とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

『ニライカナイからの手紙』を観ました

2011-01-30 22:44:37 | 映画

テレビで『ニライカナイからの手紙』を観ました。

2005年.監督:熊澤尚人
出演蒼井優、南果歩、平良進、、金井勇太

沖縄を舞台にした映画は、いつも空気感が違うように思います。『ニライカナイからの手紙』は八重山諸島の竹富島を舞台にした映画です。
竹富島には古くからニライカナイの伝説と「うつぐみ」の精神が根付いているそうです。
「かしくさや うつぐみどぅ まさる」(協同一致の精神は、個人の知恵に勝る)という考え方は竹富島の古くからの基本的な考え方だそうです。
生活の基本とも言って良いと書かれている本もあるくらいです。
朝必ず、自分の家の周りの道路をみんなで掃き清めるシーンがたびたび出てきますが、これもこういう生活習慣の中の一つなのでしょう。
そういう人々の暮らしの中で、描かれていく映画です。
心を動かされないわけはありません。
きれいな海岸で、母と幼い少女が砂遊びをしているシーンからスタートします。
船着き場の古いポストの前で母は娘に「ニライカナイの伝説」を語る。
そのことが、物語の伏線になっていきます。
女の子の名前は安里風希(成長してからは蒼井優)で、母(南果歩)は幼い風希を竹富島に一人残し、東京へ帰っていきます。
その後、風希は島で唯一の郵便局長である祖父と暮らしていきます。
棚の上には父親らしき人の写真が飾ってあり、カメラが置いてあります。
風希の父はカメラマンだったのかもしれないという設定で、観客にはわかりなさいと暗示しているような気がしました。
母親はその後誕生日の日に「大好きな風希へ」と手紙が届きます。
でも、母親が島に会いにくることはありません。
風希は,竹富島の村の人々に包まれ,成長していきます。
高校を卒業するころになると、進路を巡って悩みます。
ここまで育ててくれた祖父は、20歳まで島にいるように言います。
父の形見であるカメラを使って撮影に興味をもって、土産物屋でも作品を販売している風希は、反発します。
東京に行って、カメラの勉強をしたいことと、母親に会ってみたいという思いから、祖父の元から旅立ちます。
東京に出てからは、当然のようにきびしい毎日が続きます。
母の手紙の消印局を訪ねても,母の住所を知ることはできません。
しかし母の手紙にあった「20歳の誕生日に会って全ての事情を話す」という言葉を頼りに,風希は自分の写真を撮り始めます…。

映像的はとても美しい映画です。
沖縄竹富島の風を感じることの出来る映画です。

14歳から20歳を演じた蒼井優はとても魅力的です。
途中から、「ニライカナイの伝説」が頭から離れなくて、結果が見えてきますが、蒼井の演じる風希の気持ちが、結論を急ぐのを止めてしまいます。
「蒼井優と一緒にその時のことを感じたい」と感情移入させてしまいます。

竹富島の人々の描き方も良心的です。
エンディングを前にして、哀しみにうちひしがれた風希の下へ、島の人々が次々に現れます。
ささやかな贈り物を手に彼女を訪れ、声をかけその身体にそっと触れ、挨拶をして帰っていきます。
何時までも続くその人々の列です。
そんなやつはおらんやろー!と思いながら、これが「うつぐみ」の精神なのかと思わせます。
ただ、少しだけ気になったのは、郵便局の幟やゆうぱっくの箱です。
何度も何度も出てきます。
この映画が出来た頃はちょうど郵政民営化でごたごたしていた時期だと思います。
「郵政民営化になると、離島の郵便局はなくなりますよ」と言わんばかりの感じです。
直接映画の流れとは関係のない、人のいい郵便局長の存在や、おじいおばあの家を一軒一軒訪問している映像、

「役場から手紙が来たからお金がもらえると思ってきた」というおばあを郵便局に招き入れて、

違うことを説明する場面など、ちょっとやりすぎじゃないの?と思わせる場面があります。
撮影協力なのか、資金的援助があったのかわかりませんが、そこは見ないようにした方が良いと思います。

郵便局のくだりは差し引いてみても、蒼井優の演技はいいです。
映画を観ると竹富島に行きたくなりました。

 

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