パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

考える力

2012-08-26 18:57:16 | Weblog
 私としては、別に天邪鬼を気取っているつもりはぜんぜんないけれど、フィリピン沖の地震でテレビが大騒ぎした翌日の新聞を見ると、地震があったことは報じていても、津波の記事は皆無。

 私が新聞社のデスクだったら、昨日テレビで大騒ぎしたことを、コラムでいいから載せるね。

 もちろんそんな記事を載せたら物議をかもすだろうけど、今は、むしろ物議をかもすことこそ、求められていると思う。

 物議をかもしてこそ、たとえば、東南海トラフ地震とやらで死者が最大で32万も出るという予測が、その予測地域とは別の地域の安全を保障しているものではまったくないことを忘れさせてしまう可能性があることに気づかせることができるだろう。

 ややこしい言い方になったが、要するに、もし予測するんだったら、日本国政府の行政管理下にある地域のすべてが危険だと言えばいいので。

 ある地域を区切って、「ここで地震が起きる可能性がある」と、「可能性」という言葉を入れたとしても、今の地震予知の技術の程度から言って、地域、時間を限って予測することは不適当であるという諸外国の基準も、そこにあるんだと思う。

 ということは、日本の地震予知技術に対する過信か、もしくは過信が高じて「これくらいの予想はできる、いや、できねばならん」と気張っているのか。

 しかし地震学者に求められていることは、100パーセントの予知なんかではないと思うがね。

 原子力科学者、事業者に求められているのが100パーセントの安全なんかではないのと同じ。

 100パーセントの安全なんか非現実的であることをわかっていながら、科学に対する信仰から、いつかそれができると思い込んでしまったのではないか。

 なんかそんな気がする。

 フィリピン沖地震の話に戻るが、テレビは、それ自体が現実を作ってしまうことをテレビ関係者は考えるべきだと思う。

 しかもその「現実」は、実際には建前百パーセントの「空気」に過ぎない。

 北朝鮮の拉致問題にしても、30年以上、北朝鮮で生活し、結婚し、子供もいるという現実を無視して、今も望郷の念に身を焦がしながら日々生きているという俊寛もどきのお話(建前)をつくってしまって、現実的な解決策、たとえば、日本帰還は要求せず、安否の確認だけでよいとでもしておけば、話は解決したのではないか。

 少なくとも、曽我さんとか蓮池さんが帰ってきたときは「一時帰国」で、すぐに北朝鮮に戻る約束だったのを、誰が言い出したのか知らないが、「帰さない」という空気ができあがって「約束」を破ってしまった。

 もちろん不当な約束は破っていいということはあるけど、相手が「主権国家」では、それで話が解決するということにはならない。

 そもそも「帰さない」という言葉自体、行為の主体が誰なのかよくわからない変な言葉遣いで、本来、「帰らない」と言うべきだと思うのだが、いずれにせよその言葉は当事者、つまり曽我さんや蓮池さん本人かその家族の言うせりふで、日本国政府に、ましてマスコミに「帰さない」なんて言う資格はない。

 もちろん、日本政府は本人たちが「帰りたくない」と言っているからと説明していたが、先のことを考えれば、もし本人がそう言っても、「帰れ」と説得するのが日本政府の役目だったと思う。

 本当に空気の支配は人から考える力を奪うのだなと、つくづく思。

津波だ!

2012-08-24 23:16:23 | Weblog
 フィリピン近海でマグニチュード7.6の地震が発生、沖縄から本州の太平洋側に津波注意報が出た。

 タイヘンダタイヘンダ(棒読み)。

 古館が「海岸に近づかないように」と深刻な顔で何度も繰り返し、沖縄の海に近い繁華街で人が逃げる様子がないことを、非難するかのような話し振りだったが、警報じゃなくて、注意報なんだから、それをわきまえて報道してほしい。

 放送にかり出された東大の津波の専門家の名誉教授も、最初報じられたマグニチュードが7.9で、7.6は、それからだいぶ数字が小さくなったので、それほど危ないわけではないが、津波の波は普通の波とちがい、「力」があるので、足を取られてさらわれる危険性があるので、ともかく海に近づかないことだと、繰り返していた。

 でもまあ,それははっきり言って、古館のニュースショーの「空気」を読んだ発言でしょう。

 「心配することはない」、なんてとても言えないと。

 ともかく笑っちゃうのが、フィリピン近海の地震なので、もし津波が押し寄せるとしたらまずフィリピンに押し寄せるだろうから、フィリピンの様子を報道すればいいのに,それが全然ないこと。

 それとも、フィリピンには小さな津波でも、日本には大きくなって押し寄せる可能性があるのか?

 そこら辺を東大名誉教授には聞いてほしかったなー。

 バカみたいな質問だから聞かなかったのか。

 3.11の大津波で大きな被害が出たのは、こんなニュースばかりで、いざ「本物」の津波がきても、誰も信じなかったため、被害が大きくなったのではないのか。

 いわゆる本音と建前ってやつだ。

 本音は「大したことはない」と思っていても,建前では「大変だ」と言わなければならない空気があるので「大変だ」と言っているだけ。

 3.11の被害者2万余のうち、相当数がこういうマスコミの報道姿勢の被害者だった可能性がある。

 今、深夜零時20分、津波注意報は解除されたけれど、ということは、もう海に入っていもいいということ?

 深夜に海に入る人もいないだろうけど、これが昼の12時だったらどうなるか。

 「津波の危険はなくなったので、海に入って泳いでもかまいません」と答えることができるか?

 これが大事なのだと思う。

 東南海大地震とやらで、最大32万人の死者が出るという予想が話題になっているが、富士山大噴火の予想を発表してはずれて、顰蹙を買った相楽という元気象庁のおじいさんに話を聞いたとき、東南海大地震とは、東大の地震研究の大ボスが予想したのだけれど、計算にミスがあることが後で判明したが、大ボスの予言ということで発表できないんだと言っていた。

 それで、10数年前から、あるいはもっと前から話題になっている東南海大地震については全然根拠ないが、眉唾の心境で、いつあるかと期待……イヤイヤそれは不謹慎だが、そんな心境でいる。

 で、そのとき相楽さんが言っていた「危ないところ」は「銚子の沖」で、三陸沖とはちがうが、まあ近いといえば近い。

 それで、「富士山噴火」の予報について、噴火こそなかったが、かなり危ない状況だったから「反論すればいいではないですか」と言ったが,相楽氏は「予報は時間場所を明確に指示しなければ予報とならないので、それはできないのです」と答えた。

 私は,これは世界の地震予報がそういう決まりになっているのだと思っていたが、外国(多分欧米ということだろう)では、地震発生のメカニズムはきわめて複雑なので、具体的に場所、時間を指定して予告してはいけないことになっているのだそうだ。

 これは、つい昨日、新聞で走り読みしただけなのではっきり覚えていないけれど、もしそうなら、考え方が日本とはまるで逆だ。

 それはともかく、東南海大地震、大津波の「支社最大32万」予想にいったい何の意味があるのか。

 役人は「予報が当たった」ということで名を上げ、土木業者は事前の予防工事でたんまり儲け、復興工事でまた設ける。

 そんなのは勝手に儲ければいいだけだが、しかし、津波地震対策でコンクリートだらけの海岸に取り囲まれて暮らすのは、今でも醜いのに、とても堪え難い。

 もし、予報に近い大地震大津波が起きたら,多分視野数万人は出るだろうが,それは,はっきり言って受け入れるしかないだろう。

 ちょっとした運の差が生死を分けることになるが、それは今現在だってそうなのだし,受け入れる以外、対処する術はない。

 この辺のことは,小泉義之という哲学者が非常に綿密に考察しているので、ウェブなりで調べてもらうと有り難いが,要するに、国家というのは、人間が今生きているのは、死んだ人のおかげだという話を捏造しているので、実際には誰かの死と誰かの生は断絶しているという。

 それを関係あるかのような話を「捏造」するのが国家で、誰かが竹島なり、尖閣諸島で死んだとしたら、それが誰であれ、日本も韓国も中国も,それぞれ、その死の復習をはかることになるが、誰が死んだってその死はその人の死で、他の人とは何の関係もないという事実を直視せよ、と小泉先生は言うわけだ。

 フィリピン近海の地震でフィリピン近海で数センチの津波が発生したが,日本では数時間後までテレビニュースが大騒ぎしていたことにちょっと皮肉を書くだけのつもりが、また例によって、長くなってしまった。


夜の訪問者

2012-08-21 22:38:39 | Weblog
 すっかりごぶさたで、すみません。

 理由の一つは「写真論」の執筆が最終段階「思想家としての中平卓馬」で、ちょっとてこずったため。

 思想家としての中平卓馬というフレーズは、ちょっと前に思いついたのだけれど、昔からずっとそうだったのに,誰もそんなふうには思ってこなかったのではないか。

 とはいえ、「思想家」というアイデアがあって、それで書いたわけではなく、書いているうちに「あれ、中平って,思想家だったのでは?」と思ったということなのだけれど。

 手こずった理由の第2は、また例によってパソコンがらみで、今、データカードを使ってネットにつないでいるのだが、ここ数ヶ月、非常に性能が低下していた。

 もちろん,器械がへたったわけではなく、利用者の増加に伴う性能低下で、器械を新式に変えればいいのだが、新型はタイガーでは動かない。

 つまり,Macintoshのパソコンを変えなければならないのだが、最近売っている中古Macintoshは、すべてOS9が使えない。

 それだと本の編集ができないので、ネットオークションで旧型を探すしかないが、それも面倒くさいので、どうしようかと思っているとき、夜の9時頃に部屋の呼び鈴が鳴り,出てみると、当アパートの大家さんと話がつき、マンションタイプの光通信を設備を整備することになったので、光通信に入れと勧誘する。

 以前、アパート住まいなのに,ホームタイプの光しかなく、仕方ないので入ったら,非常に高いことに閉口したが,新しく入居したここもマンションに設備がないので、あきらめていたところで、誘いにのった。

 ただ、正式に契約したつもりはなく、判子を押す場所もなかったように思うのだが、一週間後くらいに「ご契約ありがとうございました」という郵便が届き、工事予定日として7月28日だと書いてあり、あれれと思ったが、その後、工事予定日の数日前にケータイに電話があり、大家との話の詰めか何かで、工事が延期になったが、工事が決まったらまた電話をするという。

 ところが、八月に入ってもさっぱり連絡がなく、どうしちゃったのだろうと思ったが,元来、どうするか決めかねていたことなので、そのまま放っておいたら、八月の半ば過ぎに、また夜、勧誘員がやってきて、以前と同じ話をはじめた。

 それで、ひと月くらい前に話があって,申し込んだら工事が延期になり、どうなったと思っていたところだと答えると、勧誘員は「わかりました」と言って帰ると、その数日後、お詫びの電話とともに、工事予定日を知らせてきたのだった。

 それでその工事があったのが、一昨日の日曜日だったのだが、最初の勧誘員の話では、今申し込むとウインドウズパソコンの中古をプレゼントするということで、Macintoshは編集用、ウインドウズはネット用と使い分ければいいと思い,「それはいい,お願いします」と言ったつもりだったので、わからないだろうけれど、工事の人にちょっと話をふると、「そういう約束があるのだったら,工事の後にもってくるでしょう」という。

 実は一ヶ月前は、Macintoshのパソコンがデスクトップとノートと二つあり、もっぱらデスクトップを使っていたのだが、八月に入って間もなく,デスクトップが突然壊れてしまたので,この際、ネット用にウィンドウズが欲しいという意欲が高まっていたが、工事に人に言ってもしょうがないので、開通したら,改めて聞くことにした。

 さて、ところが、さっぱり開通しないのだ。

 アカウントなんとかと,パスワードを指定通り入れたのに,ネットにつながらない。

 しょうがないので、電話でソフトバンクに問い合わせ、電話の支持通りに再度やってみたが、だめ。

 長電話になって,電話代がもったいないので、もう一度、アカウントを間違わないように慎重にやってみるということで電話を切り、ひとけたひとけた確かめがなら入力したが、全然同じ。

 それで翌日,もう一度電話できくと、「うちではこれ以上のサポートはできない、後はMacintoshに聞くか,NTTに聞くしかない」と言い、ついでに「パソコンプレゼント」の話をすると、あ、こちらはソフトバンクではなく、ソフトバンクと契約しているらしい仲介業者だけれど、話をすると、契約書に書かれていないので、だめだと言う。

 ネットはつながらないは、パソコンはもらえないわで、すっかり嫌になって、契約やめると言うと、工事費をいただくことになるという。

 パソコンとの相性の悪さに、工事費を払っても、縁を切りたいと思ったりしたが、実際にはそんなわけにはいかない。

 ネットの開通をまずしないことにはどうしようもないと思いつつ,会社から戻ってパソコンにつないでみたら、なんと、つながってしまった!

 しかし,全然、まったく、まったく、全然、快感はない。

 なんでつながったのか、その理由がわからないから,喜びようがない。

 だいたい、今さら、ヤフーのメールもブログも使うつもりはないのに、一ヶ月900円強も払うのがこんちくしょーである。

 データカードのほうが」全然いいのだが、データカードを購入したときについてきた小型ノートパソコンを、ネットをしたいという、車いす生活をしているYに一時、貸したところ、介護保険で介護にやってきて家事手伝いをしているおばさんが、変圧器のついている電源コードを捨ててしまったことが諸悪の根源になっている。

 あの小型ノートパソコンが使えれば、勧誘員の誘いに応じる理由なんかもなかったのだ。

 というのは、感情だけで、そう言っているのだが、ともかく、夜,勧誘員がきたりしたら、「夜遅くまでご苦労様」なんて思わずに、つっけんどんに対応すべきだ。

 向こうもそのつもりで、責任を持って契約を取るなんてことは夢物語、いい加減にしか仕事をしないのだから。