監督はゴダールやレオス・カラックスの
撮影監督を務めた人。
なーるほど!映像が語るなあ!
「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密」71点★★★★
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1865年、フランス。
女性=結婚が当たり前で
女性は画家を職業にすることが難しかった時代。
習い事として姉と絵をはじめた
良家の子女ベルト・モリゾ(マリーヌ・デルテリム)は
しかしそのレベルを超えて
創作にのめり込んでいた。
彼女はある日、画家マネ(マリック・ジディ)に出会い
「絵のモデルになってほしい」と懇願される。
当時、物議を醸していたマネの斬新な絵画手法に
感銘を受けたベルトは
モデルを引き受けるが――?!
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見ればぜったい「ああ、あの絵!」となる
マネの絵画のモデルだったベルト・モリゾ。
彼女はモデルだけじゃなく、実は印象派の中心人物の画家だった――という
史実に基づくお話。
女性が画家として自立することが難しい時代に
超・有名画家マネの陰で苦しんだ、女性画家の話……というと
なんだか日陰でヨヨヨというイメージ。
いやしかし、そんな単純なイメージを超えてきて
かなり見入りました。
ひとつには、やはり画面の美しさ。
姉は赤、主人公となる妹には青を
イメージカラーにして
シックな部分はシックに、
かつ印象派の画家が写し取った“光”も写している。
姉妹の実家の階段上から
鏡越しに見下ろすカットなど、そりゃあ絵画的で見事です。
それにこの映画、
姉妹のルックスといい
なんだか岩館真理子さんの世界のようなんですよねー。
姉妹が連れ立って海岸を走り、
パラソルが飛ばされ、逆さになるシーンなんて
マンガにこういう場面なかったか?というくらい。
ふたつめはマネとモリゾの関係の描き方。
この部分はフィクションも多いようなんですが
映画では二人はほんのり恋愛感情を持つという
流れになっております。
しかし、それでもお互いにとって
相手はまず、芸術魂を触発してくれる存在であり
お互い、一番大事なものは、
自分の絵に他ならない、という思いがよくわかる描き方で。
それが芸術家同士の愛の難しさで、
ゆえに
陳腐なラブストーリーにはならない。
まあこの「この二人、くっつくの?」というもどかしさも、
少女漫画を想起させるのかもしれません(笑)
それに
印象派って、あんなにふんわり優しい感じなのに
当時は前衛絵画だったんですよね。
その状況も改めて勉強になり、
かな~りためになる作品でもありました。
★6/13(土)からYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。
「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密」公式サイト