ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

パリの調香師 しあわせの香りを探して

2021-01-14 23:50:48 | は行

エマニュエル・ドゥヴォス、やっぱいいなあ。

 

「パリの調香師」73点★★★★

 

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現代のパリ。

運転手業をするギヨーム(グレゴリー・モンテル)は

悪いヤツじゃないけど、ちょいちょいズルをして

世の中を渡ってきた男。

 

カワイイ娘を愛しているが

実は離婚調停中で

このままでは自分より仕事も家もしっかりしている元妻から

共同親権も取ることができなさそうな

崖っぷちにいる。

 

いまの仕事を失うわけにいかないギヨームは

ある女性の運転手をすることに。

 

高級アパルトマンに住む

その女性アンヌ(エマニュエル・ドゥヴォス)を迎えに行ったが

アンヌは無愛想で、かなり「変わった」人だった。

 

アンヌは

あらゆる物を嗅ぎ分け、再現できる能力を持つ

天才的な「調香師」だったのだ。

 

最初はアンヌとさまざまにぶつかり合ったギヨームだが

しかし、アンヌの能力を知り、

お互い、少しずつ心を開いていく――。

 

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コミュ障な天才調香師と

人生崖っぷちな運転手が出会い、

思わぬバディを築いていく物語。

 

フランス映画にしてはカリッとさっぱりとした

仕事メイン&男女のバディムービーで

ラブへと行きそうで行かない男女関係に、すごく好感が持てました。

 

 

それに

「ココ・アヴァン・シャネル 」(09年)

「ヴィオレット―ある作家の肖像―」(13年)

で存在感ありありだった

実力派女優エマニュエル・ドゥヴォスが、やっぱりいい味。

 

あらゆる匂いを嗅ぎ分けて

再現できる天賦の才を持ついっぽうで

「鼻が効く以外は、けっこういろいろ抜け落ちている」ヒロインを

まあブスッと無愛想に、でもちょっとコミカルに演じていて

実に可笑しい。

 

スペインのアルタミラの洞窟のような

古代壁画のある洞窟に行き、

そこの香りを嗅いで、再現する、とか

すげーおもしろいし

 

それほど鼻が効くというのは

一種の超能力のようでもあって

それによって世界が見え過ぎるような辛さもあるんだな――と思った。

 

相棒となる運転手ギヨームの

悪人じゃないけど、口八丁なテキトーさで世を渡ってきた感を

冒頭1分で上手に見せちゃったり

この監督、なかなかに的を射たキャラクター表現がうまいなあと思いました。

 

そしてギヨームにも

意外な才能があったりするんですよ~w

ぜひ本編で、ご確認くださいませ

 

★1/15(金)からBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

「パリの調香師 しあわせの香りを探して」公式サイト

コメント (1)
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