ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

「サブカルの元ネタを知るための海外SF入門」

2024-04-27 | 雑読日記(古典からSFまで)。
 ……というタイトル(=コンセプト)の本があったら便利なのになあ……というお話。


 ブログを書くのはけっこう手間暇がかかるので、どうしても更新が滞ってしまう。
 今回はあまり力を入れないで、「読書メモ」「覚え書き」くらいのつもりで書いてみましょう。
 たとえば『機動戦士ガンダム』(初代)は、岡田斗司夫もいうように、ロバート・A・ハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』(ハヤカワ文庫)や『宇宙の戦士』(同)から強い影響をうけている。
 いま前編が劇場公開されている浅野いにおの『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(小学館)は、その源流をずうっと辿っていったら、アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』(ハヤカワ文庫/創元SF文庫/光文社古典新訳文庫)に行き着くだろう。
 アニメ化もされた有川浩の『図書館戦争』(角川文庫)は、レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(ハヤカワ文庫)への有川流のオマージュであり、作中でもそのことは示唆されている。
 浦沢直樹が手塚治虫の「鉄腕アトム/地上最大のロボット」をリメイクした『PLUTO』(小学館)は、いうまでもなくアイザック・アシモフ『われはロボット』(ハヤカワ文庫)の末裔だけども、より近いところでは、マーサ・ウェルズの『マーダーボット・ダイアリー』(創元SF文庫)を想起させる。この2作、発表された時期から考えて、どちらがどちらに影響を与えたとも言い難いし、たぶん双方ともに互いの作品を読んでないと思うが、それでもいろいろ似通ったところがあるので、読み比べてみるのも一興だろう。
 むろん、サブカルにおける影響関係なるものは、J・ボードリヤールのいわゆる「シュミラクル(模像)」ではないけれど、あたかも万華鏡のごとく、複雑多岐に絡み合っていて、時には作り手自身にすらはっきりと意識されてないことすら珍しくないが、ここに挙げた4つのケースは、わりと明確に見て取れるものだと思う。
 ほかにもいくつか事例をメモしておいたのだが、そのノートが見当たらず、これくらいしか思い出せない(それもあって、とりあえず思い出せるだけでもブログにアップしておこう……という気になったのだが)。
 「ネタ元さがし」といった下世話な趣味ではなくて、現代日本のサブカルを代表する作品の数々が、どれくらいSFの(それも古典的名作の)影響を受けているか……についてもっと知れば、文学というものの(純文学だけが文学ではない!)奥行きや厚みを体感できて楽しい。
 ぼくはサブカルもSFも好きだが、どちらについてもさほど詳しいわけではないので、だれか双方に通じたマニアックなひとが「サブカルの元ネタとなった海外SF」を系統立てて網羅した著作を出してくれないものか……と夢想してます。





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