平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

アテンションプリーズ  「最後の授業 涙の理由」

2006年05月31日 | 職業ドラマ
 OJTに進むための総合テストと認定会議。
 三神クラスをバカにする木下クラスの訓練生・窪田リナ(浅見れいな)たち。
 共通の目標や敵がみつかると人は団結するもの。
「よっしゃあ!みんなで三神組の底力、見せ付けてやろう!オー!ジェイ!ティ!」
 こういう人と人が繋がるドラマは大好きだ。

 共に試験を突破しようとする仲間たちにもそれぞれに理由がある。
 そこに様々なキャラクターが出ていて楽しい。
 関山ちゃん(大塚ちひろ)は父親がパイロットでコネで入れてもらったんだろうとリナに言われて怒り心頭。
 沙織(上原美佐)は大学時代リナと男を争って、7勝3敗(もしくは2勝8敗。真実はわからない)。絶対にリナには負けたくない。
 弥生(相武紗季)は合格したら翔太(錦戸亮)とデート。
「動物とか好きですか?」と聞いて、動物園に行くことに。
 それをリナにバカにされたものだから、さらに燃える。
 沙織がリナに7勝3敗で勝っているというと、「ダメじゃん、3つも負けちゃあ」といつもの弥生らしくないせりふ。
 美咲洋子(上戸彩)も客の入らないライブをやっていたことなど、「地雷を踏みまくられて」怒り心頭!

 しかし、そうしたにわか団結がうまくいくわけがない。
 いつものように喧嘩を始めて、三神組の自主トレは空中分解。
 簡単にうまくいってはドラマにならないから、作り手は様々な困難を主人公たちに与える。
 だが、それでめげずにがんばるからラストが感動的になる。

 空中分解して悩んだのは洋子。
 洋子は三神教官(真矢みき)に言う。
「足、引っ張ってますかね。三神クラスは、美咲洋子に毒されているとか言われちゃって。あたし、毒ですかね」
 そんな洋子に三神は言う。
「そんなことを気にするようになれたんですね、あの美咲さんが。だったら何をすべきかわかるんじゃないですか?今の美咲さんなら」

 三神に言われて始めたのは、早朝、昼休み、夜のモックアップでの個人練習。
 洋子は真剣に思っている。
 男に「制服姿を見てみたい」と言われたからCAになろうとした自分をふり返って翔太に言う。
「でもさ、今は私が見てみたい。制服着て空飛んでいる自分の姿」

 そして、この洋子の行動が仲間たちに火をつけた。
 洋子のために弥生が、関山が、沙織が動き出す。
 いっしょに練習を始めるのだ。
 ここで初めて、洋子たちが繋がった。
 すごくうまい物語の作り方。
 人の真剣な気持ちが人を動かす。
 最初の動機は、リナにバカにされたからという不純なものだった。
 それは何かがあれば、簡単に吹き飛んでしまう動機。
 しかし、人の真剣な想いは簡単には吹き飛ばない。
 現にやってきたリナに洋子は言う。
リナ「レベルの低い人たちが集まって何やってるのかと思ったら、こんなつけ焼刃で、私たちに勝とうだなんてね」
洋子「勝ち負けなんてどうでもいいの!」
リナ「へえ、もう負け認めてるわけ?」
洋子「勝ったとか負けたとか、そんな小さいもんじゃないんだよ。あたしたちに取ってのキャビンアテンダントは!」

 そして試験を無事終えての祝杯。
「あたし、三神組で良かった。おまえらさ、見かけによらず結構いい奴だよな」
「ありがとう!あたしさ、この20人みんな一緒に空を飛びたい」
「三神組、最高~!」

 しかし、洋子が迎えた試験の判定とは?
 
 今回の団結のドラマ同様、作り手は洋子を簡単にCAにしないようだ。
 洋子にはさらにひと試練。
 しかし、困難が大きければ大きいほど、CAになった時の感動は大きい。
 恐らく今回同様、仲間たちは洋子を助けるだろうから、感動のドラマはさらに大きくなりそう。楽しみだ。
 三神教官がこだわるCAの資質とは何かも知りたい。
 また「あなたにとってCAとは?」と聞かれて出す洋子の答えも。


★研究ポイント
テーマ:真剣な想いが人を動かす。
ドラマの作り方:
 真剣な動機が人を動かす。その前に軽い動機を入れておくとテーマが伝わりやすい。
 新たな敵を設定する。

★キャラクター研究:長野チーフ
 三神も桜田(小日向文世)も頭が上がらないCAのチーフ長野が総合テストの試験官として登場。
 三神を呼び捨てにし、桜田にボタンがとれそうだと言って注意する。
「相手が三神の教え子でも、容赦しないよ。厳しく採点するからね」と言う。
 これでは洋子の合格は危ういかもと視聴者に思わせる。
 うまい人物の登場のさせ方だ。
 しかもこの長野チーフは別の意味でも機能する。
 認定会議。
 長野はこう言って洋子を合格させる。
「美咲洋子ね。どんなものかと思っていました。評判悪いからあの子。まあ、決して満点とは言えないけどね、あとはOJTでしごきますよ」
 しかし、三神は洋子の合格に異議がある様子。
 格上の長野が合格を出したのに異議を唱える三神。
 これで三神が立った。
 視聴者は三神の想い・意図は何だろうと思う。
 長野チーフは今回の話で実にいい働きをしている。

★名セリフ
  1
 先輩CAに皮肉を言われて
「まいったな。あれだけ熱望されちゃって。もしかして期待の大型新人!?」
「よっしゃあ!あたしがいる限り、三神組、全員合格させてやる!」
 ※あくまでポジティブな洋子。

  2
 沙織がリナに
「美咲さんはともかく、私たちは木下クラスには負けてないわよ」
 ※さりげない毒
 沙織が洋子に
「美咲さん見てると、勉強になるよね」
「ダメなこと沢山してくれるから、チェックしがいがあるのよね」
 ※ストレートな毒。

  3
 個人練習をしている洋子を見て、弥生、沙織たち。
「相変わらず自分勝手なんだから」
「マイペースというか、平気で人のこと振りまわすし」
「ハラハラさせられてばかりでした」
「声も態度もでかいし」
「あの人のおかげで、何度授業が中断されたことか」
「最悪のクラスメートよね。でも何でだろう。他のクラスの子に美咲さんの悪口言われるとちょっとむかつくのよね」
 ※気持ちと裏腹の悪口。逆に洋子への想いが伝わります。

★名シーン
 試験当日の朝、飛行機を見ている洋子。
 そこへやって来る翔太。
 不安を洩らす洋子。おまえらしくもないと励ます翔太。
 ※強気な洋子が見せた弱さ。ここで一気に洋子に共感。視聴者はここで洋子といっしょに試験を受ける。

★追記
 沙織はリナと7勝3敗なのか、2勝8敗なのか?
 古畑任三郎の郵便配達のなぞなぞのようなネタフリ。
 ラストにはぜひ答えを出してほしい。
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あいのり 5/29

2006年05月30日 | バラエティ・報道
 今回は番組制作スタッフの完全な非。
 お詫びのテロップが出ていたけど。

 「恋愛観察バラエティ」と銘打っている以上、出演を許諾した出演者は観察され、ネタにされることを覚悟しなければならない。
 ある程度笑いネタにされることも。
 恋愛は第3者から見れば、滑稽。
 視聴者は恋愛に悩んで右往左往する姿を見て笑ってしまう。
 自分もそうだったよなと思いつつ。
 そんな出演者がしっかり告白したり成長したりすると、自分もがんばらなくては思ってしまう。
 これがこの番組の本質。

 そして今回の事件。
 ゴキを好きになってしまったアウトロー。
 通常ならゴキが他の人のことを好きになったことを知って落ち込むアウトローの姿を映すのが、この番組。
 その落ち込んだ姿を笑いにすることもある。
 だが、今回は事情が違う。
 ゴキが好きになってしまったのはスタッフ。
 そして、スタッフのミス(音声スイッチの消し忘れ)からそのことがアウトローにわかってしまった。

 さて、ここで判断が分かれる。
 ここで落ち込んだアウトローの顔をカメラが映すかどうか?
 番組を制作するスタッフにすれば撮らざるを得ない。
 ある意味、残酷なのがテレビだ。
 事実を伝えると共に、バラエティ番組であればそれを面白おかしく伝えなければならない。
 しかしアウトローの気持ちに立つと……。
 自分の責任でもないことで面白おかしく撮られるのはつらいことだろう。
 この判断にディレクターは関わっていなかったようだが、スタッフのミスで招いたことであれば自重すべき。
 アウトローにしてみれば、面白い絵を撮るためにわざと音声スイッチを切らずにおいて、はめられたと考えても仕方がないだろう。
 番組としては、事情を視聴者に伝えなければならないのだろう。
 だが、方法は時間をおいてアウトローのコメントを撮るなどいろいろあったはず。

 いずれにしても今回のリタイア・帰国は残念。
 人間を信じて心を開いていたアウトローを人間不信にして帰してしまった。
 アウトローからスーザンたち仲間にもメッセージはなし。

 旅の中から永遠の恋人を得て帰ってくるのが「あいのり」の旅。
 仮に恋人が得られなくても、友情や様々なものを得て帰ってくるのが「あいのり」の旅。 
 アウトローが得たのは、怒りと人間不信。
 これはまずい。
 
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功名が辻 開運の馬

2006年05月29日 | 大河ドラマ・時代劇
 第21回「開運の馬」
 今回は千代(仲間由紀恵)が可哀想だった。
 夫・一豊(上川隆也)の喜ぶ顔が見たくて叔父から託された十両を見せた千代。
 ところが一豊は怒り出す。
 「情の強いおなごよ。小賢し過ぎる」
 「心が何室にもわかれていて、玄関からは見通せぬ」
 お金のことで苦労してきた一豊と千代。
 自分と千代は苦労を分かち合う一心同体だと思っていた。
 ところが千代は十両のことを黙っていて相談もせず、自分で判断してその使い方を考えた。
 それが一豊には許せないのだ。
 一豊は言う。
「高みにおいてわしを見下しているのではないか?」
 自分以上に思慮のある年下の妻に劣等感を抱いていた一豊。
 それが怒りに繋がった。

 千代や家のために懸命に働いてきた夫のプライドもある。
 冒頭、一豊が千代に扇を買ってやろうとするシーンがあるが、千代が一豊に何かを買ってあげるのではなく、自分が千代に買ってあげるのが夫のプライドだ。
 それが一豊の怒りを強くした。

 一方、千代は哀しい。
 ただ、夫の喜ぶ顔が見たいだけなのに。
 十両を託した叔父、叔母の思いもある。
 叔父は十両のお金を一豊に見せた時、ふたりが手を取り合って喜ぶ姿を思い描いていたでろう。
 それがこんな哀しいことになってしまうなんて。
 山内家のお方様として立派になった千代もここは少女の千代に戻る。
 大泣きする。
「旦那様の夢はおのれの夢。妻という形で夫と共に乱世を戦っていきたい」

 千代に泣かれれば一豊も弱い。
 なだめて、言い訳して、謝って、馬を買いにいく。
 このうろたえ方が千代を愛している証拠。

 この場面を単に「ありがとう」と言ってもらったのでは、これほど伝わらない。
 想いが裏切られて千代が哀しみ、千代の想いがわかって一豊が謝ったから、いいドラマになった。

 今回のもうひとつのドラマは濃(和久井映見)。
 人を捨て神になった夫・信長(舘ひろし)。
 諫言も聞き入れられず、織田家に居場所がなくなったと考える濃。
 光秀(坂東三津五郎)にも拒まれた。
 濃は光秀に言う。
「(光秀と夫婦になった)夢を描いてみることも許されませぬのか?」
「やり直せぬのが人の定めにございます」
 すべてに絶望した濃は織田家を出る。
 そこで千代と関わる。
 馬をめぐっての千代と一豊の会話を聞いて、かつての自分たちのことを思い出す。
 自分たちも昔はふたりして夢を追ったのではなかったか?
 千代たちに力をもらった濃は城に戻り、馬を信長に見せに来た一豊夫婦にその礼として砂金を渡した。

 この濃の物語。
 これも絶望から一縷の希望を見出したからドラマになった。
 その希望はまた絶望に変わるものなのだけれど。
 砂金を渡されて意味がわからない一豊とお方様と知って驚く千代の顔は面白く、ユーモアのあるいいシーンになった。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:喜びと悲しみ、絶望と希望、この両方の感情を盛り込む。
          千代と濃の物語を掛け合わせる。

★キャラクター研究:千代
 千代ははつらつとした少女のような面を持っている。
 安土の町で人々といっしょに踊り、町をいっしょに歩けるだけで嬉しいという。
 扇をプレゼントされようとすると、「目で楽しむだけで十分」と言う。
 しかし、自分をほったらかして馬市に一豊が行くとふくれる。
 信長に相対した時、大きな声で「はい」と答えてしまう。
 それでいて、思慮がある。

★名セリフ
 馬がほしい一豊が言う。
「夢のような話じゃ。笑えば済む」
 大声を出して笑う一豊と千代。
 ※こうやって笑えば幸せ。強欲にとらわれることもない。

★名シーン
 光秀の夢。
 眠っている信長を刺そうとする光秀。
 信長はカッと目を開け、「お濃はそちにくれてやるわ」と言う。

★追記
 今回の物語を原作と読み比べてみた。
 原作では千代の涙を千代が意識してやったものとしている。
 怒った一豊に千代は考える。
「泣くにかぎるわ、理屈を言わないで」
 機嫌をとろうとする一豊に
「この辺でかんべんしてやろうかしら」
 夫操縦術だ。
 こうも書かれている。
「さんざん泣くと、やっとおさまってきて、今度は笑いがこみあげてきた。背中が笑いでふるえている」
 原作の司馬遼太郎さんは、夫を手の上に乗せて出世させた妻として千代を描いている。
 この点では純粋さを残した大石静さんの千代の方がテレビドラマ向き。
 だが、「夫の名を高めるために馬を買った」という後のエピソードという点では司馬さんの千代の方が説得力がある。

★追記2
 信長の狂気はいよいよ激しく。
 自分を祀った寺を造り言う。
「天がわしに命ずるのだ。天がこの信長を生かしておるのじゃ。この刀で刺してみよ」
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ザ・ヒットパレード

2006年05月28日 | その他ドラマ
「俺も笑って、お客さんも笑って、俺はお客さんと笑顔のキャッチボールがしたいんだ」

 渡辺プロを創った渡辺晋(柳葉敏郎)さんの物語。
 渡辺はジャズマン。
 ウッドベースを担いで米軍キャンプなどでも演奏していた。
 アメリカのエンタテインメントを体に染み込ませた人なのだろう。
 自分の演奏に客が踊り、自分も楽しい。
 そんなエンタテインメント精神を持っていた。

 しかし、時代の波は押し寄せてくる。
 ジャズからロカビリーに人気は移り、苦境に。
 辞めていく者、自殺する者が出て来る。
 このままでは日本に芽生えたエンタテインメントの芽はなくなってしまうと彼は考えたのだろう。
 そこで彼はそうしたミュージシャンたちが辞めずに仕事ができるようプロダクションを創った。

 そして埋もれている様々な才能を見出して、場を与えた。
 クレージーキャッツは売れないジャズグループ。
 植木等(陣内孝則)も劇場で歌っていた。
 青島幸男(石黒賢)はただのプータロー。

 そんな渡辺にテレビの時代がやって来る。
 テレビが埋もれている才能たちに場を与えたのだ。
 この辺は渡辺の強運。
 時代を読んでいたのかはわからないが、「笑顔でお客さんとキャッチボールしたい」という想いを持ち続けていたからこそ、テレビも彼を必要としたに違いない。

 渡辺の想いは「大人のマンガ」を経て、「ザ・ヒットパレード」で開花した。
 そして埋もれていた才能たちも。
 青島幸男は作家でありながら、自らも出演。(自由な時代!)
 自分の職業が今までにないものであったため、青島は「放送作家」という言葉を作り出したらしい。
 ザ・ピーナッツ(安倍なつみ・安倍麻美)もバアで歌っていたが高校生だったが、「ヒットパレード」の隠し球・新兵器として登場した。
 踊る指揮者・スマイリー小原(宇梶剛士)はまさにテレビ向きだ。

 こうした才能が結実して、「ザ・ヒットパレード」は大ヒットした。
 その華麗な世界はまさにアメリカンエンタテインメントそのもの。
 リズミカルでエネルギッシュで。
 出演者はみんな楽しんでいて。
 ドラマではそれが再現されたが、今見てもおしゃれなのだから、当時の人は度肝を抜かれたことだろう。

 そして渡辺の快進撃は続く。
 クレージーキャッツとヒットパレードの合体だ。
 ここで植木等は「スーダラ節」を歌って、これが大ヒットする。
 「スーダラ節」は植木等の鼻歌から生まれた曲。その場のノリで生まれた曲だ。
 植木等の鼻歌に青島幸男が詞をつけた。
 この歌の内容にレコード会社の人間は首を傾げたが、(歌う植木等本人までも)費用すべてを渡辺が出して制作され、この曲は大ヒットする。

 これらの根底にあるのは
「楽しいからじゃダメなのかな?俺はそれでいいんだけどなぁ」という言葉。
 「スーダラ節」も渡辺が面白いと思ったからやった。
 エンタテインメントは感性とエネルギーの世界。
 既存のマーケティングなど意味がない。
 渡辺の言葉を借りれば、
「エンタテインメントは頭で作るものではない。お金で作るものでもない。ハートで作るものだ」ということだ。

★研究ポイント
 テーマ:エンタテインメントの作り手の精神。

★追記
 「バカがつくほどエンタテインメントが好き」でそれを形にするために走ってきた渡辺。
 後半生は実業との戦いを行った。
 エンタテインメントが立派な産業であることを認めさせる戦いだ。
 これは一面、渡辺が社会的ステイタスを求めたものとも取れなくはない。
 ちょうどホリエモンが財界入りをしたり、政治家を目指したりしたように。
 結果、渡辺は勲章を取りその戦いにも勝利するが、受け取った時は別の心境であったようだ。
 彼は昔の自分を思い出した。
 自分は金や名誉のためにやっているのではない。
 楽しいからやっているのだという心境だ。
 彼は記念パーティで昔の仲間シックスジョーズと共にジャズを演奏する。

★追記
 ノリで作られた「スーダラ節」。
 こんな歌を歌っていいのか?と音は生真面目な植木等は坊主の父親に相談する。 父親は「おまえの歌なんかをレコードにしてくれることを有り難いと思え」とまず言い、次に詞の「わかっちゃいるけどやめられない」は親鸞の教えにも通じると話してくれる。
 曲の解釈、曲の評価などは他人がやってくれるのだ。 

★追記
 あの「ヒッパレ~」の主題歌は渡辺さんのこだわりで作られたものらしい。
 番組に何かが足りないと考えていた渡辺さん。
 キャッチーな曲がないのだと気がついた彼はあの主題歌を放送前3日で作ることを言い出すのだ。
 それがあの耳に残る主題歌に繋がった。

★キャスト
 渡辺 晋 … 柳葉敏郎 渡辺美佐 … 常盤貴子
 植木 等 … 陣内孝則 森山 猛 … 時任三郎
 椙山浩一 … 原田泰造 清水高志 … 吉田栄作
 青島幸男 … 石黒 賢 宮川 泰 … 近藤芳正
 ザ・ピーナッツ(伊藤日出代) … 安倍なつみ
 ザ・ピーナッツ(伊藤月子) … 安倍麻美
 中村八大 … ふかわりょう スマイリー小原 … 宇梶剛士
 ハナ 肇 … 阿南健治
コメント

クロサギ 第7話

2006年05月27日 | 職業ドラマ
 今回は被害者に視点を置いた。
 インチキ占い師・神代正人(和泉元彌)に騙されたくら(内海桂子)の心情を描いた。
 なぜくらにスポットを当てたかというと、くらが家族を亡くして何かにすがった結果、騙された人間だったからだ。
 黒崎(山下智久)は初めて被害者に思い入れをした。
 彼は言う。
「家族が突然死んでしまったら誰だって寂しくなるよ。その寂しさ紛らわすために
神代にすがった。その気持ちはよくわかるよ」
 では、黒崎が自分の家族を亡くした時にすがったものは何か?
 警察(法律)は当てにならなかった。
 おそらく神代のような占い・宗教にもすがらなかったのだろう。
 頼れるのは自分だけ。
 だから桂木敏夫(山崎努)をナイフで刺そうと思った。
 だが、それは未遂。
 逆に桂木に言われる。
「お前の父親と同じだ。殺せばすむと思ってる」
 黒崎は父親を愚かだと思っている。
 騙されて家族を殺して自殺して。
 こんな愚かな父親といっしょにはなりたくない。
 だから詐欺師を騙し返す詐欺師になった。
 被害者へお金も返すことができる。

 今回はクロサギになった黒崎の心情をより深く描いた。
 単なる復讐、もしくは救いにはいろいろな方法があるが、黒崎は一番有効な復讐手段としてクロサギになることを選んだのだ。

 残りの黒崎のテーマは吉川氷柱(堀北真希)の言う「あなたはそれで幸せなの?」というテーマだ。
 果たして黒崎に氷柱の言う救いは訪れるのか?
 自分を捨てたという黒崎がもとの自分に戻れるのか?というテーマだ。

 ただし、この段階で氷柱の言う黒崎の苦しみはあまり伝わって来ない。
 黒崎は詐欺をすること・頭脳合戦をむしろ楽しみ、被害者にお金を返せて救済できることに喜びを感じているように見える。
 三島ゆかり(市川由衣)が黒崎を是認しているように彼も詐欺師であることを認めているように思える。
 ここでドラマをさらに深くするためには、詐欺師・黒崎の苦しみを明確に描かなくてはならないだろう。
 もはや氷柱の訴えだけでは足りない気がする。第2話の親友を食ってしまった苦しみのエピソードが必要である。
 また、黒崎がクロサギとして行っていることとは反対の価値観を示す必要があるだろう。
 黒崎がクロサギを辞めた時にどんな人間になっているのか?
 あたたかい家庭の父親なのか?恋人の笑顔で歩く姿なのか?
 そんなことを明確にしなければならないと思う。

 今回は氷柱を抱きしめようとして抱きしめかった黒崎。
 彼がラストにどんな結論を出すか楽しみだ。

★研究ポイント
 物語の作り方:ラストの結論をどう持ってくるか?
         現在の主人公の価値観とは反対の価値観の提示。

★キャラクター研究:三島ゆかり
 黒崎を全面的に受け入れるゆかり。
 その受け入れ方がスゴイ!
 チラシを配って応援する。
「すごい人がいるんです!詐欺師をみんなやっつけちゃうの!」
 その過激な行動は黒崎にも疎まれているらしく、ゆかりを見つけると黒崎は言う。
「出た」
 でも、ゆかりはめげない。
「着物姿もすごい似合いますね!頑張って騙してくださいね!応援してますから!」
「声がでかい」
 しかしそうしたブッ飛びキャラだけでなく、言うべきことはしっかり言う。
 黒崎に詐欺師をやめさせようとする氷柱に
「自分の理想押しつけないでよ!氷柱のそんな所が嫌い!人間の気持ちなんてそんな理屈でわりきれるもんじゃないでしょう」
 氷柱も反論。
「そうだけど、それを理性で押さえるのが人間でしょう?」
 しかし、ゆかりも反論。
「じゃあなんで氷柱は黒崎さんが好きなの?しかもその人の部屋に泊まったりして…」
 そして日を改めて別の場所では
「まだ理性の力は働かないわけ?早くしてよね!検事さん!」

 恋愛や人の気持ちは理屈じゃない。
 この辺の人間理解は人生経験豊富なゆかりの方が氷柱より上か?
 氷柱VSゆかり
 対照的なキャラクターがぶつかり合う三角関係は面白い。
 それにしても黒崎のまわりにはどうしてこんな女の子ばかりが集まるのだろう?

★ディティル
 インチキ占い師のテクニック~コールドリーディング・ホットリーディング
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医龍 カルテ7

2006年05月26日 | 職業ドラマ
 今回のポイントはふたりのキャラクター。

 ひとりは霧島軍司(北村一輝)。
 プライドの高いキャラというのはこんな感じ。
  1.相手が自分と同列、それ以上になるのを嫌う。
  2.自分の支配下に置いておきたい。逆らうのを嫌う。
  3.そして自分のプライドを守るためなら何でもする。

 そんな霧島のことをミキ(水川あさみ)は言う。
「あの人が大事なのはプライドだけ。そのプライドを傷つけた人間は徹底的に潰す。泣きながら許しを乞うまで。霧島は朝田先生を認める人間を決して許さない。
そして目的の為だったら悪魔とでも手を結ぶ人です」
 
 この様に霧島は実に冷酷な人間だ。
 しかし、この人の内面はどうなんだろう?
 愛情もなく友情もなくすごく孤独だ。
 他人を受け入れることでなく、否定することで自分を確認しようとする。
 自分が上に立つことで自分を確認しようとする。
 また霧島がこの様になってしまった理由とは?(父親の英才教育?)

 今後、霧島がどの様に救われていくか?解放されていくか?をぜひ描いてほしいと思う。
 何やらミキには思い入れがある様だが。

 ふたりめのキャラクターは荒瀬門次(阿部サダヲ)。
 新薬の麻酔導入薬・リカゼピンの論文と製薬会社に乗せられて、多数の患者を死なせた過去があるらしい。
 荒瀬は患者にリカゼピンを使い、事実上生体実験を行ったのだ。
 この結果、彼が得たものは製薬会社からの口止め料の金と罪の意識を忘れるための自分自身への薬の中毒。
 廃人同様の生活。網の柵は舐めるし。
 論文のための医者も否定している。

 こんな荒瀬が今後どう救われ解放されていくかも注目ポイントだ。
 結論は朝田龍太郎(坂口憲二)のチームに入って治療にあたることだろうが、どの様な経緯で入っていくかが楽しみだ。

 「医龍」のドラマコンセプトは、人の心の解放だ。
 龍太郎は人の体を治すと共に医師たちの心を解放していく。
 伊集院登(小池徹平)も加藤晶(稲森いずみ)も朝田を通して解放されていった。
 意識の改革がなされた。 
 この点で荒瀬や霧島が変われるかが後半のドラマの焦点になってくる。

★研究ポイント
 テーマ:心の解放・意識改革
     サブテーマは医療のあり方、大学病院の欺瞞。

★キャラクター研究:朝田龍太郎
 このドラマの中で朝田だけは変わらない。
 彼は状況に決して流されることはない。
 彼は目の前の患者に向き合うだけだ。
 彼は言う。
「俺達の前には患者しかいない。論文も北日本もない。二人目の患者が俺達を待ってる」
 また「過去は関係ない」とも。
 霧島に誤診をした執刀医として陥れられ、日本の病院から閉め出されたことも朝田には関係ないようだ。
 この変わらない強いキャラは逆に凄すぎて、面白みに欠ける。
 非日常の手術シーンと伊集院・ミキ・藤吉圭介(佐々木蔵之介)の見つめる視線で魅力をキープしているが。
 この面白みに欠けるキャラを作家がどう描くかにも注目したい。
 雨の中、晶に差し出した傘は何か意味があるのだろうか?

★名セリフ
 ミキ、兄の霧島に
「いくらこの先出世してもあたしだけはあんたを認めない。あんたは一生朝田先生にはかなわない」
 世の中の人間すべてに認めてもらいたい霧島には一番痛いせりふ。
 勝てないと言われることも。
 普通の人間はすべての人に認められることはないし、負けることもあるのだが。

 龍太郎、荒瀬に
「お前は必ずチームに入る。最高の麻酔医なら最高の外科医と組みたくなる」
 ※龍太郎も少しナルシスティック。

★追記
 霧島と荒瀬の回想シーン。
 霧島の過去を描く回想シーンでは、ミキに語らせた。
 途中、晶と藤吉のコメント入り。
 荒瀬の過去を描くシーンでは鬼頭笙子(夏木マリ)が語る。
 ここでも途中、藤吉がフォローのコメント。
 回想シーンの描き方として覚えておきたい。

★追記
 大学病院には臨床の医者・論文の医者の2種類の医者がいるらしい。
 臨床の医者は朝田。
 霧島は臨床・論文の両方の医者らしい。
 臨床(手術)での判断で朝田に負けた霧島。
 霧島にとっては初めての屈辱であった様だ。

★追記
 霧島のいびつな性格も明らかに。
 ミキの勝ってきたものをすべてチェック。
 ミキの入りたいと言ってきた看護学校のパンフレットを握りつぶして、大学付属の看護学校に入れと言う。
 支配しなければいられない性格。妹への異常な愛?

 
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プリマダム 第7回

2006年05月25日 | ホームドラマ
 今回はこのエピソードにつきる。
 発表会の参加費は会場費4万円+記念のDVD制作費2万円=6万円。
 万田家は3人出演するから、18万円かかる。
 当然、そんなお金はなく佳奈(黒木瞳)と高太郎(古田新太)は出演を断念する。
 それをドア越しに聞いている娘の舞(夏帆)。
 通常のリアクションなら、ここで娘はがっかりしてふてくされたりするものだが、今回は違った。
 翌日、高太郎だけを自分の部屋に呼び出すとこう言う。
「ママだけでも発表会に出してあげてほしいの。ママは発表会に出るのが
小さい頃からの夢だったから。ママが小さい頃おじいちゃんの工場が潰れちゃって発表会出れなかったんだって。またお金の為に出られないなんてかわいそうだよ!」
 そう言って自分の貯金通帳を差し出す舞。
 バレエをすることに批判的だった結(志保)も頼む。
 いいリアクションだ。

 高太郎もキャバクラで人を人とも思わない振る舞いをする接待相手に水をかける熱血漢。
「わかった。お金はお父さんが何とかする」と言い放つ。
 すると話を聞いていた佳奈は入ってきて
「もういいの。私がバレエをするのは発表会に出たいからじゃないの。バレエが好きだからよ。それに舞やあなたと一緒に踊りたいし。ありがとう、結、舞、あなた」
 高太郎、佳奈のリアクションは今まで描かれてきたとおりのもので予想できるが、このエピソードであたかくいい家庭を表現できた。

 心の中に秘められたあたたかい気持ちが表現される時、ドラマになる。
 これは直接的でなく、間接的に表現されるとより感動的になる。
 今回のことも舞が佳奈に直接通帳を渡したら、感動は半減しただろう。
 高太郎に話したことを佳奈がドア越しに聞いているから盛り上がる。

 これは笑子(神田うの)のチラリと漏れた本音でもそう。
 今まで佳奈らがバレエをすることに冷水を浴びせてきた笑子は、発表会の辞退者が出たことで、つい本音を言ってしまう。
「困るわ!引き立て役のあなた達がいないと。私が立て替えてあげる!」
 これは今までの笑子。
 しかし、この発言に反発を受けて、笑子はこう本音を言ってしまう。
「みんなでやらないと意味ないじゃない!」
 これもストレートではなく、漏れてしまった本音だから伝わる。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:秘められた気持ちが表現される時、ドラマになる。
          それは間接的な方が効果的。

★キャラクター研究:匠先生
 匠先生も主人公たちが困ってどうしようもなくなった時に助けてくれるキャラ。
 今回も会場費のことで出演辞退者が出た時に登場して、格安の会場を自分が手配すると言ってくれた。
 シナリオライターにとっては、問題を一気に解決してくれる便利な役回りのキャラ。

★名セリフ
 匠先生
「発表会は思い出や記念の為にやるものではありません。踊る喜び、人に見てもらえる喜び、上達する喜び、バレエの楽しさを感じる場です」

 高太郎、発表会の参加費が6万と佳奈から聞いて
「6万って事は家は3人だから…1人2万って所か」
 ※いいボケです。

 店長、ポテトをこがした佳奈に
「今回は見逃してもいいですよ。しかし、ひとつ条件があります。多数決になったらドンキホーテをお願いしますよ」
 ※こういうずるさもキャラの魅力。

 店長、高太郎がサンチョをやることに決めている。
「せっかくだからちょっと練習しましょう。サンチョ、テレビ片づけて」
 ※思いこみ、こだわりもキャラの魅力。

★ちょっと一言
 倉橋バレエ団の乗っ取りは唐突。
 本来なら他の理事の説得など、もっと手順を踏むべき。
 嵐子(中森明菜)を困らせ、佳奈らとのきずなを強くするための仕掛けだろうが、一方で嵐子の病気がかすんでしまう。
 病気でドラマを作ることはできなかったか?
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アテンションプリーズ 「アンタなんて大嫌い!」

2006年05月24日 | 職業ドラマ
 「アテンションプリーズ」の主人公は自分で事件を作り出していく。
 主人公の美咲洋子(上戸彩)自体がトラブルメーカーなのだ。
 他のドラマだと他の人間が起こした事件に主人公がリアクションするという形が多い。
 しかし、洋子は違う。
 何かにリアクションするのは同じだが、洋子はそのリアクションが過剰だ。
 ファーストエイドの訓練がうまくできない関山(大塚ちひろ)に過剰なリアクションをして事件を起こす。
 洋子のリアクションは火が燃え移るようにどんどん大きくなって大火事になる。
 例えば、こんな感じ。

 ・関山のためのAED秘密練習。若村弥生(相武紗季)は6時の約束のことでイライラ。
 ・スージー壊れる~警備員が来る。
 ・スージーを死体だと思って気絶する麻生カオル(笛木優子)。
 ・タクシーでスージーを運ぶが運転手は耳が遠い。
 ・タクシーで運ぶ所を弘田沙織(上原美佐)が見られてしまう。
 ・若村弥生(相武紗季)の実家まで運ぶが翔太(錦戸亮)がいる。
 ・仕方なく自分の家までスージーを運ぶ。
 ・スージーの手がないことに気づく~大げんか。

 この一連の事件拡大の部分がテンポよくて気持ちいい。
 事件拡大がすべて主人公の視点でなされるから疾走感が出る。
 同じ主人公による事件拡大パターンの作品に「ギャルサー」があるが、これはシンノスケ以外の視点が挿入されるから、テンポが落ちる。
 シンノスケは時々迷うから加速が止まる。
 しかし洋子は迷わないから加速されスピードが出る。

 この加速する「起承転結」の「承」の部分が、「アテンションプリーズ」の大きな魅力だ。
 今回はそれで弥生がキレてしまったけれど。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:加速する「承」

 このスピード感に大きく貢献しているのが、関山ちゃんである。
 前回も書いたように関山はドラマの狂言まわし。
 今回も迷う洋子にこう言って行動のきっかけを与えた。
 「美咲さんスージーの腕探しましょう」

★名セリフ
 朝一番で来た洋子が言ったせりふ。
洋子「一流のCAとは心の余裕から生まれてくるものなの」
 ※真面目に研修に取り組む彼女を表現した。

洋子「スージー戻って来~い!」
 ※「医龍」か?

★名シーン
  1
 ケンカのシーンというのは面白い。
 やはりドラマというのは人と人とのぶつかり合いだ。
 特に今回は溜まりに溜まった洋子への不満を弥生が爆発させた。
弥生
「何で?何でいつもそうなわけ?いつも振りまわして巻き込まれる私達の気持ち考えて事あるの?!」
 洋子も負けない。
洋子
「わからねえよ!そっちには責任ねぇのかよ?いつもウジウジ。自分で考えられないのに人のせいにするんじゃねぇよ!デートとか言ってるけど告白だってできねぇんだろ!」
 最後の言葉は洋子が一番言われたくなかったこと。だからキレた。
弥生
「最低!あなたみたいにデリカシーのない人始めて見た。女の子の気持ちも解らないのに一流のキャビンアテンダントなんてなれるわけない!美咲さん女友達いた事ないでしょう!?もしキャビンアテンダントになれたって美咲さんとなんて絶対一緒に飛びたくない!」
洋子「こっちだって弥生と飛ぶぐらいなら一人で飛んだほうがマシだ!」

  2
 本音でぶつかり合えば、より深く理解し合える。
 お互いの悪いところを認め合った3人は言う。
弥生「自分で言うの恥ずかしいけどさ。人に言われるのいいよね。君達友達だろって」
関山「気がついたらいつも一緒にいましたね」
弥生「何でだろ?」
洋子「気が合うからに決まってんだろ!初めてだな。こういうの」
関山ちゃん「初めての女友達って事ですね。」
弥生「飛びたいね。あたし達3人で。3人で一緒に」
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県庁の星

2006年05月23日 | 邦画
 人が変わっていくというのはドラマである。
 人と人が結びつくというのはドラマである。
 そしてその作品ならではのメッセージ・アイデア。

 この3要素を満たして「県庁の星」は楽しいドラマとなっている。

 まず、人が変わっていくということ。
 県庁のエリート官僚・野村聡(織田裕二)は出世の階段を上ることだけを考えている男。
 スーパー満天堂での半年間の民間交流研修もビッグプロジェクトに関わるための一過程。
 トラブルがないことが一番。
 しかし、プライドが高い。
 ヒマな寝具売り場の担当にされると不満を言い出す。
 そんな彼が2つ挫折を味わう。
 ひとつはお弁当競争。
 賞味期限ぎりぎりの食材を使った格安弁当と野村が手掛ける高級弁当の戦いだ。
 結果は野村の惨敗。
 マーケティングなどの理論先行。
 だが、客層・客の気持ちがわかっていない。
 ふたつめは200億の福祉施設建設のメンバーから外されたこと。
 自信があるがゆえに派閥に加わらなかったのが理由だ。
 メンバーから外されたことは野村から婚約者も奪った。
 婚約者の父親が彼を見限ったこともあったが、婚約者も彼との結婚を拒んだ。
 理由は野村が婚約者ではなく、結婚することによる県での後ろ盾、出世をみていたためである。
 野村は人の気持ちのわからない男だった。
 スーパーの客はもちろん、婚約者も県の上層部の気持ちも。
 理由は自分に対する過剰な自信。
 それがこの挫折によって打ち砕かれ、彼の再生が始まる。
 パート店員・二宮あき(柴崎コウ)に消防・保険の検査にパスするよう店を建てた直してほしいと言われる野村。
 すべてを失った野村が「必要」とされた瞬間だ。
 野村は二宮の指示もあって、現場の人間といっしょに汗を流す。
 その中で野村が気がついたこと。
 それは自分が上から物を見ていたということだ。
 ちょうど県庁の高い建物から街を見下ろしていたように。
 そしていっしょに汗を流すことによってスーパーの人間も彼を認めるようになる。
 また、彼の高級弁当も売り方が悪いこと、安い弁当に比べて冷えてしまったらおいしくないことに気づく。
 これは上からのマーケティングでは見えなかったこと。
 客はもっと細かい所から商品を見て買っている。
 こうして彼は変わっていく。
 弁当に象徴されるように上からの理屈で作ったものは決して人から支持されない。
 それは200億の福祉施設でも同じ。
 上からのプランニングで作られたものは決して受け入れられない。
 野村は、スーパーでの研修から県庁に戻ると、市民の望まないサービスを省いた福祉施設、80億で作れる福祉施設を提案する。

 野村は変わり、その結果、スーパーの人間も変わった。
 そして野村は県庁の人間も変えようとしている。

 第2の人が結びつくというドラマはこうだった。
 野村が変わり、スーパーの人間も変わった。
 野村の必死な思いがスーパーの人間に影響を与え、心は結びついたのだ。
 また、スーパーをよくするという目標も彼らを結びつけた。
 結果、野村が県庁に戻る時には満天堂は130%の売り上げ増。
 野村はそのお祝いパーティで一番の功労者として迎えられるが、その時の彼のうれしそうなこと!

 そして二宮との恋愛。
 二宮は野村が来た時はただの邪魔者扱い。(使えないやつが来た)
 だが挫折に涙した野村、挫折から立ち上がってがんばる野村を見て、次第に魅かれていくようになる。
 店の再生という自分の願いを聞いてがんばってくれたところも嬉しかった。
 そして目標を実現していく中で生まれた共感が恋愛に発展したのだ。

 第3のドラマポイントはメッセージとアイデア。
 スーパーの裏側を見せるというアイデアもよかったが、野村が議会で話すこのメッセージがいい。
 「行政改革はシステムや組織の改革ではなく、意識改革だ」
 それはすなわち野村がスーパーで身をもって体験したことでもあった。
 スーパーもそこで働く人間が意識改革をして、スーパーを130%の売り上げ増にした。
 メッセージが主人公が行ってきた物語とうまくリンクしている。
 素晴らしいメッセージだ。

★研究ポイント
 ドラマの作り方
  1.人が変わること。
  2.人と人が結びつくこと。
  3.メッセージとアイデア。

★キャラクター研究:二宮あき
 勝ち気で自分の仕事にプライドを持っている。
 デパートで女性客が何を買うかを観察して、どんな人間であるかを類推する研究熱心さを持ち、枕交換に来るおばあちゃんが話し相手を求めて来ていることも知っている。
 そして彼女がおばあちゃんと話をするのは、お客様に満足して帰ってほしいという店の店員としてもプロ意識、人としての優しさからだ。
 しかし、自分の弱さも知っている。
 店の現状を把握していながらも、現状放置で手をこまねいて見ている自分。
 そこを野村に指摘されると、それは自分の問題ではないと逃げてしまう自分。
 そんな自分の弱さも知っている。
 だから挫折して弱さを見せた野村も包んであげられた。
 自分に出来なかった店の改革を必死でやる野村を尊敬した。
 仕事を持つ女性として実に魅力的な女性キャラだ。

★名セリフ
  1
「あたし、いつも気づくのが遅いんだよね」
 二宮が野村への気持ちを語ったせりふ。
 好きになったのに気づくのが遅かった自分への後悔。
 無器用で間接的な恋愛表現。

  2
「今度デートしよう。マーケティング調査……抜きで」
 野村の二宮への気持ちを語ったせりふ。
 前回はマーケティングでデパートデートをしたふたり。
 今回は「抜きで」と野村はつけ加えた。
 野村も無器用だ。

  3
「女性の方はうまくやれてるの?」
 買い物をする女性の心理を理解していない野村に二宮が語ったせりふ。
 同時に女性を理解していない官僚のぎこちなさも揶揄している。
 このせりふの後、ふたりはマーケティングデートを行い、野村は「女性が形や雰囲気で買い物をすること」を知る。
 そのシークエンスで野村は婚約者にふられていたからドキリとくるせりふでもある。
 考えてみると野村は婚約者とウエディングドレスを選ぶシーンでウエディングドレスを見ていない。仕事の出世の話ばかりをしている。この女性の買い物真理を知っていれば、このシーンの会話も違っていたかもしれない。

 4
 野村と二宮の会話
「接客マニュアルを見せてもらえますか?」   
「はあ?そんなものありませんけど」
「じゃあ組織図を」  
「そんなものなくたってまわって行きますから、民間は!」

★追記
 倉庫で台車がすれ違うシーン。
 台車が行き交い、二宮の台車はいつも迂回路に戻って前に進めない。
 映像として面白かったが、これは整理されていない倉庫の伏線。

 「手を洗て」の張り紙に「っ」の字を書き加え「手を洗って」にする野村。
 これに職員は反感。野村との対立図式を的確に描いたエピソード。

 小道具と言えば県庁のエスプレッソマシーン。
 最初のシーンでは「県民の税金によるコーヒーです」と張り紙がされるが、ラストは「1杯100円」に、県庁の意識改革を象徴させている。
 同時に満天屋のコーヒーは立派なコーヒーメーカでもなく、いつも出がらし。

 野村がスーパー研修で教えてもらったこと。
  ・間違った時は素直に謝ること
  ・知らないことは素直に教えてもらうこと
  ・成功には仲間が必要なこと


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功名が辻 迷うが人

2006年05月22日 | 大河ドラマ・時代劇
 第20回「迷うが人」。

「武士とは何ぞや?」
 ずっと迷っている一豊様(上川隆也)。
 松寿丸を斬らねばならぬ上意。
 三木城の兵糧攻め。
 小りん(長澤まさみ)の叫びがさらに一豊を迷わせる。
 三木城から脱出できず、飢え苦しむ人と共に苦しみ、視力を失った小りんは言う。
「お天道様の下で生きる男がすることか? 目が見えなくなってよかった。鬼となったあんたを見なくていいから」

 人の命を奪うことが本分の武士。
 人の命を奪うことが功名。
 人と武士であることの間で引き裂かれる一豊。

 それは兵糧攻めでも同じであった。
 一豊は自分の槍で子供を殺したが、兵糧攻めでも女・子供を苦しめた。
 どの様な形をとってもいくさはいくさ。

 そんな悩む一豊だが、少しは自分の意思で行動する様になってきた。
 百点満点ではないが、状況の中で自分の落とし所をみつけて行動する様になってきた。
 これは「考えろ、頭を使え」と秀吉に言われ続けてきた効果か?

 まずは松寿丸の件
 一豊は松寿丸を殺したと偽った。苦手な演技までして。
 これは秀吉の知恵でもあったが、明らかに命令違反である。
 一豊は信長(舘ひろし)に言う。
「御命に背きました。いかようにも御処断下さいませ」

 次に三木城の論功。
 一豊は功を中村一氏(田村淳)、堀尾吉晴(生瀬勝久)に譲った。
 理由は兵糧攻めは好きでないから。

 人は自分が信じていたものが揺さぶられる時、迷いを抱く。
 一豊はまさにそうだった。
 その迷いの中で何とか落とし所を見つけ、自分の意思で行動し始めた一豊。
 これが今回のモチーフ。
 しかし武士である以上、その迷いは永遠に解決されない。
 最後は光秀(坂東三津五郎)も自分同様に迷っていることを知って、心癒される。

★研究ポイント
 テーマ:迷うが人

 人は自分の中に矛盾を抱えている。
 人を殺したくないと思いながらも武士である以上殺さざるを得ない。
 この矛盾を抱えながら、迷いながら生きていくのが人間だと作者は言う。
 黒か白でなく、灰色の生き方。
 ただ灰色の生き方は常に迷いがつきまとう。
 では、黒だけの信長はどうか?
 「本能寺の変」で、作者がどう結論づけるか楽しみだ。

★キャラクター研究:小りん
 小りんもまた矛盾を抱えた人間である。
 視力を失い、やせ衰えた小りんは言う。
「やせ衰えた姿を一豊様に見せたくない」
 一方で一豊にこう言う。
「今のあんたは嫌いだ。目が見えなくなってよかった。鬼となったあんたを見なくていいから」
 恋心と失望・憎しみ。
 矛盾があるから人物に共感できる。

 矛盾のない六平太(香川照之)の様な生き方もあるが。

★名セリフ
 1
 林通勝(苅谷俊介)と佐久間信盛(俵木藤汰)追放
信長「そちは権六とは違う。権六はまだ使える」
佐久間信盛
「家臣は道具ではござりませぬ。疲れもすれば迷いもいたしまする。それを怠惰と仰せになるは、あまりに非情」
信長「使えぬ道具は捨てる他なし!」

 2
 安土城天守にて濃(和久井映見)と
濃「誰もが殿のお心がわからず苦しんでおります」
信長「わからずともよい。崇めればよいのだ」

 3
 林通勝と佐久間信盛について
信長「あやつらは弱い。弱いがゆえにおのれの怠慢を許し、ためらい思い迷っておった」
濃「弱き者思い悩む者へのいたわりも必要なのではありませんか?」

★名シーン
 1
 一豊様、はじめての演技。
 このシーンで使われたのはコミカルな音楽。
 笑ってほしいと演出したシーン。
 深刻な迷いのシーンから一転笑いのシーンへ。この緩急の妙。

 2
 安土城の天守閣にベッドを置いて寝そべっている信長。
 赤いベッドに赤い壁。
 天守閣に寝ていること自体が狂気。
 おまけに濃は「光秀を好きか」と問いつめられて気絶。
 その姿を冷たく見つめる信長。

 次のシーンでは縁側に寝そべって寝ている一豊。
 千代が微笑んで羽織をかけてあげる。

 この信長と一豊の対照。

★ちょっと一言
 千代は松寿丸のことでは「流行病」で死んだと一豊に嘘。
 千代が一豊に行った初めてのごまかし。
 これはこのドラマではやっていけないこと、あるいは重大なことでは?

★追記
 濃の気絶。現代劇では見られない芝居が逆に新鮮!
 これをシェークスピアの芝居の様だと書いていらっしゃったブログがあったが、まさにここは芝居の演出。
 信長の所作自体が芝居がかっている。
 演出家は一豊と千代の自然な芝居との対照を狙っているのか?

★追記2 
 もしかしたら小りんは惨めな自分の姿を見せたくなくて、怒ったふりをして姿を消したのかもしれない。
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