ドキュメンタリーを見ていたので
この映画の味わいも、なんかひとしお。
「イヴ・サンローラン」70点★★★★
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1957年、パリ。
クリスチャン・ディオールの死後、
21歳の若さで後継者に指名された
イヴ・サンローラン(ピエール・レネ)は
重圧を物ともせず、
才気溢れるコレクションでデビューを飾る。
イヴはアートの後援者として有名だった
ピエール・ベルジェ(ギョーム・ガリエンヌ)と出会い、
恋に落ちる。
カップルになった二人は
仕事でも絶妙なコンビネーションを発揮するのだが――。
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フランスの(鳴り物入りの)伝記モノって
いっちゃあなんですが、けっこう期待外れなのが多い。
しかし、この作品は21歳のイヴ・サンローランが
ディオールのスタッフになるところから始まり
氏の生涯のパートナーだったピエール・ベルジェ氏の回想で展開していく。
(演じるのは「不機嫌なママにメルシィ!」のギョーム・ガリエンヌ!)
伝記映画としてまず思い描くような
“理想的な”時系列と構成で非常にスムーズにまとめられていて
なかなか見応えありました。
その反面、やや単調でもあるんですが
まあ流れも美しく、美術も美しい。
なにより、ピエール氏の語りで進むので
イヴ・サンローラン氏のドキュメンタリーとほとんど同じ鑑賞後感。
そこがワシは気に入った。
サンローランの話って、
結局ベルジェ氏の“深い愛”の物語だもん!(笑)
内気で体の弱い天才=イヴ・サンローランを
ベルジェ氏はとにかく支えてくれる。
「僕が常に守ってやる」と言ってくれる生涯の存在。
それを得たサンローラン氏の満ち足りたしあわせを想像するだけで、
こちらの心も温まるんですなあ。
はあ~いいよねえ、こういう人。
が、しかし
理想的なカップル期は意外に少なくて
実は心離れているときもあったんだと
この映画は描いている。
さらに映画としては
ベルジェ氏の側から描く反面、
主人公たる天才のプレッシャーや、破滅的な行為の真にあるであろう
創作の衝動などは、あまり感じられるものではなかった。
それでも見応えある大きな理由は美術と衣装。
宣伝の方に聞いたところによると
映画に出てくる衣装は、全てホンモノ。
貴重なものなので、
汗とかつかないように、裏地を貼って着てるんだって!
どんだけの苦労~~!
リメイクしたほうが早いんやないか~
でもだからこそ一見の価値ありですねえ。
★9/6(土)から全国で公開。
「イヴ・サンローラン」公式サイト