goo blog サービス終了のお知らせ 

平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「やまとなでしこ」~どんな誠実な男よりも信じられるのはお金。お金は絶対に裏切らない!

2025年03月28日 | 恋愛ドラマ
 ドラマ「やまとなでしこ」の神野桜子(松嶋菜々子)はこんな女性だ。

「恋なんかに落ちちゃダメ。あんなもんに落っこちるから人生とっ散らかるのよ。
 舞い上がったり落ち込んだり、そんなの単なるエネルギーのロスよ。
 本当に幸せになりたかったら一時の病気よりも冷静な判断力。
 どんな誠実な男よりも信じられるのはお金。お金は絶対に裏切らない」

「今、何と? このわたくしが失恋? 
 失恋というのは、恋を失うというあの失恋かしら?
 恋なんていうものはね、人間もどきにするものじゃなくてお金にするものなの。
 お金は女を裏切らないの。私の辞書に『失恋』なんて言葉はないの」

 桜子という主人公は画期的だ。
 何しろ恋愛ドラマなのに恋愛を否定してしまうのだから。
 当然、桜子は貧乏人の魚屋の中原 欧介(堤真一)を否定する。
「中原欧介、究極の貧乏で苦労しすぎて幻覚でも見たんじゃないの? おーほほほっ!」
「この人は貧乏が趣味なの。貧乏が生きがいなの。貧乏じゃないと生きていけないの」
    ↑
 見事なせりふ!笑
 脚本は中園ミホさん(相沢友子さんも5話・8話を担当している)。
「やまとなでしこ」の中園ミホさん、せりふが冴えまくってるなぁ!
 こんなせりふもある。
「バッカじゃ中目黒! 何祐天寺(なに言うてんじ)!」
 ※東京に住んでいないとわからないかもしれないが。

 一方、「貧乏が生きがい」の中原欧介を好きになる女性が出て来る。
 桜子の後輩CAの塩田若葉(矢田亜希子)だ。
 若葉は言う。
「がんばってお店を続けましょう! わたしは魚屋の欧介さんが好きなんです」

 若葉ちゃん、良い子だ。
 魚屋を手伝ってくれるし、すべてを受け入れてくれるし、
 僕を含めた世の男たちはほとんど〝若葉ちゃん派〟だろう。

 だが最終的に欧介が選んだのは桜子。

 数学の研究で魚屋をやめてニューヨークに行くことをためらう欧助に桜子は言う。
「要するに数学から逃げてるだけでしょう! 一歩踏み出しなさいよ!」
「何がニューヨークよ! 何が数学よ!
 ニューヨークに行ったってまた逃げて帰ってくるんじゃないの?
 とっとと行っちまえ! 行くなら一生帰って来るな! 今度は絶対逃げんなよ!」

 この桜子の言葉の方が若葉の言葉より、欧介の心に染み込んだんですね。
 なにしろ若葉の言葉は──
「がんばってお店を続けましょう!」
「数学にのめり込んだら欧介さんはわたしが見えなくなる」
「わたしは魚屋の欧介さんが好きなんです」

 欧介は現状維持より一歩踏み出すことを選んだ。
 魚屋よりニューヨークに行って数学の研究をすることを選んだ。
 その時、傍らにいるべき女性は──桜子。

「やまとなでしこ」ひさしぶりに見たが面白かった。
 ともかく神野桜子というヒロインが強烈で素晴しい。
 神野桜子はひとつの時代をつくった女性像になった。


※追記
 桜子のキャラクターについて書き加えておくと──
・桜子がCAになったのはファーストクラスのお金持ちと親しくなれるから。
・過労で倒れたのに病院から抜け出して合コンを掛け持ち。
・東十条さん(東幹久)との結婚が決まっているのに、
「結婚式の前日まで、さらに上の男を探すのよ!」と言って合コン。

 このバイタリティと貪欲さ──桜子さんから学ぶことはたくさんある。
 日本がまだ元気だった時代の象徴でもある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「こっち向いてよ向井くん」~向井くんはフラれる! これって平成・令和版の「男はつらいよ」だよな

2023年10月04日 | 恋愛ドラマ
 遅ればせながら夏ドラマ。
「こっち向いてよ向井くん」、面白かった。

 内容は、平成・令和版「男はつらいよ」。
 向井くんはフラれる。

 派遣社員・中谷真由(田辺桃子)に対しては、
 真由が自分に好意があると勝手に勘違いして玉砕!
 これ一番恥ずかしい……!
 かく言う僕も昔このパターンでやらかした!

 羽鳥アン(久間田琳加)はかまってちゃん。
 常にかまってくれないと満足しない女の子で、
 30代の向井くん(赤楚衛二)が疲れ果ててしまうと、あっという間に他の男に乗り越えられた。

 原チカ(藤間爽子)はひたすら結婚したい女性。
 向井くんも結婚願望があっていい所まで行くが、
 気持ちよりも結婚がひとり歩きして別れることに。

 そして、10年前に別れた元カノ・藤堂美和子(生田絵梨花)。
 再会して意気投合するが、美和子の向井くんへの気持ちが寂しさを紛らわせるものであったことがわかって上手くいかなくなる。

 この作品で面白いのは、女性視点の答え合わせシーンがある所。
 向井くんの言動に対して、真由やアンやチカが何を思ったかが描かれる。
 向井くんと女性の認識が見事にズレていて、男と女の間には深くて広い川があることがわかる。
 僕を含めた男たちは女性という生き物の不可解さ、がく然とする。

 そして、この作品のもうひとつの仕掛け。
 向井くんの恋愛相談に乗ってくれる坂井戸洸稀(さかいど こうき)という女性が登場するのだ。

 洸稀(波瑠)はスパイス&バー「パイレオ」の常連客。
「パイレロ」は向井くんの義理の弟(岡山天音)の店で、向井くんもよく行く。
 そこで洸稀は向井くんに恋のアドバイスをしてくれるのだ。
 言わば、女性という不可解な生き物について解説してくれる存在。

 この洸稀さんが実に素敵な女性なのだ!
 凜としてカッコ良くて、オトナの女性で、会話が楽しい。
 向井くんとはスウイングする会話。
 当然の帰結として、向井くんは洸稀に恋をする。
 その恋の行方やいかに?
 …………………………………………………………

 ひさしぶりに面白い恋愛ドラマだった。

 田辺桃子さん
 久間田琳加さん
 藤間爽子さん  
 向井くんの妹役の藤原さくらさん といったキャスティングもいい。

 生田絵梨花さんは乃木坂時代がオーバーラップして、
 どうしても「いくちゃん」に見えてしまうのだが……。

 あとは波瑠さん、ほんと魅力的!
 何気なく入った店に坂井戸洸稀のような素敵な女性がいるかもしれない。

 さまざまな摩擦や葛藤が生まれるが、誰かと出会うのはやはり素晴しいことなのだ。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恋です! ヤンキー君と白杖ガール~生きづらさを抱えている主人公達! だけどコメディ!

2021年12月03日 | 恋愛ドラマ
『恋です! ヤンキー君と白杖ガール』面白い!
 僕の中では、今季のドラマの中では一番だ。

 まず弱視・目の不自由な方の生活がよくわかる。
 何に苦労していて、
 どんなこと感じ、考えて、
 どんな生活を送っているのか。
 この作品を見て点字ブロックや音声信号のことがわかったもんなあ。

 主人公の赤座ユキコ(杉咲花)がサバサバして明るいのもいい。
 こういう作品だと、どうしても可哀想に描きがち。
 でも今作は基本コメディだ。
 もちろんユキコに苦労や悩みがないわけではない。
 自分が何も出来ないこと、将来への不安、目の見える人へのコンプレックスや嫉妬。
 そんなユキコを励まし、前向きにしているのが、おバカヤンキーの黒川森生(杉野遙亮)だ。
 森生に触発されて、ユキコはひとりでバスに乗り、アルバイトを始め、学校を卒業したら食品関係の仕事に就きたいと考えるようになる。
 ストーリーとしてはオーソドックスだが、語り口が上手いのでグイグイ引き込まれてしまう。

 目の不自由な役を演じている役者さんたちが上手いな。
・主人公の杉咲花さん。
・紫村空役の田辺桃子さん。
・青野陽太役の細田佳央太さん←「ドラゴン桜」の健太役。
 彼らは目が見えない演技をする。
 何が普通の演技と違うかと言うと、眼球を動かさないんですね。
 眼球を動かしたら見えていることになってしまう。
 あとは若干の体の強ばり。
 目が見えないから、外を歩く時はすこし体が強ばっているのだ。
 この3人、本当に見事な演技。

 悩みを抱えているのはユキコだけではない。
 森生はケンカでつくった傷が顔にあり、それで社会から敬遠されている。
 金沢獅子王(鈴木伸之)はゲイで、実は森生のことが好きだ。
 ユキコの姉イズミ(奈緒)はそんな獅子王を好きになるが、獅子王に「自分はがゲイだから愛せない」と言われてしまう。

 何かが欠けていて生きづらさを抱えている主人公たち。

 でもね、さっきも書いましたけど、この作品、シンコクにならないんですよね。
 あくまでコメディで描いている。
 これがお涙頂戴ものだったら、作品としてつまらない。

 シンコクな内容をコメディで描く。

 お洒落ですね。
 だから楽しい!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウチの娘は、彼氏が出来ない!~恋愛ドラマを書けなくなった北川悦吏子さんの心の叫び!

2021年02月03日 | 恋愛ドラマ
 水無瀬碧(菅野美穂)は恋愛小説家。
 しかし恋愛小説を書けなくなっている。

 碧って、脚本・北川悦吏子さんの分身ですよね。
 かつてトレンディドラマで名を馳せた北川悦吏子さんだが、
 もはやキュンキュンするような恋愛ドラマを書けずに足掻いている。

 現在の恋愛ドラマの定番と言えば、火曜10時のTBS。
 現在、放映中の『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』
 僕も見ているが、面白い。
 仕事や恋愛に翻弄され、悩みつつも、最終的には仕事も成功し、恋愛も成就する。
 ハラハラドキドキ! ときどきキュン♪
 高級犬の菜々緒さんの下で雑種の子犬のようにがんばってる上白石萌音さん!
 結末はわかっているのだが、過程がなかなか波瀾万丈で、つい見てしまう。

 一方、『うちの娘は、彼氏が出来ない!!』は、この過程がない。
 碧や娘の空(浜辺美波)は男性を好きになるが、すぐに幻滅したり、フラれたりして、最後は「母と娘の世界」に帰っていく。
 恋愛成就までのスッタモンダがほとんどない。
 すぐに結論が出てしまう。
 北川先生、このスッタモンダが書けなくなってしまったのかな?
 起承転結で言えば、「承」の部分があっさりしている感じ。
 物語では、この承の部分をいかにふくらまして面白く描くかが重要なのに。
 そして、承がなくて尺が埋まらないから、俊一郎(中村雅俊)や沙織(福原遥)のエピソードを入れたりしている?

 それと、碧たちは「恋愛をするために恋愛をしようとしている」感じだ。
 自分の心の中でぽっかり空いた穴を埋めるために誰かを探している。
 碧は小説を書くために恋愛しようとし、空は自分を変えたくて恋愛しようとしている。
 で、最終的に彼女らの心を埋めるのは、母娘関係。

 この作品は「恋愛ドラマ」というよりは「母娘ドラマ」として見た方がいいのかもしれない。
 とは言え、リアリズムという点では、『オー! マイ・ボス!』よりは、『ウチカノ』なんだよな。
 僕たちの日常は『ウチカノ』のように平坦で淡々と進んでいき、
『オー! マイ・ボス!』のような波瀾万丈なキュンキュンなどほとんどない。
 でも、現役の若い人たちは日々キュンキュンしているのかもしれない。

 僕も北川悦吏子さんも歳をとったということか。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「逃げるは恥だが役に立つ」SP ガンバレ人類!~新型コロナを扱ったはじめての作品!

2021年01月03日 | 恋愛ドラマ
「館山の実家に疎開することを提案します」
 平匡さん(星野源)とみくり(新垣結衣)はこんなふうに夫婦生活を送っているんですね。

 問題に直面すると、
 まず考え、ふたりで話し合い、違いを理解、結論を共有し合って物事を進めていく。

 それはコロナだけでなく、夫婦の姓、家事、出産、育休、子育てのあり方などあらゆることで。
 理屈っぽくて面倒くさいけど、これがふたりのライフスタイル。
 愚直だよなあ。
 フツーは立ち止まって深く考えることをせず、なあなあ、で進んでいく。

 でも、これはふたりが生活の一瞬一瞬を大切にしてるってことじゃないかな?
 料理にしても必ず感想を言い合うし、すごく密度の濃い生活を送っている。
 トイレットペーパーの品目とかも、おそらくふたりで話し合って決めたに違いない。

 しかし、こんなふたりがコロナによって、離れて生活することになった。
 失われる理解と共有の生活。
 メールや電話、遠くからしか、お互いを感じられない生活。
 そこで、ふたりが実感したのは、今までの生活がいかにかけがえのないものだったかということ。
 ラスト、平匡とみくりは近くにいられる生活をより大切にしたいと心に決める。
 みくりがつわりで苦しんでいる時もディスコミュニケーションだったが、平匡さんは「もう一度やり直して、もっと楽しめばよかった」と述懐する。

 一瞬一瞬を大切にして楽しむ密度の濃い生活。
 立ち止まって深く考える生活。
 僕も心がけたい。
 ……………

 新型コロナを題材にした作品は今作が初めてだろう。
 ちなみに東日本大震災を初めて扱った作品は『あまちゃん』。
『MIU』とかを見てて思うけど、脚本・野木亜希子さんは社会派だねえ。
 今作では他にも「選択的夫婦別姓」「少子化・育休」「同性婚」「独り身」「男らしさ」のテーマを扱っていた。
「夫婦同性」が明治からのもので歴史が浅いこともよくぞ言ってくれた。
 保守系議員や日本会議の連中が言っている「夫婦同姓は日本の伝統」というのは間違いだ。
 作品でのそれぞれのテーマに対する掘り下げは浅い感じがしたが、
 花村伊吹役の西田尚美さんのツィッターに拠ると、「同性愛」「同性婚」の物語は脚本にはしっかりあって撮影もされたが、尺の都合でカットされたらしい。
 僕は西田尚美さんのファンなので実に残念……。

 さて、新型コロナを扱った作品は今後どんな形で出て来るのだろう?
 作家にとって、3.11と新型コロナは重要なテーマだと思うが。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この恋あたためますか?~俺様な王子様がヒロインを助ける王道ドラマ! でも、お酒を飲んでゲロを吐く森七菜なんて滅多に見られない!

2020年10月28日 | 恋愛ドラマ
 森七菜推しとしては見なければならない作品なのだ。
 ご存じない方に七菜様を説明すれば、
「天気の子」のヒロインのCV・朝ドラ「エール!」の梅ちゃん役。
 オロナミンCのCMでは、生徒会長や放送部員役で元気に飛び跳ねてる!(笑)

 森 七菜・もり なな・オロナミンC CM「スマイル」(YouTube)
 ………………

 物語はコンビニのスウィーツ開発のヒロイン奮闘記。
 壁にぶち当たり苦闘するヒロイン樹木(森七菜)。
 そんな樹木を冷たく突き放しながらも応援するコンビニチェーン社長が中村倫也さん演じる浅羽。
 そして樹木はスウィーツ作りに関しては抜群のセンスと味覚をもつ少女。

 王道ですね。
 たとえばコミック『ガラスの仮面』。
 ヒロインの北島マヤは抜群の演技センスを持つ女の子。
 それを影から見守る王子様(=速水真澄)がいて、ヒロインを鍛える教師(月影千草)がいる。
 今作の場合は、浅羽が速水真澄と月影千草を兼ねている。
 で、浅羽はいわゆる「俺様」。

 だから物語的には既視感があるんだよな~。
 王道であるがゆえに新鮮さがない。
 でも七菜様が元気に跳ねまわっているから見よう!
 お酒を飲んでグデングデンになり、ゲロを吐く森七菜なんて滅多に見られないし(笑)
 ………………

 毎回、浅羽は樹木の心を揺さぶるせりふを言う。

「君が必要だ」(#1)
 樹木は昔アイドルをやっていて、年齢ゆえに「必要ない」と言われていた。
 だから浅羽のこの言葉は樹木の心をえぐった。

「あのシュークリームは君がいたからできたんだ」(#2)
 コンペには負けたが、樹木の存在がまわりに、やる気や競争心を生み、良い影響を与えた。
 結果、ライバルの北川里保(石橋静河)は素晴らしいシュークリームをつくった。
 商品化には至らなかったが、浅羽は樹木がまわりに良い影響を与えたことを評価したんですね。
 こんなふうに部下を評価してくれる上司ってありがたいよな~。

「君がいたから○○できた」
 これは言われて、うれしい言葉ですね。
「必要ない」と言われることを怖れている樹木にとっては救われる言葉。

 樹木のスウィーツづくりをフォローして助ける新谷(仲野太賀)も「リセット」という言葉を使って樹木を励ましたが、これもいい言葉!

 樹木・浅羽・新谷は三角関係になりそう。
 これに里保がさらに恋のライバルとして加わって。
 これまた王道な展開だ。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

逃げるは恥だが役に立つ~生きるとは「面倒くささ」を引き受けること。平匡は、みくりの面倒くささを愛おしく思った!

2020年07月06日 | 恋愛ドラマ
『逃げるは恥だが役に立つ』
 最終話で平匡さん(星野源)は、みくり(新垣結衣)にこんなことを言っていた。
 みくりが「自分は小賢しくて面倒くさい。文句を言わずに働いてくれる家政婦さんを雇った方がいいんじゃないか」と言った時に返した言葉だ。

「面倒を極限まで下げ続けていたら、
 歩くのも食べるのも面倒になって、息をするのも面倒になって、
 限りなく死に近づいていくんじゃないでしょうか?」


「生きていくのって面倒くさいです。
 それはひとりでもふたりでも同じで、それは別々の面倒くささがあって、
 どっちも面倒くさいんだったら、いっしょにいるのも手なんじゃないでしょうか?
 話し合ったり、無理な時は時間を置いたり、だましだましでも何とかやっていけないでしょうか?」


 生きることは面倒くさいこと。
 生きるとは他人に面倒をかけること。

 これがわかって来ると、
 自分が重荷を背負った時、少しは楽になれるし、
 他人にやさしくなれる気がする。

 ついでに言うと、
 民主主義も面倒くさいシステム。
 議論をして、少数者やさまざまな立場の人の意見を聞いて、修正をして、意思決定をしていく。
 選挙という意思表明の場もある。
 これが独裁だと、独裁者と一部の人間が意思決定するから、面倒くさい手続きを踏まなくていい。
 でも独裁だと、独善に陥り、独裁者が間違えばすべてが間違うし、腐敗も起こる。
 最近、面倒くさい民主主義を捨てて、独裁を望む声があるようだけど、やめようよ。
 北朝鮮や中国のようになったら息苦しい。

 平匡さんが言っていた
『面倒を極限まで下げていったら限りなく死に近づいていく』
 というのはSFがユートピアを描く時に必ず出て来るモチーフ。
 ロボットが労働を担い、AIが世界の管理をおこなう面倒くささがない世界では、人間は何も考えず意思を失い、ただ遊ぶだけの存在になる。
 作品は、それが本当の幸せなのか? と問いかける。

 話が脱線してしまったが、『面倒くささ』って時代を考える上でのキイワードだと思う。

 最後はもうひとつ平匡さんのみくりへの言葉。

「みくりさんは自分のことを普通じゃないって言ってたけど、
 僕からしたら今更です。
 とっくに知っていました。たいしたことじゃありません」


 平匡さんはみくりの面倒くささを引き受けている。
 みくりの面倒くささが逆に心地よくて、愛おしく思っている。

 平匡さんとみくりは今後も互いの面倒くささを引き受けながら、楽しく生きていくのだろう。
 ていうか、このふたり、いきなり『真田丸』のテーマを流して議論を始めたり、結構面倒くさいよね(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きみが心に棲みついた 第7話~「恋愛は理性ぶっ飛んでアホになるから厄介なの」、八木泉の言葉は深いなぁ

2018年02月28日 | 恋愛ドラマ
 首のネジネジを外して、今日子(吉岡里帆)は星名(向井理)の呪縛から解放されましたね。
 解放したのは吉崎(桐谷健太)。
 そして、堀田麻衣子(瀬戸朝香)、八木泉(鈴木紗理奈)のお姉様たち。

 堀田麻衣子は今日子に言う。

「過去にとらわれて吉崎さんを手放したらバカだよ!
 奴隷みたいじゃん。もっと理性的になりなよ」

 過去に恋愛で失敗した八木泉のアドバイスはより具体的だ。

「何で堀田が結婚できんかわかったわ。←麻衣子批判(笑)
 やいやい正論ばかり言いなや。
 恋愛は理性ぶっ飛んでアホになるから厄介なの。
 少なくともアホな恋愛経験はあんた(=麻衣子)よりある。
 相手がクズでもな。そのクズに救われることがあるねん」

 クズな男と恋愛したことによる共感。
 八木の方が今日子に近い距離で寄り添ってる。
 一方、麻衣子は正論。
 共感は正論より説得力がある。
 心から心配していることは麻衣子も同じなのだが。

 さて星名。
 今日子の喪失は彼に何をもたらすのかだろう?
「星名のくせに」とからかわれ、居場所がなかった星名は今日子と同じ存在。
 星名は今日子を理解できる〝今日子の側の人間〟。
 一方、吉崎(桐谷健太)は〝今日子の側の人間〟じゃないからなぁ。
 必死にわかろうと努力はしているんだけど。


 第8話予告はこちら
「分かりあえる日はこない…」支配男との最後の一日 3/6(火)『きみが心に棲みついた』#8

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きみが心に棲みついた 第2話~「他の人にやさしくしないで」 星名の呪縛から逃れられない今日子

2018年01月24日 | 恋愛ドラマ
「他の人にやさしくしないで」

 今日子(吉岡里帆)は星名(向井理)の手のひらの上で踊らされてますよね。
 星名は他の女性と仲良くすれば、今日子が不安になり、追いかけてくることがわかっている。
 今日子にとって星名は〝心の支え〟であり、〝星名の喪失〟は耐えられないことなのだ。
 表面では否定しても、心の奥底では繋がっている。

 心の闇を共有している点で、今日子と星名の絆は堅い。

 一方、吉崎(桐谷健太)は今日子の表面しか見ていない。
 仕事をがんばっている女の子。
 しっぽをふって追いかけてくる子犬を見ている感じ。
 でも、今日子の奥底に何かがあるのを無意識に気づいている。
 吉崎が今日子を意識していく過程と、スズキ(ムロツヨシ)のマンガの制作過程がリンクしているのが面白い。

 今日子は星名の呪縛から離れて自立できるのだろうか?

 第3話予告はこちら。
 歩かなきゃ…あの人のために。 1/30(火)『きみが心に棲みついた』#3(YouTube)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きみが心に棲みついた 第1話~俺様王子とヒーロー王子! キョド子は自分を変えられるか?

2018年01月17日 | 恋愛ドラマ
 ふたりの王子の間で揺れ動く小川今日子(吉岡里帆)。

 星名漣(向井理)は俺様王子。
 相手を支配し、独占しようとする。
 彼が求めるのは絶対服従。

 吉崎幸次郎(桐谷健太)は困った時に助けてくれるヒーロー王子様。
 今日子がサンプルの下着を歩道にぶちまけると拾ってくれるし、星名に机に押し倒されて泣いていると電話をかけてくる。
 吉崎に助けている意識はないのだが、タイミング良く現われるので今日子には救いになる。

 星名と吉崎は〝ありのまま〟と〝変化〟の対立でもある。

「ありのままの今の今日子でいい」という星名。
 絶対的な支配に置きたい星名は今日子に変わられては困るのだ。
 変われば自分のもとからいなくなってしまう。

 一方、吉崎は、
「ありのままでいいなんて甘えだ。自分を変えろ!」
 と今日子を叱る。
 今日子も心の奥底で変わることを求めていたから、吉崎の言葉が砂漠の水のようにグングン染み込んでくる。

 少女マンガですなぁ。
 ふたりの王子の間で揺れ動くヒロイン。
 客観的に見れば、星名は〝DV男〟なのだが、星名の行為を単なるDVと捉えると、多分この作品を読み間違える。
 作品としては『花より男子』『黒崎くんの言いなりになんてならない』をよりハードにした感じ。
 おそらく女性視聴者は星名の行為にキュンキュンしていることだろう。
 同時に今日子の成長物語でもある。
 …………

 吉岡里帆さん、上手いなぁ。
 今日子は〝キョド子〟で〝イタい女の子〟なんだけど、なぜか魅力的。
 吉崎へのメールの連投ww
 吉崎を建物の陰から見つめる姿はストーカーww
 支配されたり、叱られるのが好きで、ドMでもある。
 向井理さんの星名もそうだけど、今日子と星名は病んでいて演じるのが難しい役。
 一歩、間違うと視聴者から嫌われてしまう。

 オトコ目線で言えば、吉岡里帆さんのおっ●い!
 おおっ!
 はあ……!
 何と!
 男性視聴者で、ここに注目しないヤツは絶対にいないっ←セクハラ!
 今日子が勤めてるのが女性下着メーカーだし、これらを目的にして見るオトコも多いはず!
 オトコって、ほんと、どーしようもない。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする