撮ったというより「撮れてた」素材が
「ナニコレ?」のおもしろさ。

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「リヴァイアサン」69点★★★★




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アメリカの漁港から出港する漁船に乗り込んだ



ハーバード大の学者であり、映像作家でもある監督コンビが


「GoPro」という超小型カメラを
船体や船員のあちこちに取り付けて撮った
「撮れたどー!」

とにかく手法も斬新なら、写っているものも画期的。

魚の目線になって
血まみれになって魚の腹を割いていく船員たちの様子を
ボーッと見つめたり



カモメの目線になって
漁船の周りで獲物を狙ったり。


まさに
“見たことのない”体験ができるんですね

ただ
映画としては、手放しで「いい!」と言うには難しい。

結局「撮れたもの」の集まりであるのは確かだし、
何が写ってるのか
すぐには判別不能な映像もある(笑)

ネイチャー映画で「スゴイものを見た!

まったく異なる種類のもので、
そこが心に残るのも、また確かです。


冒頭、真っ暗な海に耳障りな金属音を響かせながら
漁船が網を下ろす、その様子だけで

「海の怪物=漁船か?!」

生態系のなかに無理矢理介入してくる
人間の傲慢さも、見て取れる。

魚やカモメだけでなく


“人間”も観察対象になっていたり。


「撮れたもの」を使っても、
確実に監督らには意図がある。

別に「環境ネタ」とかではないのですけどね。

違う視点で物事を見る、という提案のひとつかな。
なにより、凄いのは「音」!

機械のきしみ音やうなりが、不気味な音楽に聴こえるのがおもしろい。

それにね、これだけ揺れる画面なのに
船酔いも、映像酔いもしなかった。


魚眼レンズのおかげなのか――?いまだ最大の謎です。

★8/23(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「リヴァイアサン」公式サイト