この映像、
USBに入れて、お菓子の箱に隠して
国外に持ち出されたんだって。
「これは映画ではない」66点★★★
禁止されているサッカー観戦をしたいイラン女子の話
「オフサイド・ガールズ」(06年)などで
イランの現状を鋭くユーモアも交えて描いてきた
ジャファール・パナヒ監督。
しかし監督は政府から
「反体制的な活動」だと
20年間の映画制作を禁止されてしまった。
本作は
そんな監督が悶々とし
しかしそれではすまないぞと
自分の周辺を撮ったドキュメンタリー。
冒頭、キッチンで朝食をとる自分を
固定カメラで撮った画をみて
「あ、キム・ギドクの『アリラン』に似てる」と思った。
そのカンは、まあまあ外れていなかった。
状況は違えど
映画人の「撮れない」もどかしさ、自己愛などには
やはり近いものがある。
違うのは、ユーモアが多いことと
こちらは相当いい家に住んでることかな(笑)
映画を撮ることはもちろん
脚本を書くのもダメ、おまけに禁固6年になるかもしれない状況に
ひどく退屈している監督は
仲間の監督を呼び出して
「これは映画ではない」と言いながら
家族が留守な一日、カメラを回させる。
かかってくる電話の内容は先行き暗く
窓の外には銃声のようなものがたえず聞こえる(後にこの音の正体は明らかになるけど)
しかし悲壮さがないのは、
電話で彼に用事を言いつけまくる妻のマシンガントークや
同居するペット(これが意外性あり!笑)が醸し出す笑いのおかげ。
それでも
撮れないもどかしさに苦しみ、
退屈に身悶えする姿は痛々しく、
強大な力に理不尽に押さえつけられる辛さを
映し出しています。
この秋の日本は
「イラン式料理本」やキアロスタミ監督「ライク・サムワン・イン・ラブ」
さらに
「チキンとプラム」(11/10公開)と
“イラン映画祭り状態”なので
ぜひ、この状況も知っておくべきかと思います。
★9/22(土)からシアター・イメージフォーラムで公開。ほか全国順次公開。
「これは映画ではない」公式サイト