パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

リスクの取り方

2013-03-28 01:18:11 | Weblog
 西武鉄道の秩父線が、アメリカの投資会社の要求で廃止になるとかならないとか。

 マスコミは一斉に「長期的視点を持たないアメリカニズム」と決めつけて猛反発しているが、実際はどうなのか。

 マスコミはまったくそれに触れないまま、所沢市長の、赤字でも公的に必要なら廃止は許さないとか報じているが、じゃあ、赤字を税金で補填するのか?

 それとも、現状のままでもなんとかやっていけるが、より多くの利益を出せと投資会社が要求しているのか?

 残念ながら、あり得ない話だが、現状は赤字でも、秩父線沿線の住民が増加傾向にあるので、「長期的」に見れば、やっていけると西武鉄道は考えているのか?

 その辺の取材がまったくなされていないままでは、反グローバリズムに合わせた意図的報道としか思えない。

 西武ライオンズを売却しろとも、アメリカの投資会社は言っているみたいだが(フォロー報道では投資会社は、それは要求していないと言っていたが)、日本のプロスポーツの組織形態が、親会社の宣伝係という、ノンプロ的側面がある限り、うさんくさく思われる可能性はある。

 もう10年近く昔だったが、バレーボールを、サッカーの後を追ってプロ化しようという動きがあったが、選手の一部に親会社にオンブだっこのノンブロの方が安心できるという意見が強かったこともあって、結局プロ化は断念、親会社のイメージを無くすために、なんとかイーグルスとか、ヘンテコリンなチーム名にしてじり貧に陥ってしまった。

 ノンプロの方が安心、と思う心理は、ラグビーで日本の新日鉄とかサントリーとかの大会社がもつチームに招かれた南アとかトンガとかニュージーランドとか、強い国の選手が「安心できる」と語っていたので、万国共通のものがあると思うけれど、実態を言えば、エスビー食品のマラソン部が、エスビーが特に経営不振という話は聞いていないのに、突然、「廃部」になったり、本来、安定してはいない。

 もちろん、ラグビーのプロのクラブチーム、バレーのプロのクラブチームになれば「より安定する」というわけではない。

 むしろ、個人の身分としては、成績が悪ければ、アスリートをあきらめるか、他のチームにいくなどのリスクを背負わねばならない分、不安定になるが、でも「自分でリスクを負う社会」というのは、基本的に健康的で、いいことなのだと思う。

 一方、「自分でリスクを負わなくてもいいが、その分、周囲に気を使って生きねばならない社会」は、どう考えてもいやな社会だ。

 「自分でリスクを負う必要はなく、また、周囲に気を使う必要もない社会」があるとしたら、一番いいのかもしれないが、それは「ない」だろう。

 だいたい、安定していると思っていたが、安定していなかったという経験と、不安定だと思っていて、実際に不安定だったという経験では、経験の質が違う。

 前者の経験は、ただ「ショック」でしかないが、後者の経験は次につながる。

 と思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿