みんな、声がいい。
耳をすませて、ぜひご堪能あれ。
「沈黙-サイレンス-」70点★★★★
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17世紀。
江戸初期の日本では、幕府による
激しいキリシタン弾圧が行われていた。
ポルトガルの若き宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)と
ガルペ(アダム・ドライバー)は
日本で捕らえられ、棄教(=宗教を捨てること)したと噂される
師匠(リーアム・ニーソン)を探しに
長崎の島にやってくる。
彼らは弾圧に耐え、教えを貫こうとするキリシタンの人々に迎えられるが
だが、状況は思いのほか厳しかった――。
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遠藤周作原作×マーティン・スコセッシ監督。
神とは、信仰とは、をテーマに
歴史を批難するわけでも
まして何かを押しつけるわけでもない
監督の冷静と達観が映画を凜と立たせています。
しっとり湿り気を持つ映像も
“日本的なるもの”を違和感なく、表現している。
なぜ宣教師たちは来たのか? 布教とは何か?
なぜ彼らは、こういう運命を辿ったのか?
――キリシタンの歴史を初めて深く知りました。
自らも命がけで、ましてや信者の命も奪いながら
布教する意味とはなんなのだろうか?
観る人も主人公の宣教師と同じく、悩み、揺れると思うんです。
で、彼らに「棄教」を迫る
長崎奉行の井上筑後守(イッセー尾形)と通訳の浅野忠信に
我々も説得される。
「日本じゃキリスト教は無理なんだから、意固地になるのはやめなさい」
「日本は沼地なの。宗教は根付かない!」――なるほどねえ・・・。
その説得を担っているのが
役者たちの“声”のよさ。
全員が声でしっかり演技をしていて
目をつぶって聞いていても気持ちがいい(いや、寝てたわけじゃないですぞ!笑)
アンドリュー・ガーフィールドの
ささやきのような祈りの声がナレーション代わりだし
キーマンとなるリアム・ニーソンの声もいいし、
イッセー尾形、浅野忠信、両氏もそう。
結局は
宗教も思想も「相手に押し付けるな」ってことで
改めて、いまの時代この話は
大きな意味を持つなあと思いました。
★1/21(土)から全国で公開。
「沈黙 -サイレンス」公式サイト