ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

聖なる犯罪者

2021-01-15 23:36:01 | さ行

最初の数分で

なんだか引き込まれる「匂う」映画ってある。

これも、そんな映画。

 

 

「聖なる犯罪者」74点★★★★

 

 

**********************************

 

現代のポーランド。

20歳のダニエル(バルトシュ・ビィエレニア)は

「いろいろ悪いことをしてきた」青年で

殺人の罪で少年院に入れられていた。

 

ダニエルは少年院で

カトリックの教えに目覚め

「神父になりたい」と夢を持つようになる。

 

しかし、犯罪歴のある者は

神学校に入学できず

ダニエルはその道を諦めざるを得なかった。

 

少年院を仮退所したダニエルは

ある村の教会で

偶然、新任の司祭に勘違いされる。

 

とっさに「司祭です」とウソをついた彼は

思いがけず、司祭の代理を務めることになり――?!

 

**********************************

 

 

少年院を仮釈放された青年が

司祭と偽って、村人たちの心をつかんでいく――という

実際の事件にインスパイアされた物語。

 

ちょっとバイオレンスチック?と思わせるビジュアルだけど

大丈夫です、あんまり、そういう方向ではない。

 

それに

宗教に関する想いというのは

ワシには、正直根底まではわからない

それでも

目を離させない説得力や力が、たしかにある。

 

あの「パラサイト」などと

アカデミー賞国際長編映画賞を争った作品だそうで

なるほどな、と納得しました。

 

 

宗教うんぬんよりも感じたのは

若いときに犯し、そのときにはわからなかった罪の重さを、

どの段階で気づけるのか?

そして、気づけた段階でどう修正出来るのか?ということ。

これって

坂上香監督の「プリズン・サークル」(20年)にすごく通じているんですよ。

 

若い世代の彼らに

人生やり直しの機会を、もっと広い心で与えるべきではないか?

 

いやいや、

ワシらも彼らから、教えられること、多いんじゃないか?

そんな想いが、募ります。

 

実際の事件がもとである、ということも相まって

実に心に深く、迫ってきました。

 

★1/15からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷ホワイト シネクイントほかで公開。

「聖なる犯罪者」公式サイト

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする