界人口の9割が死に、平均寿命40歳の世界に戻っていいとは言い切ることができない。
 簡単に答えを出せないテーマですね。
<科学>と<心の問題>がうまく機能してくれればいいんだけど。
 科学技術が正しい人間の心で制御される世界。
 そんな世界が理想なんだけど。
 そしてそうした<心の問題>を考えるのが、宗教や文学などの役割。

 科学と宗教
 こんなテーマを内包して、今回の第1話、実に面白い。


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八重の桜 第15回「薩長の密約」~桔梗の紋のみで登場する坂本龍馬

2013年04月15日 | 大河ドラマ・時代劇
 今回は歴史の描かれ方について考えてみます。
 第二次長州征伐
 ここでは戦闘シーンはなく、容保(綾野剛)が政治的に語り、覚馬(西島秀俊)たちが「薩摩の影」と「新式鉄砲の大切さ」を戦況と共に語り、八重(綾瀬はるか)たちは不安を語った。
 第二次長州征伐を<権力者の視点>、<現場の視点>、<市井の視点>で語った感じだ。
 制作費削減と言ってしまえばそれまでだが、こういう描かれ方も悪くない。
 何と言っても歴史は人間のドラマなのだから。

 坂本龍馬の扱いも面白い。
 薩長同盟。
 今までの幕末ものなら国民的人気の坂本龍馬を登場させて盛り上げる所だが、今作はそれをしない。
 ナレーションで「土佐の脱藩浪人の仲介で行われた」と距離を置いて客観的に語り、龍馬の姿は、桔梗の家紋のみを見せる後ろ姿のみ。
 この描かれ方を見て、この作品の脚本・山本むつみさんのこだわりと筆の抑制を感じた。
 会津の視点を中心に描くこの作品では、坂本龍馬は「土佐の脱藩浪人」でしかないのだ。
 龍馬をあくまで「土佐の脱藩浪人」で留めておいて、それ以上に踏み込まない。
 会津の群像を描かなくてはならないため、龍馬に割く時間がないと言ってもいいかもしれない。

 こうしたこだわりは随所に。
 新選組でも踏み込んで描かれるのは、斉藤一(降谷建志)。
 理由は斉藤が明治になっても生き続けるからであろうが、近藤、土方の影は薄い。
 おまけに新選組に対抗する佐川官兵衛(中村獅童)率いる「別選隊」をクローズアップしている。
 また、権力者パートでも描き込まれているのは、今まであまりスポットの当たらなかった松平春嶽(村上弘明)。
 しかし、今作の描写で春嶽が裏でいろいろ画策していたことがわかる。

 最後は会津の八重(綾瀬はるか)たち。
 今回のメインテーマは<不安>。
 幕府軍の苦戦、事実上の敗戦、将軍・家茂の死……。
 八重たちのもとにはさまざまな不安な知らせが届く。
 身近な所では作物の不作、極めつけは火事。
 前半の、柱で背を測る正月の風景とは180度違うという点で八重たちの不安が伝わってくる。


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35歳の高校生 第1話~苦しかったら「助けて」と叫ぼう

2013年04月14日 | 学園・青春ドラマ
 どのような教師を設定するか、これは学園ものの必須のテーマ。
 ヤクザの組長の娘、元暴走族、今期では幽霊と話せる先生。
 この作品ではさらにひねりを入れた。
 すなわち「35歳の高校生」。
 ドラマの企画会議ではきっとこんな会話がなされたのかも?
「米倉涼子さんで教師ものを作りたい」
「どんな先生にする?」
「明晰夢を見る先生」
「やったよ、それ」
「じゃあ、米倉さんが生徒ってのは?」
「面白い。生徒なら生徒と同じ目線で物事を見られる」
「教師が上から目線で説教するのは、いい加減ウザいからな」
「同時に35歳の人生経験を踏んだ大人だから、生徒とは違った物の見方が出来る」
「米倉涼子さんが制服を着て女子校生になる。これでつかみはOK。話題性は十分」
 みたいな感じ。

 第1話のテーマは<苦しかったら「助けて」と叫ぼう>
 長谷川里奈(広瀬アリス)は学校に馴染めないこと、いじめられていることを誰にも相談できないでいる。
 ひとりで抱え込み、すべては自分のせいだと思い込み、結果、便所飯・リストカット。
 そんな里奈に馬場亜矢子(米倉涼子)は寄り添い、いっしょに便所飯をして「トイレでご飯を食べるのも悪くない」「(トイレで食べることを思いついた)長谷川さんは頭がいいね。わたしは思いつかなかった」「長谷川さんのお弁当おいしそうだったから、今度、お弁当、わたしの分も作ってもらってよ」と語る。
 また、リストカットしていることを両親に見せて、自分が死にたいほど苦しんでいることを訴えろ、と里奈に迫る。

 いいですね、この解決方法。
 今までの教師ドラマだったら、たとえば金八先生は、いじめられる側よりは、いじめる側の生徒に話をして考えを改めさせた。
 しかし亜矢子は、まず寄り添い、いじめる側の生徒よりは、いじめられている里奈と向き合う。
 そして、苦しければ苦しいと悲鳴をあげていいこと、悲鳴をあげれば助けてくれる人がいること、里奈は決してひとりではないことを教える。
 金八先生はいじめる側に語りかけ、亜矢子はいじめられる側に語りかける。
 これは時代なのかもしれませんね。
 金八先生が語る言葉を失って退場していったように、いじめる側に語る言葉が見つからない。
 だからいじめられる側に寄り添い、彼らを立ち直らせるしかない。
 そう言えば、裏番組の『リーガル・ハイSP』でもいじめ問題を扱っていた。
 ネタバレになるので詳しく書きませんが、あのラストのどんでん返しも<言葉なき時代>の象徴ですね。
『リーガル・ハイ』では、人間は変わらないし、いじめはなくならないということをクールに語っていた。


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お天気お姉さん~安倍晴子、君は本物だ。だから生きにくい……!

2013年04月13日 | 推理・サスペンスドラマ
「おまえ、何様だ!?」「気象予報士です」
「あなた、何者だ?」「気象予報士です」

 すばらしい! 天気予報で事件を解決するなんて!
 企画ってこれくらいぶっ飛んでた方がいい。
 あえて類似作品をあげるなら『ガリレオ』かな?
 湯川先生は物理学で事件を解決するが、安倍晴子(武井咲)は気象学で解決する。
 人間に興味がないのも湯川先生と同じ。

 他の登場人物もいい。
 裏表があって性格が悪いアナウンサーの橋本茜(佐々木希)。←こういう役、佐々木さんに合っている。すみません……。
 視聴率と視聴者の反応でコロコロ意見を変えるやり手プロデューサーの原田蘭(笛木優子)←「アテンションプリーズ」でもそうだったが、笛木さんって意地悪な役がよく似合う。すみません……。
 ゆとり世代の刑事・青木豪太(大倉忠義)。
 最近のマイブームである壇蜜さんもスナック『蜜の味』のママ役で出演されていた。←壇蜜さん、料理学校に通っていただけあって、包丁でネギを切る姿がきれいだった。

 そして何より面白かったのが、佐々木蔵之介さんが演じる監察医役の三雲三平。
 晴子が、天気予報でテレビ画面に登場すると
「何だ、こいつは……!?」
「おおっ、着せられてるな」
「君は本物だ。だから生きにくい……」
 などと、いちいちリアクション。
 この三雲の姿って、どこかで見覚えがあるなと思っていたら、実は僕でした……。
 僕もテレビの中の人々(特に女性)にこんなふうにツッコミとコメントを入れながら見ている。
 三雲の姿はまさに自分を見ている様……!

 この作品、面白いです。
 すべての登場キャラクターにどこかクセがあって、しっかり描かれているのがいい。
 テレビ局の裏側を見られるのも楽しい。


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