ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

宇宙よりも遠い場所・論 48 宇宙よりも遠い場所 06 最後の旅へ

2019-01-14 | 宇宙よりも遠い場所
 翌朝。カメラはいったんキマリたちに戻る。

 似顔絵入りの垂れ幕が。


 キマリ「おおー、すごーい」
 日向「だろ? 手づくりだってさ」
 結月「これ、内陸旅行に持っていくらしいですよ」


 報瀬の顔もある。
 それを見たキマリ、「あ……」とつぶやくが、必ずしも嬉しそうなだけではない。もうすこし複雑な顔だ。

 藤堂が近づいて、
「それ荷物?」
 キマリ「え……はい!」
「多すぎる。あと半分に。5分で」
「うそ!」
 そのとき、結月が「あ」といって、一角に目をやる。



「おはようございます」
 その顔も、声音も晴れやかだ。


 
 それを見て初めて、キマリが笑顔をみせる。
 藤堂「おはよう」



 そうなのだ。がむしゃらに南極を目指してバイトに明け暮れていた頃とは違う。今はもう、1人ではないのだから。


 報瀬のナレーションで。
「こうして、最後の旅がはじまった。ニッポンから14000キロ。宇宙(そら)よりも遠い、彼方にも思えたその場所へ」



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