ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

聖の青春

2016-11-13 23:07:56 | あ行

地味でも、真摯に撮る。
心意気を感じました。


「聖の青春」70点★★★★


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1994年、大阪。

大阪の路上で倒れていた青年が
近所の人の助けで、将棋会館に運び込まれる。

彼の名は村山聖(さとし)(松山ケンイチ)。
“西の怪童”と呼ばれるプロ棋士だ。

彼は幼いころから
腎臓の難病ネフローゼを患い
自由の効かない身体と闘いながら
「名人」のタイトルを目指して進んできた。

しかし、そんな彼の前に
同世代の天才棋士・羽生善治(東出昌大)が立ちはだかる――。


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あの羽生善治氏を追い詰めた伝説の棋士、
村山聖(さとし)の人生を描いた作品。

村山氏は
人気コミック「3月のライオン」のあのぽっちゃりした二階堂氏の
モデルともされている棋士です。


で、映画はというと
あえて地味でも“真摯に撮る”
そんな覚悟を感じました。


頭の中が戦場、という
将棋の試合は映像にしにくいと思いますが
実際、映画でも
将棋の駒が派手に飛ぶようなこともなく
心理戦をCGで表現するようなこともない。

それでも
将棋を知らないワシでも
棋士の思考の深みを、少しのぞくことができた気がした。


松山ケンイチ氏の熱演で
“西の怪童”と呼ばれた村山聖という人が
非常に人好きのする、チャーミングな人だったんだなということも
よくわかりました。

松山氏は
一説には体重を20キロも増やして(!)、役に挑んだそうですが
体型だけでなく
無法さ、純真さが垣間見える
村山氏の黒目がちな目の演技まで渾身。

さらに
東出昌大氏演じる羽生名人が激似!(笑)
これはずるい!というほどですよ。
まあ東出さんは相当な将棋好きで羽生ファンだそうで
これはしかたないですね。


村山氏が最大のライバルとしていた
羽生さんとの対決シーンには涙がにじみました。

『週刊朝日』11/4号で
羽生善治さんと松山ケンイチさんの対談を取材させていただいたのですが

※ここから抜粋が読めます。

本当に村山さんと羽生さんの間には
「底で通じていた」感があったみたいで
なんだか、さらにグッと・・・(涙)


原作の『聖の青春』(大崎善生著、講談社文庫)も
アッという間に読めるおもしろさなので
おすすめです!


★11/19(土)から全国で公開。

「聖の青春」公式サイト

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