ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

デザートフラワー

2010-12-25 13:59:45 | た行
アフリカの遊牧民から
トップモデルになった少女の
実話です。


「デザートフラワー」74点★★★☆


ソマリアの砂漠に生まれた
13歳のワリス(リヤ・ケベデ)は

お金で結婚させられそうになり
家族のもとを逃げ出す。


ソマリア大使である叔父のツテで
イギリスに渡ったものの
やがて路上生活をすることに。

そんな彼女に目を止めた
人物が現れて……。


まさに“映画のような”
真実のシンデレラストーリー。


ワリスを演じるのは
スーパーモデル、リヤ・ベデケで

おどおどとした小娘が
カメラの前で
パッと光輝くオーラを放つさまを
リアルに表現してます。


ホームレスだったワリスを助ける
アパレルショップの店員(サリー・ホーキンス)が
「プラダを着た悪魔」の先輩役
エミリー・ブラントなみの存在感をみせたり

モデル事務所の女社長など
一見クールで非情にみえる人々が
スッと助け船を出すところなど


階段を駆け上がっていく
サクセスストーリーの部分は
まずまず期待どおりでした。


ただこの映画には
実はもうひとつの
重要な社会的なメッセージが含まれているんです。


それはアフリカ女性の多くが苦しんでいる
ある問題についての告発。

それは衝撃的でもあり
すごく大事なことなんですが

ただ映画がどんどん
その「真に伝えたいこと」に
引きずられすぎていっちゃうんですねえ。


社会的問題を扱っても“娯楽”として
成り立っている映画は
たくさんあるんですが


この場合は
ファッションモデルという
ネタがあまりに華やかなだけに
観る側が期待する娯楽と
社会派の部分が
必要以上に分離してしまうのかもしれません。


結果、映画としての
バランスが悪くなってしまったのは
残念でした。


ただ全体観ても
平均点以上なことは
間違いないす。


★12/25から新宿武蔵野館で公開中。ほか全国順次公開。

「デザートフラワー」公式サイト
コメント (2)
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