実に胸くそ悪い話なんですが
むー・・・おもしろいんですよ。
「コンプライアンス-服従の心理-」72点★★★★
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2004年、アメリカ・ケンタッキー州にある
大手ファストフード店。
金曜日で店が大わらわなときに
女性店長(アン・ダウド)のもとに
1本の電話がかかってくる。
電話の主は「警察官だ」と名乗り、
店員の18歳の少女(ドリーマ・ウォーカー)に
窃盗の容疑がかかっていると言う。
「いま、その場で少女の身体検査をしてほしい」と
命じられた店長は――?!
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実際に起こった事件を題材に
ドキュメンタリーではなく、再現ドラマでもなく、
事件の異様さと不気味さを冷淡に描いた作品。
観ているときはムカムカするんですけど
これは良くできていると言わざるを得ない(苦笑)
「少女が米大手企業を訴えた」という側面が
宣伝の全面になってるけど、
主題はそこよりも
「なんでそんなことになったのか?!」に絞られていて
そこがおもしろいんですね。
警官を名乗る男からの電話で
「従業員の少女を裸にして調べろ」と命じられた店長たちは
「あれよあれよ」という間に言いなりになり
マジであり得ない展開となる。
「いたずらでしょ?」「はやく気づけよ!」と
1時間半に渡ってイライラさせられ
不愉快なこと極まりない。
しかし、現実に同様の事件が
70件以上も起きてるっていうからもう!
「なんでみんな、怪しいと気づかない?」と憤慨しつつ、
「さて、自分なら気づけたか?」と自問する。
警官を偽る犯人のトークは実に巧妙だし、
なにより
誰にも後ろ暗いことのひとつふたつある(特にワシ・・・汗)
「できれば警察に関わりたくない」と
言いなりになってしまう人々の
気持ちもわかったりして・・・。
という具合に
観ている間は猛烈にイラつきつつも、
見終わってそこんところの心理を、深く潜って考えたくなり
見応えあったなアと思い返す次第です。
で、深く潜って考えるその手助けになったのが
おなじみ「ツウの一見」(@週刊朝日)でお話を伺った
社会学者・辻泉さんの解説。
「なぜ、こういう事件が起こるのか?」を
すごーく明快に教えていただいて
マジで“頭の電球に灯が点った”状態になりました。
現在発売中の6/28号に掲載されていますので
鑑賞後にでもぜひ、ご一読を!
★6/29(土)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「コンプライアンス-服従の心理-」公式サイト