パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

禁煙のメカニズム

2008-05-20 22:19:52 | Weblog
 基礎年金全額税方式にした場合の試算を政府が発表。

 って、「政府」って何だろうと思ったが、結局、厚生省ということらしい。当たり前か。

 まあそれはともかく、この時点での「消費税最大で18%必要」とか、「保険方式よりも負担は増える」とか、「雇用主負担分がゼロになる企業がもっとも儲かる」といった発表は、要するに全額税方式は無理というアピールをしたいのだろうが……しかし、民主党も限り無く頼り無いからなあ。言うことといったら、「無駄遣いをなくせ」ばかり。このほうが、国民感情にアピールできると思っているのだろうが、「無駄遣いの解消」といっても、こっちを引っ込めれば、あっちが出っ張るといった、「ゼロサムゲーム」の連続で全然解消にならない場合が多い。

 たとえば、「禁煙」のモチベーションを「無駄遣いの解消」に求めると、「今日は倹約したから、煙草代が出たぞー」みたいなことになりかねない。というか、必ずなる。私の場合がそうだった。

「お金でつる」なら、「御褒美戦術」がいいらしい。つまり、一ヶ月禁煙したら、御褒美をもらうというやり方だが、私の場合、御褒美をくれる人がいないし、自分で自分に御褒美を出すにも、その金がないし、ということで、どちらも駄目だったのだが、でも、なんとなく、禁煙に成功して二年くらいになる。しかし、もともと肺まで吸い込むのではなく、原稿を書くときなどに「ふかし」ているだけなので、禁煙のメリットがあまり見えてこない……と思っていたのだが、つい最近気がついた。口内炎がなくなっているのだ。また、食事中によく、自分の頬の内側の肉を噛んでしまったものだが、それもなくなっている。

 話が逸れたが、要するに、「無駄遣いをなくせ」という掛け声は、結局いたちごっこに終わり、実効的におこなわれることは、まず、ない。「吉兆」の使い回しも、「無駄遣い廃止」を言うならば、容認しなければならないはずだ。それとこれとは話が違う? いや、違わないと思うねえ。いくら、一般庶民がバカだといっても、これくらいの「矛盾」には気がついているはずだ。でも、一向にそれが是正されないのは、世論をリードをすべきマスコミがその矛盾に眼をつぶって、世論を煽っているからだ。

 映画監督、堤幸彦が、NHK「プロフェッショナル」で巨匠扱い。何を言うかと思ったら、「楽しんでもらえるものを作りたい」の一点張り。トホホである。

 テレビのADになったが、仕事が全然できず、ただ突っ立っているだけで、「電信柱」というあだ名がついた。その自分にある日突然、ディレクターの仕事がきた。老人向けの街頭カラオケ番組で、いやでいやでしょうがなかったが、ふと見たら老人が喜んでいる(そらあ、まあ、ただでカラオケやらせてもらってテレビにも出れて、嬉しいのは当たり前と思うが……)のを見て、頑張る気になった。(「楽しんでもらいたい」発言の原点はここにあったのだ。う~む。)

 その後、なんとかというドラマを手掛けることになり、これが話題になって、以後映画を手掛けるようになった、というキャリア紹介にも起伏のないこと夥しい。紹介された自分がトホホと思ったのではないだろうか。

 カバンから今撮影中らしいシナリオを取り出し、開くと、線がいっぱい引かれている。女子アナがこれをみて、「わー、すごい書き込みですね」と言ったら、堤監督「いや、これは撮影が終わった印なんです。もう、このシーンは撮影しなくていい。忘れていいという印。」と、これまたトホホな答え。まあ、映画作りにおいては、こういう即物的な感覚も必要だとは思う……けど。