ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

女王陛下のお気に入り

2019-02-13 23:30:38 | さ行

 

「聖なる鹿殺し」ヨルゴス・ランティモス監督、最新作!

 

「女王陛下のお気に入り」73点★★★★

 

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18世紀初頭のイングランド。

フランスとの交戦で揺れる国家を

アン女王(オリヴィア・コールマン)が治めていた。

 

17人もの子どもに先立たれた女王は

幼なじみのレディ・サラ・チャーチル(レイチェル・ワイズ)が心の拠り所であり、

それを承知のサラは、陰で完全に女王を操っていた。

 

ある日、サラは宮廷にやってきたアビゲイル(エマ・ストーン)を

召使いとして雇ってやる。

 

が、あることから女王に気に入られたアビゲイルは

サラの立場を脅かす存在になってゆき――?!

 

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「ロブスター」「聖なる鹿殺し」のヨルゴス監督が

アン女王の寵愛を巡る、女の駆け引きを描いた作品。

かなりの部分、史実だそうで

 

うへえ、女って怖え~という(苦笑)。

 

監督、得意の不遜と皮肉で

馬鹿馬鹿しく愚かしい人間の営みを、まあ~期待どおりに(笑)

いや~な感じで描いてくれてます。

 

宮廷での権力争い、しかも女同士のマウンティング、という題材は普遍だし

過剰なまでに絢爛豪華な美術と衣装に

人間のバカバカしさ、愚かさが、よく映える。

 

十分におもしろいのだけど

 

ワシ的には、逆に時代をここにしたことで

痛烈な風刺性や

本来は社会に滲み出るべきではない、でも確かにそこにある汚濁や生臭さの露呈――といった

監督の持ち味が、若干薄れてしまった、気もする。

(だってこの時代、当たり前に社会も人間関係も汚泥ドロドロだもんねー)

 

が、それを含んでも、やっぱり

孤独でイケてないアン女王を演じた

オリヴィア・コールマンは必見すぎる。

 

フリルだらけのペチコートの下にある

ある種、腐敗や臭気まで感じさせ、

かつ哀しみにも同調してしまう、快演。

 

そして

権力者の寵愛を得るための、この争いの、勝者は誰なのか?

結局、従属の構図は、変わらないのか――?

 

その後味は、しっかり現代に通じていくのでした。

 

★2/15(金)から全国で公開。

「女王陛下のお気に入り」公式サイト

コメント
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