パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

深夜の書き込み

2008-05-11 23:11:36 | Weblog
 昨日触れた、田勢という人物は、田勢康弘といい、元日本経済新聞社の論説委員で、現客員コラムニスト、早稲田大学大学院の教授という。いつも冷静な人で、割合信用できる人だなという印象があったが、某ブログによると、強硬な反小泉主義者で、その後継者であった安倍にも反対で、読売のナベツネと「中国との関係改善」というスローガンをかかげでタッグを組み、追い落としに成功したという。

 しかし、単に「中国との関係改善」というなら、安倍の「氷を溶かす旅」から始まったのだから、別に福田じゃなければダメというわけではないだろう。そのまま安倍でもかまわなかったはずだが…田勢がここまで福田を支持するというのは、やっぱり、何かあるのでは?と思ってしまう。

 しかし、それはそれとして、田勢が中国を重視する理由は、欧米諸国がいくらチベット問題で中国をたたいても、いずれ腰砕けになるから、欧米の尻馬に乗って反中国姿勢を鮮明にすると、後で困ることになるというのだ。

 福田以外、たとえば安倍だったら、将来困ることになったかどうかというと、疑問だが、欧米がじきに腰砕けになるだろうということについて言えば、それはそうだ。たしかに、欧米はなぜか、中国に対し常に腰が引けている。昔、清が中華民国に変わって間もない頃、ある国際会議で欧米のある有名な学者が、中国の「纏足」を女性迫害の観点から批判したところ、「纏足は、あなた方の国のハイヒールと同じ」と中国人に反論され、そのまま黙ってしまったそうだが、今回のチベット問題も、少なくとも短期的には同じような結果になるのだろう。

 しかし、それよりわけがわからないのは、かくも中国が無茶苦茶な国であるのに、一方で、将来の超大国は確実と持ち上げる点だ。しかし、「今のまま」で、名実共に「超大国」になったら、世界にとってとんでもない災禍になることは否定できないだろう。この点を、田勢先生はどう考えているのだろう。

 それとも、日米欧とも、今、中国で起きていることはすべて中国の熾烈な権力闘争が原因であることをわかっていて、中国政府を批判しすぎると、中国内で政権(いわゆる、「中原」てやつだな)を狙っている勢力に加担することになるので、あえて批判を控えているのだろうか。

 ところで、冒頭に書いた某ブログとは、田勢で検索してひっかかった「世に倦む日日」というブログで、斯界ではかなり有名なブログらしいが、極端な中国よりの内容に仰天した。いや、中国よりというか…「靖国神社を解体し、日本の反中世論を一掃すれば、中国は東シナ海の油田を日本にくれるだろう」とか、アメリカのCNNのキャスターが中国を侮辱する放送をして、在米中国人から中国人一人当たり1ドル総額13億ドルの訴訟を起こしたことをひき、テレビ朝日の古館キャスターの反中度が酷いので(そうなんだそうだ。見てないので知らなかった)、「在日中国人はCNNのキャスターを訴えたように、古館を訴えろ!」と言ったり(「なぜ在日中国人が古館を見逃しているのか不思議」なんだそうだ)、韓国のノムヒョン前大統領が特別会見を開いて、「竹島(独島)死守のためには軍事展開も辞さず」と演説したことに対し、「韓国のマスコミはノムヒョンを非難してはいけない」と書いたり、もう無茶苦茶(今回のコキントーと福田の共同声明については、まだ意見を表明していないが、ちょっと楽しみである)なんだが、しかし、全体の状況認識としては結構鋭いところもあったりする。

 というのは、今の先進国の社会体制を、新自由主義社会と福祉社会と、この二つの社会以外に社民的福祉社会を基軸に、新自由主義を導入した「第3の道」を模索する動きが(イギリスのブレア前政権のような)ヨーロッパにあったけれど、この構想は結局頓挫し、今はまた、新自由主義社会対福祉社会の構図に戻っているのだが、日本の民主党は、このすでに頓挫した「第3の道」を求めている、と批判しているのだ。そして、新自由主義を打倒し、福祉社会を実現しなければ、未来はないと断言する。

 正直言って、ここまでわかっているならば、話は早いという感じが、新自由主義者として、するのだ。つまり、田中宏和氏(あ、これが「世に倦む日日のブログ主の本名)は、××を打倒しなければ○○は実現できないと言っているのだが、このような対立構造それ自体が閉塞状況を生んでいること、そのことに気づくに後一歩、という感じが、氏の文章を読むとしないでもないのだと、そういう意味で、「そこまでわかっているなら、話は早い」と書いたのだが…ウ~ン、ちょっと深読みすぎたか。