婆さんが行く

婆さんの食卓とワンコ

バナナ

2009-05-18 12:41:55 | Weblog
渡米の最大の目的は、母の家事の手助けと日常の行動について歩くことでした。

母の家に着いて、部屋の片隅でひときわ目をひいたのが 大きなかごにうず高く積まれた洗濯物。
その横には 低い背丈の母にはふつりあいな大きなアイロン台が鎮座して・・。
むこうでは 洗濯の次は全て乾燥機にほうりこまれるため 綿の素材は 当然くしゃくしゃになってしまいます。それにアイロンをかけるのが 普通のパターンのようです。洗濯物が 風にはためく様は みかけられません。
若い時は、その家事労働もわけなくできたのでしょう しかし寄る年並と脳梗塞をわずらって手も不自由ということもあってか なかなか追いつかない有様でした。
早朝 まず その山を片付けましたが ホントは、タオルなど以外は パンパンとたたいてたたんで外に干すと いいんですけれどね。

 その晩、週に一回 お寺の一室を借りてのカラオケ教室でした。
この建物のどこがお寺なのだろう??
一人 うなる私
集まった顔ぶれは みるからに日本人。
しかし 言葉は英語でした。
はい 拙い英語でご挨拶しました。
なんと歌は演歌。歌詞は ローマ字で振り仮名されています。
後から聞いたら ほとんどが 日系2世の方です。恥ずかしい話し この日系 ハワイ日系 こちらの日系が理解できませんでした。
たった一人50歳後半の方が 日本語を話しました。
しばらく 皆さんの歌に聞きほれて 母の歌う姿に 涙があふれて
実は、母は、郷里の訛りが 今だにぬけなく
覚えていますという歌詞の発音を
「おぼイています~」と歌って笑われたのだと憤慨していました。
そう どうやら郷里を出た時から 何もかもがそこでストップしてしまっているのです。
だいぶ時が過ぎたあたり 日本語ができる方が、唐突に
「バナナって知ってる?」
「はい おいしいですよね」
「そのバナナではなく ほら 日本語を話さない人のことを言うのよ!」
「えっ!?よくわかりませんが・・」
「外は黄色で中は白ってことよ」
「・・・・」
侮蔑の言葉ではないかと 黙りこんでしまいました。
『バナナ』とはあんまりだ。
それについては 話しはうちきり
日本に帰ったら 少し日系の人達について本を読んでみようと おのれの無知を恥じました。

帰国後 スーパーの棚でバナナを見ると 胸が苦しくなります。
本は 《二つの祖国》という題名のものを読書中。