想田和弘監督の最新作です。
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「牡蠣工場」68点★★★☆
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奥さまの母方の故郷、
岡山県・牛窓の牡蠣工場にカメラを向けた145分。
猫で始まり、
猫が合間の道案内役になるのが
想田監督らしいですねえ。
広島に次ぐ、牡蠣生産地である岡山。
しかしかつては20軒近くあった牡蠣工場は
いまは6軒になったそう。
そのなかで残る工場に密着しています。
その工場を引き継いだ渡邊さんは
震災で実家の牡蠣工場が打撃を受け
宮城県から移住してきた方。
そして渡邊さんは時代の波を受け、
牡蠣の殻を取り除く「むき子」の仕事のために
中国の若者を迎え入れることになる――という展開。
全体にいつもながらの
「観察目線」で、淡々と進む想田節で
普通の風景のなかに、問題を含ませ、にじませる。
ボーッと見ていても興味深いのですが
しかし中国人労働者たちがやってくるという
映画としては大きなトピックとなるくだりで
受け入れる側の工場関係者が
いっとき「(撮影)配慮してよ・・・・・・」みたいな雰囲気になる。
結局は中国の青年たちも撮影OKで
全然、問題ないんですが
このときに
撮影される側、特に年配者たちの“素”と
撮影者側の躊躇が写ったような気がする。
実際、
その辺りからカメラが揺れ、ちょっと不安定になるんですね。
で
想田監督作品では珍しくかなり映像酔いしてしまった(苦笑)。
さらに
145分はちょっと長かったかな、と。
思い返すと、あの“素”の部分は
ドキュメンタリーとして、かなり貴重な撮れ高ではあると思いますけどね。
★2/20(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「牡蠣工場」公式サイト