ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ビッグ・アイズ

2015-01-19 21:25:09 | は行

ふうむ。こういう感じね。


「ビッグ・アイズ」61点★★★


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1958年。カリフォルニア。

離婚してシングルマザーとなった
マーガレット(エイミー・アダムス)は
絵で仕事を得ようとするが
内向的な性格もあり、なかなかうまくいかない。

あるとき彼女は
風景画家だというウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)と出会う。

ウォルターはマーガレットが描く
大きな目の子どもの絵に興味を持ち
マーガレットは社交的なウォルターに惹かれていく。

そして
二人は結婚するのだが――。

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1960年代、異常に大きな目(ビッグ・アイズ)の子どもを描き
大人気となった実在画家キーンの話を
ティム・バートン監督が映画化。

ブライス人形や
それこそティム・バートン監督にも影響を与えた画家だそうですが
映画としては
ティム・バートンらしからぬというか、
起こったことがそのまま描かれてるような
ひねりのない人物伝で、逆にびっくりした。


まあ今回はネタが難しかった気もする。


表に出なかった妻の仕事が
のちに明らかになるものとしては
「ふたりのイームズ」のイームズ夫妻をちょっと思い出したけど、

この夫は絵心すらなく
妻に絵を描かせて自分の手柄にしたという完全な確信犯。


しかしですね
彼には売り込み能力や宣伝力があるんだなあ。

絵画本体ではなくポスターにして量産するなど、
アンディ・ウォーホルの先を行っていたわけだし。

結局、
画家も作家も、売れなければ誰にも知られない。

そして多くの場合
アーティストはセールスマンにはなれない。

そういうアートのジレンマを描いているので
テーマは深いんです。


ただ身も蓋もないけど
夫も妻も“自業自得”といえばそうだよなあと、感じてしまった。

日陰で泣いた妻・マーガレットも
一度は庇護者のいる安心と安全、そして名声と金銭を取っちゃったわけで
気の毒だけど、あながち夫を責められないつうか。

とまあ、フクザツですが
「こんな実話があったんだ!」という驚きはあり。
クライマックスも予想はつくけど、スカッとしました。

ちなみに
マーガレット・キーンさんは87歳でいまも絵を描かれているそうです。


★1/23(金)から全国で公開。

「ビッグ・アイズ」公式サイト

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