ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

さよなら歌舞伎町

2015-01-20 20:29:35 | さ行

下半身があってこそ、人間がリアルに息をする。


「さよなら歌舞伎町」72点★★★★


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新宿の、ある朝。

ミュージシャン志望の沙耶(前田敦子)は
一緒に暮らす恋人の徹(染谷将太)に
「デビューできるかもしれない」と話す。

そんな徹が出勤したのは
歌舞伎町のラブホ。
彼は沙耶に内緒で、そこで店長をしていた。

同じ朝、
韓国人のヘナ(イ・ウンウ)と恋人(ロイ)は軽いケンカをし、

里美(南果歩)と男(松重豊)は
怯えるようにコソコソと暮らしている。

そんな歌舞伎町の人々の一日が、今日も始まる――。

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「ヴァイブレータ」(03年)の
廣木隆一監督×荒井晴彦脚本コンビによる
ラブホを舞台にした人間模様。

若いカップル、訳ありそうな中年の男女などなど
幾つかエピソードが同時に進み、

ネタの中身はマンガ『深夜食堂』ふうというか
それをさらに密に、分厚くした感じとも言えますが


爽やかな朝のカップルのじゃれあいから
ラブホのベッドの上まで

どこにも“生きてる”空気があり、
なかなか見応えありました。


前田敦子氏の出番はもっとあっていいと思うけど(苦笑)。

染谷将太氏が、
就職に失敗してラブホ勤務という
やるせない若者のモタつきと
うめきをよく表現してる。

“夜”っぽい題材に似合わず、
朝や昼間の明るい陽光に照らされたシーンが心に残り

ピンクさもあり、しかし青春映画の佇まいというのが
いいっすね。


★1/24(土)から新宿テアトルほか全国順次公開。

「さよなら歌舞伎町」公式サイト

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