ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

チャイルド44 森に消えた子供たち

2015-06-29 22:54:57 | た行

はい、またトム・ハーディさんです(笑)


「チャイルド44 森に消えた子供たち」59点★★★


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1933年、スターリン政権下のソ連。
孤児院を逃げ出した少年は軍人に拾われ、レオという名前を与えられる。

1953年、大人になったレオ(トム・ハーディ)は
第二次世界大戦で活躍し、エリート捜査官に出世していた。

ある日レオは
無残な少年の遺体と対面する。

実は同じ“しるし”をつけられた
子供たちの死体が次々と見つかっていた。

しかし
「理想国家で殺人は起きない」という
スターリンの思想のもとでは
まともな捜査など行われない――。


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2009年の「このミステリーがすごい!」海外編ナンバーワンが原作。

ということで相当に期待したのですが
うーん、これは想像と違った。


この映画はミステリーというよりも、
スターリン政権下のソ連の黒歴史をつまびらかにすることに
重点が置かれているんですね。



当時は誰もが密告されたり
スパイ容疑をかけられたりする世の中で
密告されたら最後、真偽も確かめないうちに
あっさり殺されるような時代。

さらに酷いのは
凄惨な殺人が起こっても
「殺人なんて、我らが理想国家には起こらない」
はあ?としか言いようがない理屈で
捜査もせず、殺人者も野放し状態だったと。

そんなことがまかり通っていたのか!
あ然としますが


その状況が
主人公レオの生い立ちから、その出世と成長を追うことで
よくわかるようになっているんです。


しかも
この話のモデルになった
実際の殺人犯がいるそうで

この本、
ロシアで発禁になってるらしい。

とても興味深い題材なんですが


残念ながらミステリーとしてみると、
殺人事件やら、捜査が
社会や、対国家とのスリルを描く合間に単発的に置かれている感じで
散漫になってしまったような。


「このミス」と言われてイメージする
ミステリーの面白さを味わう感じではなかったわけです。


構成の問題かなあ。

本のほうは、もっとうまく描かれているのかもしれません。


★7/3(金)からTOHOシネマズ みゆき座ほか全国順次公開。

「チャイルド44 森に消えた子供たち」公式サイト
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