パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

久しぶり

2007-09-29 23:33:19 | Weblog
 久しぶりに「朝生」を見た。

 社民党の辻本のおしつけがましい大坂弁、経済評論家(?)萩原(だったか)博子のキンキン声、江田衆院議員の髪の毛の生え際等が気になり、終始ザッピングしまくりながらの視聴だったが、結局、ほぼ最後まで見てしまった。

 しかし、なんで江田衆院議員は、「朝生スタジオ」において、あんな特別の地位を与えられているのか。左右に居並ぶ論客を等しく、鷹揚に眺めわたしながら、偉そうに発する彼の発言は、あたかも水戸黄門のごとく、あたかも天下の御意見番大久保彦佐衛門のごとく、あるいは最後の晩さんのキリストのごとく、必ず正しいと、あらかじめ決まっているかのようだ。

 そもそもこいつが、自衛隊の給油艦から給油を受けたアメリカの給油艦が空母に給油し、その空母がイラク作戦に従事したのはイラク特措法に違反していると、言い出したわけだが、じゃあ、自衛隊が、たとえばフランスの給油艦に給油し、そのフランスの給油艦がアメリカの給油艦に給油し、そのアメリカの給油艦がアメリカの空母に給油したらどうなるの?と聞いてみたい。やっぱりダメなの? 江田の理屈だと、間に何隻挟まっていようがダメのはず。まったくバカバカしい限り。

 大体、給油を受けた空母がイラク作戦に従事したのは、給油を受けてから二~三ヶ月後なんだそうで、もらった油80万ガロンなんか、とっくになくなっている。(昨日の話を聞いていたら、80万ガロンは、大体一週間ほどで消費してしまう量のようだった)

 この「討論」の最後のほうになってようやく、給油作戦をもし中止したら日米関係は危うくならないか、という根本の問題が提出されたが、江田いわく、「アメリカに補給艦がないわけじゃないから、たぶん、たいした問題にはならないでしょう」と根拠のまったくない楽観論を言い出し、同席した「右」の論客も同意していた。誰が言ったか覚えていないが、「野党がうるさいもので、御迷惑をかけました、すみませんて言えばアメリカもわかってくれるよ(笑)」、とか言い出すものまであらわれる始末。愕然。

 「アメリカもわかってくれるよ」という限り、特措法反対の民主党も(社民党も)日米同盟堅持は賛成らしいのだが、じゃあ、なんで日米同盟にとって有害な主張に固執するのか。給油した先が給油したことが法律違反だから? 百歩譲って、法律違反であることを認めたとしても、法律にも軽重がある。

 結局小沢が政局に利用しているだけじゃないか、と田原に言われて、民主党からの出席者二名は、それまでの優勢が一転、そんなことは絶対にないと焦りまくって否定していたが、何をもって「そうじゃない」のかは、まったく言えず。田原が、番組の終了直前に言い出したものだから、時間切れで救われていたが、自民党は、この小沢民主党の弱点をなんでつかないのか。

 ミャンマーで、日本人射殺さる。

 官房長時代は、「慎重にね」、「ふんふん」ととぼけていれば済んだものも、「首相」となれば、全然ちがう。福田には、首相としての資質の問われる、早速の試練だ。「テンモウカイカイ粗ニシテ漏ラサズ」と言うけれど、本当に、「天の謀りごと」は人の知り得るところではない、とつくづく思った。

深夜のミステリー

2007-09-26 15:52:23 | Weblog
 昨日、というか今朝、眠い目をこすりこすり、ラグビーワールドカップ、日本対カナダ戦を見ていた。試合は白熱した好試合で、カナダ12点、日本5点のワントライ+コンバージョントライ(いわゆるゴールキック)で同点という状況で最終局面となり、日本がカナダのゴールラインの直前で激しく攻め立て、キックによるトライを狙った。
 カナダゴール内を点々とするボールを追う日本選手とカナダ選手がもつれあうように、ゴールの裏側に設置されているコマーシャルの看板に激突した。どっちの選手が最後にボールに触れていたのだろう? もし日本選手だったら当然トライだが、どうもそうではないようだ。
 と、眠い目をこすりながら見ていると、突如、画面がコンバージョンを狙う大西選手の顔のアップとなった。司会者は、これが決まれば同点だ!と叫んでいる。

 え? もしかして、看板にぶつかったのが、トライ認定されたのか? それとも、看板激突後、寝不足が限界に来て意識を失い、日本のトライを見逃したのだろうか? 

 わけがわからないうちに、大西は、難しい角度からのコンバージョンを決め、同点! 選手、監督、コーチたちが抱き合って喜んだところで審判がタイムアップ宣言。日本は、今回のワールドカップで最初で最後の勝ち点3(引き分けなので)を得た、というわけなのだが、なんで肝心の「トライシーン」がないのだろう? 生中継の筈なのに……? やっぱり、眠くて失神していたのだろうか……?

 それで、事務所に来てからネットで調べたら、2chで大騒ぎになっていた。「私は寝ぼけていたのだろうか?」という書き込みが多数あり、私が寝ぼけていたのではなく、何らかの理由で中継局である日本テレビがトライシーンをカットしていたことがわかった。そして、その理由は、とりあえず「推測」ということになるが、以下の通りであった。

<日テレに電話で聞いた。なかなか技術の部署につなげてくれなかったが
<粘りに粘って話を聞いた。
<曰く
<「録画と云うより、ディレイ放送。ロスタイムが想定より長くなって来たので
<このままでは終わりまで放送できないと思い、焦っていた。
<試合途中で番組が切れてしまうと、それこそ事故扱いになるのでそれは
<避けたかったらしい。
<そこで、ラスト数分だけ生中継に切り替えた。
<そしたら、その飛ばした数分にトライが。……」

 要するに、CM時間を確保するために、数分遅らせながら中継していたところが、審判が予想外にロスタイムをとったため、予定の時間内では放送終了が難しくなり、そのため、日本選手とカナダ選手が看板に激突したところまで放送したところで生中継に切り替えたら、その「切り替え」で失われた数分(もっと短いのかも知れない)の間にトライが決まってしまった、というのだ。

 日本テレビは、何故か、深夜のスポーツ枠でテレビ東京が唾をつけたものを後追いで奪い取り、つまらない番組にしてしまうことが多い。
 その好例が、オートバイのワールドグランプリの中継で、テレビ東京が数シーズン、着実に放映していたものが、数年前から日本テレビにそっくり代わり、レポーターにジャニーズのイノッチだったか長野だったかを起用する等、ショーアップをはかってファンを失望させたことがあった。というか、今も失望させ続けているわけだが(アイドル+お笑いでミニレースをやらせ、負けたお笑い(名前は知らない)が、罰として皮のつなぎを脱がされ、パンツ一丁になってうろたえるとか……馬鹿らしくて声もでない)、ワールドカップラグビーも、前回の中継はテレビ東京で、こちらは何の問題もなかった。
 ちなみに、テレビ東京が中継していた頃は日本選手が大活躍で、常に誰かが表彰台に登っていたのだが、日本テレビに代わった途端、不振に陥って、表彰台に現れなくなってしまった。

 それはともかく、ラグビー中継に話を戻すと、ロスタイムの最後の数十秒で試合が決まるなんて予想できなかった、運が悪かったのだ……なんて、言い訳にはならない。スポーツとは元来、そういうものではないか。その予測のつけ難さ故にこそ、人気があるのではないか。日本テレビは、スポーツとは何かということがそもそもわかっていないのだ。というか、民放テレビは、スポーツの本質を理解しないスポンサーに過度に依存している限り、スポーツ中継はすべきではないと思う。

 「眠い目で見た」というと、一昨日は、『バットマン』だった。ジャック・ニコルソンが出てるやつだが、意外に忘れているシーンが多かった。最初に見た時は、とても面白かったのだが、そして、今回も面白かったのだが、その「面白さ」は、ほとんどジャック・ニコルソンがらみのみということだったのかも。
 特に、美術館で、レンブラントなど、歴代の名作を次々に「みんなクソ!」と言って、ペンキをぶっかけたり、カンバスを切り裂いたりしながら、難解な現代絵画であるフランシス・ベーコンの絵の前では、「待て!……これはいい!」と、おおはしゃぎで「名画」にイタズラをしている手下を制して言ったりする皮肉は冴えている。(皮肉だと思うのだけれどね)

 それにしても、このジャック・ニコルソンを見ていて思ったのだが、「悪」とは、そもそも子供の属性ではないのか。子供が大人になるということは、この「属性」を、無害なものに矯正することなのだ。……じゃないかね、H君。

何が大事か

2007-09-24 22:13:55 | Weblog
 前々回で少し触れたことだが、従軍慰安婦問題は、今春行われたブッシュ大統領と安倍首相の会談で、安倍首相が「謝罪」したことで解決済み、というのは、私個人の、かなり特異な持論(笑)であって、これまで理由を説明していない。
 そこで僭越ながら、ここで説明させていただくことにしたいのだが、まず第一に、なんで朝鮮、中国に対する謝罪でなくて、アメリカ大統領に「謝罪」するのだ、という問題がある。

 安倍首相の「謝罪」は、「20世紀は人権侵害の多い世紀で、そのことに日本は責任がある」というものだったわけだが、これには前段があって、実は、会談の前に、ブッシュが安倍首相に、「慰安婦問題と牛肉問題は話し合ってもしょうがないので話さないことにしたいが、記者会見では話したことしよう」と提案したのだそうで、上述の安倍発言は、それを受けて、記者の質問に対し、「大局的歴史観」で答え、それをブッシュが受け入れたということらしい。

 もしかしたら、ブッシュは、そんな大袈裟な話をしたとは思っていないかも知れないけれど、ブッシュの「同意」を、「私は、近代以降に近代国家が世界に及ぼした少なからぬ罪悪に対する遺憾の意を、日本国首相としてアメリカと共有することを確認した」と解釈せよ、いや、しちゃえ、というのが私の「持論」なのだ。

 要するに、ぶっちゃけて言うと、欧米、特にアメリカとの間の、「認識の共有」が大事で、それができてれば、中国人や朝鮮人が何を言おうが大した問題じゃないと……。

 なんて書くと、なんというあからさまな「蔑視発言」か、と思われるかも知れないけれど、実際のところ、中国人だろうが、朝鮮人だろうが、アメリカ人だろうが、日本人だろうが……要するに、誰であろうが、自らを「歴史的被害者」として、加害者に「謝罪と賠償」を要求する限り、彼等は永遠に「被害者=弱者」でしかあり得ない。

 「我々民は、民であることによって経済的な不利益を蒙ってきたのだから、それを補填せよという主張は、自らを民として認める以外には出来ない主張」(スガ秀実『革命的な、あまりに革命的な』)であるように、だ。

 もちろん、欧米人が、そんなに容易く「歴史的認識の共有」を認めるわけがない、と言われるかも知れない。
 それはそうなのだ。実際、たとえば、イアン・ビュルマというオランダ人の評論家がいる。日本人の奥さんがいて、日本の大衆文化(ヤクザ映画とか、パチンコとか、ラブホテルとか、アイドルとか)に非常に詳しい研究者として有名だが、その彼に『戦争と記憶――日本人とドイツ人』という著書がある。そこで彼は、この間亡くなった小田実に、「君は被害者、私は加害者」と言われて非常な不快感を感じたことを――直接的表現ではなく、行間でほのめかしているだけだが――吐露している。何しろ、同書の最後に、念を入れるように、再々度、この小田の言葉をひき、「加害者でも被害者でもなく、罪の意識なく過去を見る」ことの重要さで終えているくらいで、まあ確かに「罪の意識なく過去を見る」ことは重要だし、それが、この問題を解決する唯一の方法であることも賛成なのだが、しかし、明らかにオランダ人のビュルマは、有色人種である小田実に「君は被害者として育った」と言われてカチンと来ている。言い換えると、有色人種が白色人種に対して「歴史的加害者=強者」であることそれ自体、許せないと無意識で思っているにちがいないのだ。

 しかし、だからといって我々日本人は、白人種のそういう「潜在意識」を解っていたとしても、それに過剰反応する必要はさらさらない。我々は、それをわかっていて同時に、近代国家の一員として、戦争を筆頭とする人権侵害だけでなく、例えば環境破壊等に関して白人諸国家ともども「有罪」であると言明して、「認識の共有」を果たすべきなのだ。

 とりあえず、分かりやすいのが「捕鯨問題」だ。日本人は、かつて欧米人が大量に鯨を捕獲して鯨を絶滅の危機に追いやったくせに、今さら「鯨を守れなど、偽善だ」と言うが、欧米人は、「だからこそ、反省しているのだ」と言う。実際、日本人も欧米やソ連と、「捕鯨オリンピック」とかいって捕獲量を競っていたのだから、鯨資源の危機に関しては、やはり「有罪」なのだ。
 日本人は、捕鯨禁止を言われると、「鯨は増えている」とか言って、つい「被害者意識」を持ちがちのようだが、そんなことを言っても、「鯨が増えているのは、禁止したから」と返されるに決まっている。先に書いたように、日本人が「被害者面」しても、大局的に見れば、日本は明らかに「加害者」であり、それは――イアン・ビュルマが「カチン」と来たように――実は、日本が「近代国家」であることの何よりの証拠なのだ。
 したがって、ここは「有罪」についての認識を、「近代の有罪性」に昇華させた上で、それを欧米諸国と共有するのが、どう考えても得策であるはずなのだ。というか、それができないと、やばいことになる、と思うのである。

頓知で行こう

2007-09-21 21:42:39 | Weblog
 昨日、ブログをアップしてから、お腹が空いたのでコンビニに行ったら、『週刊朝日』が並んでいた。ま、人生、こんなものだが、ともかく立ち読みした。特に、小林節教授の、「洋上給油活動は我が国に国益をもたらしているというのは嘘」という論文を読んだのだが、こんなので大学教授が勤まるのか、と仰天するほどお粗末。

 中でも驚いたのは、日米同盟が危うくなるのではないかという疑問(自問形式で自ら答えている。ここらへんもヘンな論文)に対して、たとえ日本が給油活動を中止したとしても、「アメリカは日本を必要としているから日米同盟は維持される。心配ない」と言うのだ。つまり、小林教授も、日米同盟の堅持が日本の生命線であるということを前提にしているのだ。そして、恐らくは、朝日新聞も小沢も。なんてことはない。対米従属を批難しながら、実は、無条件の奴隷的(平和的)対米従属が彼らの望みなのだ。
 アメリカの政治家、学者は、今回の小沢の行動を「政治を弄んでいる」と批判しているそうだが、「言い得て妙」である。

 ところで、どこかの市民団体が、日本の給油艦から給油を受けたアメリカの給油艦が油を補給したアメリカの空母がイラク作戦に参加した疑いがあると告発したとか。最初、日本政府の説明では、給油した量が20万ガロンということだったが、実は80万ガロンだった、20万ガロンでは「あっという間に消費」されてしまうが、80万ガロンならイラクまで行けるかもしれない、というのだ。

 なんとまた馬鹿らしいことを。昔の、安保条約に書かれた「極東条項」が示す「極東」とはどこかを巡る国会論戦も馬鹿らしかった。実際、当時の飛鳥田社会党委員長自ら、「無意味な論争だったが、世論的に効果があったのでやめられなかった」と後年、言ったそうだが(岩波新書『岸信介』より)……いったいいつまでこんなことを繰り返すつもりだろう。

 余談だが、戦前、戦艦大和、武蔵を中心とする連合艦隊の勇姿を見て感激した某財閥の主が、私の全財産を連合艦隊の油代に提供しよう、と言ったところ、案内していた若い武官が、笑いながら、「一回の練習航海で吹っ飛びますよ」と答えたという話を読んだことがあるが……。

 まあ、そんなことはともかく、給油艦から給油を受けた給油艦が給油した先を問題にするなんて、日本政府も、まともに答えるなよ、と言いたい。

 同じような話だが、アフガニスタンの対テロ作戦に従事した艦船が、インド洋上で自衛隊の補給艦から油をもらい、イラクへ向かったのではないかという「疑惑」が語られているが、この問題について、2chに、こんな書き込みがあった。

 「その船は、アフガニスタンで消費した油を補充したのであるから、自衛隊はイラク作戦に協力したわけではなく、アフガニスタンにおける警察行動に協力したのだ」と。

 一休さんみたいなものだが、特措法に関する小沢のいちゃもんは、こんな頓知で切り返せばよいのではないかと、まじに思う。

「癖」なら、直せよ

2007-09-20 15:40:24 | Weblog
 「週刊朝日」のタイトルの上に、タイトルよりも大きく「安倍逃亡」と掲げた「週刊朝日」を読みたいと思ったが、朝日に金が渡るのは嫌なので、コンビニで立ち読みしようと思ったが、どこにも置いてない。「買う」か、「読まない」か、どちらか、ということになったが、「読まない」ことにした。どうせ、大したことが書いてあるわけがないし。

 ということで、代りに、不倫疑惑の姫井由美子民主党議員のインタビュー記事が載っている「アエラ」を立ち読みしたが、あまりの民主びいきにびっくり。
 なにしろ、インタビュアーが女性記者なのだが、姫井が話す前に、開口一番「男性議員が不倫したら問題になるでしょうか。今回の姫井さんに対する疑惑は不公平だと思います」と言っちゃってる。
 そりゃあ、ペーペーの陣笠議員(あまり聞かないなあ、この言葉)が不倫したってどこも報道なんかしないが、もし、有力な政治家だったら、男性だろうが女性だろうか、報道されるだろう。

 要するに、もし姫井由美子が自民党議員だったら、朝日新聞はどう出たか、っつーことだ。

 それはともかく、「アエラ」のインタビューは、この後はもう、いわゆる「井戸端会議」そのもの。口を開けて寝ている写真を撮られたことについても、姫井「あたしって、口を開けて寝る癖があるの」。「癖」なら、直せよ、と言いたいが、その前に、おー、イヤだ、見たくない。

 挙げ句の果て、インタビューの最後に、インタビュー中、終始そばについていた姫井の側近だという女占い師から、「あなたなら絶対に当選します。次の選挙にぜひ出て下さい」と頼まれる始末。しかも、記事中に堂々と、そのやり取りを載せている。普通だったら、欄外に小コラムを作って載せるべき話なのだが……正直言って、姫井をヨイショしながら、その姫井を支える「女占い師」を、いかにも「怪し気」に登場させる理由がわからない。もしかすると、社の方針でこんな記事しか書けない自分に対する、自嘲の念を込めた記述かもしれないと思ったりする。

 ともかく、議員辞職に値するかどうかは別にして、一般人として、恥じ入る他ない行動を、ここまで露骨に擁護する記事は初めて見た。

 民主党のHPで参院選挙のマニフェストを読んだが、イラク特措法廃案はマニフェストとして明記されており、潮氏の指摘する通り、アフガニスタンのアの字もそこにはないけれど、自衛隊による公海上の燃料補給活動そのものがイラク特措法に基づく行動である以上、潮氏の意見はちょっと無理があると思った。

 しかしそれはそれとして、小沢の主張が、ますます「なんでも反対」の、かつての社会党路線に近づいていく限り、国民の支持は失われて行くだろう。

 ところで、『岸信介』(岩波新書)という本をちょっと読んだのだが、岸信介は、巣鴨プリズンで「米ソ冷戦」の勃発を知り、「これで我が日本は復活できる」と小躍りして喜んだそうだ。そして、実際、その通りに彼自らの手で安保改訂を成し遂げ、日米同盟の基礎を築いたわけだが、その「冷戦」は、予想外に、早く集結し、すでに10年以上の時が過ぎた。
 では、日米同盟はどう変質すべきなのか。

 これが大問題なのだが、小泉、安倍路線は、彼らがどこまで意識しているかは別として、明らかに「パックス・アメリカーナ同盟」への変質を意図したものだったと思う。アメリカが世界の平和に責任を持ち、それを日本が支える、という構図だ。そして、それを私は支持しているのだが、意外に、日本の保守の一部はこれを理解せず(できず)、いまだに「真の自立を」なんて言っている。

 実は、この、自分を支えるべき保守層の鈍感ぶり(ぶっちゃけて言って、あまり頭が良くない)が、安倍首相のもっとも大きな誤算だったのではないかと思う。その好例が、従軍慰安婦問題だ。これは、繰り返し言っているが、今春の対ブッシュ会談での安倍の「謝罪」で、実質上終わっているのだが、それに気づかない桜井女史らによる新聞広告で台無しになってしまった……と私は思うのだが、これらの問題はまた後で。

小沢ヒトラーやりたい放題(を支える人々)

2007-09-15 18:35:16 | Weblog
 このところ、時局関連で、あちこちネットを見て歩いているが、そこで懐かしい名前に出会った。テレビ朝日の「椿報道局長」だ。1997年、小沢がしかけた政局で、「今は自民党政権を倒すのが何よりも大事なので、小沢スキャンダルは報道しないように」と、局員に命令していたことがバレて局を辞めることになった人だ。

 テレビ朝日も懲りないね~。今回はテレビ朝日だけじゃないが、まったく同じことをやっている。しかも、その情報隠蔽の対象は、またしても小沢だ。

 先日の安倍首相辞任会見後に行われた小沢の記者会見で、小沢は、安倍首相からの会談申し込みはなかったと言ってのけたことと別に、「我が党はテロ特措法には反対であると、参院選挙の際に出したマニフェストにきちんと書いておりますので、そのマニフェストを示しつつ、我々が過半数を獲得したのですから……自民党の政権交代劇によって我々の考え方が変わるということはあり得ないことだと思います」と言った。

 あれ? 民主党のマニフェストに特措法のことなんかあったのかな、と疑問に思ったが、記者が何も言わなかったので、そうだったのかな、と思った。

 ところが、今朝のサンケイ新聞の「断」というコラムで評論家の潮匡人が、HPに掲載されている民主党の参院選挙のマニフェストを隅から隅まで読んだが、特措法のことには一言も触れていなかったと書いていた。(上記の小沢発言は、そのコラムから引用)

 これは酷い。これでは、小沢はまるで、嘘と詭弁で固められた策略で、まんまとドイツを乗っ取ったヒトラーと同じではないか。もちろん、そのためには、嘘を嘘と知りながら放置したメディアの協力が不可欠であったにちがいない。

 少し前の「アエラ」では、千葉選出の民主党の女性議員(名前は忘れてしまった)の選挙運動で、ポスター設置に一枚あたり500円を業者に支払ったことで選挙違反に問われている件の記事で、請け負った業者が「なんで選挙違反になるのかわかりません。我々は彼女の支援者でも何でもない。ただ仕事を頼まれてやっただけ」と発言しているのだが、「仕事としてやったことが、なんで選挙違反になるのかわかりません」って、おいおい、選挙運動は、基本的に支援者のボランティアでなければならない、というのが現行の選挙関連の法律の精神なのだ。

 とはいえ、実は告白するが、私は最初、看板ポスターの設置にお金を払うことがなんで選挙違反になるのかわからなかった。しかし、その後、調べたら、このような仕事にお金を払うと、金を多く持っている候補がより多くの看板ポスターを立てることが出来ることになる。だから、選挙運動は、ボランティアに限っているのだ。(実際、最近の選挙では「ポスター」がおびただしく貼られている光景はほとんど見ない。)

 ところが、「アエラ」の記事は、この業者の発言に対する突っ込みは一切なし。選挙違反に関する記事なんだから、ライターは当然、この業者の行為がなんで選挙違反になるのかわかっているだろうに。でなけりゃ、そもそも記事を書けない。

 要するに、小沢に不利になることは一切スルーなのだ。(業者を金を払うように指示したのは小沢の個人秘書)

 しかし、「あの」小沢に、ここまでね~。お互いに、利用できるものは利用する、という魂胆だろうが、今にとんでもないことになるぞ。ていうか、理屈から言って、このような同床異夢は、目的を実現した途端に自滅するしかない。

 深夜、『トム・ホーン』を見る。やっぱり西部劇はいいなー。カメラがメチャクチャきれいだ。

 ところでこのトム役は、スティーブ・マックイーンだと思うのだが、なぜかマックイーンって、私にとっては、印象が定まらない役者で、晩年ということも手伝って、終始、「これ誰だろう」と思いながら見ていた。(例によって途中から見たもので……) 

 というわけで、トム・ホーンがマックイーンかどうかは確信がない。まず90%そうだと思うのだが、調べてみて、もし違っていたら、報告します。

蒲柳の質

2007-09-14 22:58:11 | Weblog
 自民党総裁が麻生から福田に一夜にしてひっくり返ってしまったようだが、それでも麻生は、ほとんど涙目で、出馬宣言。立候補が福田一人だと、政策もわからないまま、選ぶことになるから、というのがその理由。
 ここまで優劣がはっきりしたら、立候補を取り止めるのではないかと思っていたので、これには、ちょっと感心した。
 だからといって、もちろん、今さら再度の大どんでん返しはないだろうが、漫画好きとかのチャラチャラ人気は捨て、「負けを覚悟で」と言って地方を廻れば、ある程度の票数は見込めるのではないだろうか。

 まあ、彼の「勇気」を評価する人がいれば、の話だが。

 それはそうと、安倍首相の病気はそう大したものではなかったようだ。5キロ痩せたというけれど、これは「夏ばて」でもあり得る程度だ。今日のモーニングショーでも、夏前の安倍首相と昨日の安倍首相の顔写真を並べ、司会者が「歴然と痩せてます」と言っていたが、どう見ても同じだった。また、飛行機のタラップからおりて来る安倍夫妻のビデオをくりかえし写し、「奥さんが手を握っていなかったら倒れていたのではないでしょうか」と言っていたが、これもよ~く見たが、元来、「蒲柳(病弱)の質」というイメージのせいもあるが、それほど酷いとは思えなかった。

 まあ、これはいつものマスゴミの偏見報道と思うのだが、与謝野官房長官の辞任記者会見後の記者会見は見すごせない。「安倍首相は仰られませんでしたが」、とわざわざ断った上、「実は、病気が想像以上に重いのです」と、安倍首相が強調した「特措法」の話を意図的に消そうとしていた。
 本当に病気が重かったとしても、本人が記者会見でそのことに触れなかったのなら、その意図を重視するのが、「内閣の番頭」の役目ではないのか。記者に聞かれたわけでもないのに……まったく酷いやつだ。

 たかが、給油ぐらいで、と言われるかも知れないが、もし、自衛隊がやむを得ず給油作業を中断している間に、中国が名乗りを上げて肩代わりするなんてことになったら、「アメリカの世論は雪崩をうって反日親中に様変わりする」と、国際学者の田久保忠衛も言っている(今朝のサンケイ新聞)。中国製品が世界中にどんなに害毒を流していようが、「いずれ改善される」というのがアメリカの一般世論だ。元来、欧米を筆頭に、国際社会は一般的に、中国に甘く日本に厳しいという現実を正しく認識しなければならない。

 もちろん、なすべきことは、「特措法」だけではないけれど、例のモーニングショーで、誰かわからないが、アメリカ人が、「もし特措法の延長に失敗したら日本は不幸になる」と言っていた。「なるだろう」じゃない、「なる」だ。怖わ~。

 しかし、辞任後、皮肉にも、「特措法延長」に賛成の世論が反対を上回ったようだ。
 安倍ちゃん、もって瞑すべし……おっと、まだ死んではいなかった。


貧すれば鈍す

2007-09-13 21:46:00 | Weblog
 辞任表明後の安部ちゃんの言動に注意を……って思ってたら、入院してしまった。

 まあ、辞任表明しちゃったら、もう存在価値はゼロになるわけだから、しょうがないのだろうが、しかし、記者会見であんなに、国際公約としての特措法延長の重大さを訴えているのに、マスコミはまったく無視。鳥越など、「特措法と年金とどっちが大事と言ったら、年金でしょう」と発言して、山本一太と河野太郎に、「問題が違うでしょう」と突っ込まれていたが、水野美紀だか真紀か知らないが、美人女優の旦那であるイケメン代議士の後藤田が、「いや、私は鳥越さんの言うことに同意する」とフォロー。後藤田、民主党へ行け。

 まあ、いずれにせよ、連日新聞のトップで、「小沢代表、安部首相との会談拒否」と報じられていたのに、記者会見で堂々と、「そもそも会談の申し込みなんて受けておりません。記事はマスコミの誤報です」なんて当の小沢に言われて、しかも反論一つもなし、というのはどういうわけだろう。これでは安部ちゃん、あまりにも可哀想だ。

 しかし、辞任した人間の発言は無価値、というわけじゃない。一国の総理大臣が、「国際公約です」と何度も言ったのだから、重みが桁違いにある。だから、安部首相は、「次の首相に(特措法延長を)を委ねる」と言ったのだろう。

 今、NHKテレビのニュース音声がラジオから流れているが、自民党有力者の一人(音声のみなので、名前はわからず)が、「今回の自民党の危機は自民党が自ら招いたものであり……」と演説している。

 何を言っているんだ。なんでこんなに自信がないのだ。「今回の自民党の危機」は1から10まで小沢がもたらしたものではないか。「自信喪失」は、これほどまで人を盲目にさせるものなのか。

 そういえば、今朝、どこかのモーニングショーで、岩見隆雄だったと思うが、「そもそも小沢さんがいなければ、特措法は問題なく延長されていたわけで……」と発言した時、同席していた自民党の代議士数人、一瞬虚をつかれたかのように揃ってポカ~ンと口を開け、まさに「アホ面」をさらしていた。

 「貧すれば鈍す」(=信用収縮)とは、このことか。

安部首相辞任!

2007-09-12 21:14:30 | Weblog
 な、なんと、安部ちゃん、辞任してしまった。「職を賭す」と言った翌日に。

 しかし、これは別に「職を賭す」発言を翻したわけじゃない。つまり、マスコミ、2chで言われているような、「職場放棄」じゃない。最後の手段として、「職」を賭場に投入し、その出目に、安部首相は、目的実現を賭けたわけだ。

 これまで「安部辞めろ」と言っていた連中が「辞めるなんて無責任」と怒り、安部支持者は(表面的には少なそうだが)、肯定しているのが、その証拠だ。

 まあ、「辞める」と言っても、総裁選挙が行われるまでは「首相」なわけで、明日から数日間の安部「首相」の動向が注目される。

 サッカー、スイスを破る。強くなったなー、日本代表は。素人目だが、パスのスピードが早くなったような気がする。

 しかし、相変わらずのクソマスコミのインタビュアーは……。

 今回は、元全日本の小倉をインタビュアーに起用していたが、オシムに「今日の試合の感想を」と変わり映えしない質問をして、「それはあなた方が判断して下さい」と返され(「あなたがたが見た通り」だったかな)、意味が判らず、ポカーンとしていた。
 私が翻訳してあげる、オシムは、「皆さん、楽しんでくれましたか?」と聞いたのだ。

 テレビでサッカーを見ている時、感じるのだが、日本のサッカー中継は技術解説に偏して、テレビの前のサッカーファンを「楽しませる」という意識が薄い。特に、抜きん出て「酷い」のは、フジテレビの青島アナと風間解説コンビ。

 彼らが好きな人もいるのかも知れないが……私は嫌だ。延々と二人で試合そっちのけで、「技術談義」。まるで、ビデオで試合を再現しながら解説しているような感じ。しかし、その間もゲームは進行しているわけで、突如日本チームがピンチになったりすると、青島アナ、技術談義を大慌てで打ち切り、「うわー、あぶない」「ふー、助かりました」と、「技術」そっちのけの臆面もない日本贔屓を暴露する。
 もちろん、日本のテレビなんだから、アナが日本チームの出来に一喜一憂してもいいのだが、「技術解説」とは、「価値中立的」だったのじゃないのかい、と皮肉を飛ばしたくなる。

 よく考えると、野球のような、攻撃と防御が交代で行われるゲームでは、「技術解説」を挟む時間があるが、サッカーは瞬時で事態が変わってしまう。「技術解説」している暇なんかないのだ。

 それにしても、見事な勝利だったなーと思っていたら、オシム監督、最後に、「勝ったが、あまりいい出来ではなかった」。インタビュアーがボンクラなんで怒らせちゃったじゃないか。

吉か凶か

2007-09-10 22:14:26 | Weblog
 安部首相の「職を賭す」発言(特措法延長問題)は、吉と出るか凶と出るか。

 正直言って、私は「吉」なんじゃないかと思う。ということは、今後は小沢が追い詰められる可能性があるのではないか。たとえば、給油を止めたとしたら、「国際社会」は、当然、他の「貢献」を求めるだろう。民主党にその代案は、あるのかと記者に聞かれた、民主の幹部の一人は、「アフガニスタンがテロリストの基地になってしまっているのは、貧困が原因なのだから、アフガン人の生活向上を直接助けるために民間人のボランティア派遣を進めたい」とか言っていた。

 超危険地帯に丸腰で何の戦闘訓練も受けていない民間人を派遣し、武器を持った軍人(自衛隊員)を引っ込めるなんて、もう10年以上前のナンセンスな意見をまだ言っていると呆れたのだが、その前に、テロリズムは「貧困という温床から生まれる」という決まりきった見方は、果たして正しいのか? ビンラディンはアメリカの大統領との関係すら噂される大金持ちの息子だったではないか? 9.11で旅客機を乗っ取った犯人たちも裕福で知的な連中だったではないか? 日本のかつての「過激派」も大半は中流以上の家庭に育った。

 もっとも、「リーダーは金持ちで、知的水準は高くても、彼らに従おうとする者は、やはり貧困層が圧倒的に多いはず」という反論もあるだろう。
 さて、どちらが正しいのだろうと思っていたら、折よく、極東ブログが「過激派と貧困」の結びつきについて、「思い込みに過ぎないようだ」という記事を載せていた。

 よく報道されるのがアフガニスタンのアヘン栽培で、貧乏な農民がやむを得ずにアヘンを栽培し、それをタリバンが資金源にしているという構図だが、極東ブログの紹介している記事によると、アフガン産のヘロインは世界の93%(つごい)を占めているが、今やアヘンは、かつて「穀倉地帯」と呼ばれていた裕福な地方で栽培され、貧しい地域では「栽培されていない」のだそうだ。

 この情報は、いろいろに解釈できるだろうが、一つ、確実に言えることは、アフガン人の民生向上がテロ撲滅につながるという民主党の、今でも多くの人が信じているであろう主張は、実は、根拠がないということだ。

 そもそも、問題のイラクにしても、元来貧しい国ではないそうで、実際、昨日、NHKのニュースで、イラク北部のクルド民族自治区が、非常に繁栄していることを伝えていたが、ショッピングモールの賑わいなんか、まるでここはニューヨークか東京か、はたまたパリか、みたいに明るく、清潔そうだった。クルド民族自治区に限って言えば、アメリカのフセイン打倒政策は成功したと言っていいようだというのが、NHKの現地記者の言葉だった。(実際、フセインのクルド人大量虐殺がイラク戦争のきっかけの一つだったのだ)
 このクルド人は、民族的にはアラブ人とはちがうそうだが、しかし、宗旨はイスラムだろうし、アラブ人であるイラク人が、クルド人なみの成功を収めていたとしても、不思議ではないし、したがって、アメリカがそれを期待したことも、そんなに脳天気なことではなかったのではないか。

 たとえば、これもNHKのニュースで知ったことだが、イラクの都市部(たとえばバグダッド)には結構多数のイラク人のキリスト教徒が住んでいて、クリスマスにはクリスマスツリーを家の外に飾り、皆でキリスト生誕を祝っても、これまでテロの被害にあったことはなかったが、自爆テロが多発した今回(去年)のクリスマスは、犠牲者の家族らを慮って、ツリーを外に飾ることは止めた、というのがそのニュースの趣旨だった。

 とはいえ、現実には、アメリカのイラク政策は失敗であったわけだが、さて、果たしてそのアメリカの政策に協力した日本もまた「失敗」したと言うべきなのか?

 実はこれが結構微妙なのだが、アメリカが失敗した政策に日本が協力したからといって、その日本の政策が「失敗」かどうかは、自ずから別の問題なのだ。何故なら、日本政府の政策の是非は、イラク人が得た幸福ではなく、日本人が得た幸福(国益)から判断すべきことだからだ。

 ちょっとドライ過ぎる考え方かもしれないが……国民国家同士の関係とは、そういうものではないかと思う。

 そういうわけで、民主党の幸福(成功)が第一、それ以外はどうでもよしとする小沢一郎は、「民主党の幸福が日本の幸福につながるのだ」と強弁したいところだろうが、かつて湾岸戦争時に学んだ国際社会間におけるドライな思考、価値判断を、誤って国内政治に適用してしまっているように私には思える。