婆さんが行く

婆さんの食卓とワンコ

パパコート

2008-11-10 17:00:19 | Weblog
電車が好きです。
電車に揺られて景色を見たり
電車ですれちがった人々をあれこれ想像したり

すうっとホームに着いてドァが開いた
たくさんの乗客に混じって
ベージュのトレンチコートを着た男性の胸元から 白いウサギの帽子が見え隠れしていました。おやっと思って 目をこらすとどうやら赤ちゃん。コートと同色の袋状になった抱っこバンドのようなものがたれさがっていました。実は いよいよ『パパコート』ができたのかなって思ったのです。最近は、父親が赤ん坊を抱いている方が多くなりましたから。

 私の時代は、赤ん坊をおぶってその上からママコート(これ流行はじめ)。少しあこがれました。残念ながら 私は姑がつくってくれた背中の部分が二重に綿がはいったネンネコ半纏 これを着て勇ましく自転車にまたがっていました。

「りかちゃん」と呼びかけながら 父親は愛おしそうに我が子をゆすったり あやしたり ほほえましい情景が続きました。
突然 傍らの母親とおぼしき女性が
「私 免許の更新に行くのだけれど一緒に行って子供をみていてくれる?」
「あの場所は 風邪をひいたりしている人とかいろいろいるから家にいるよ」
「じゃあ~近くで待っていて?」
「どこで?」
「はじめてなのにわかるわけがないじゃない」
「やはり 家にいるよ」
沈黙の後 大声で
「どうしてあなたは そんなに批判的なの」
「・・・・・・・」
「なぜ 更新の場所か近くで待ってくれないの?」
「家にいるよ」
我が子を強く抱きしめた。
プリプリ怒った母親の後から黙ってついて電車を降りて行きました。

今度は目的地を決めずにいつまでも電車に揺られてみようと思った。