パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

ある、成功したクーデターについて

2006-02-27 12:26:00 | Weblog
 別に風邪をひいたわけでもなく、単なる心身の疲労だったと思いますが、まあ、なんとか元通りになって、手始めに富士の特製うどんでも食べようと思って、雨中、出かけたが、身体の中の人の訴えに「耳をすませば」、富士のソバ、うどんはちょっと量が少ないと文句を言っているみたいだったので、天壇のタンメンにした。
 天壇タンメン、今回は「ハクサイ」。いや、ハクサイも好きだからいいんだけれど……「日替わりタンメン」ってして、メニューにその日の使用野菜を書いておくといいんじゃないかな。

 冬期オリンピック終了。荒川静香の金メダルはすごいけど、やっぱり、スルツカヤ、コーエンなんかに引導を渡すような異次元の滑りで浅田真央が金メダルをとるところを見たかったな、私は。
 そもそも、今回の不成績は、浅田真央の参加資格問題で協会が「余裕」のあるような態度を見せてしまったことが原因ではないのか。前にも書いたけれど、事前に、「なんとかなるわよ、ちょろいよ」的な印象を選手に与え、競技を控え不安な選手心理に「救い」を与えてしまった。もちろん、こんな「救い」は救いになんかならない。
 しかし、今朝の産経新聞の「総括」は、専門家(スポーツメンタルトレーニング)の言葉の引用と言う形でだが、結局、選手たちの自己管理に問題があったとしている。その専門家曰く、「全部心のせいにするのは簡単だが、本当は情報不足であり、戦略不足。3番目にその日の状態の理解不足がある」と。で、サンケイの結論は「はっきり言えば、それができていたのは荒川ひとり」だが、「それは選手だけの責任ではなく、環境を整えるべき監督、コーチに競技団体の関係者、さらに《メダル》の重圧で選手たちを追い込んだ役員たちも責務を負うべきだろう。」と。
 何を言っているのかね、サンケイは。選手には――よほどの問題でもない限り――責任は一切ないのだ。
 大体、スポーツ競技の結果責任を選手に求めたら、選手なんてやってられない。実績(結果)をあげることができるのは、上位の数人、あるいは、厳しく言えば、トップの一人だけなんだから。(まあ、トップの一人だけに栄光を授けて、あとは「罪人」とする考え方もあるけど。旧共産圏とか古代マヤ帝国とか)
 たとえば、男子アルペンン回転の4位、7位入賞。これはすごい。上位3人がみんなオーストリアだから、上位成績表の国旗を見ると、回転競技では、日本はオーストリアと並び、実質「2強」的存在だったことがわかる。
 日本人はもともと「回転」に向いていると言われていて、実際、猪谷が銀メダルをとった。しかし、その後は、スキー人口は膨大なのに、まったく低迷。「なぜ?」と思われていたのだが、これも、私に言わせれば明らかに指導側、役員側の問題でしょう。だって、そうでないとしたら、結局、日本人には、猪谷を例外として、アルペン競技は向いていないということになる。でも、そうじゃなかったのだから。

 またまた、私の話で恐縮だが、高校時代、ちょっとボート部にいたわけだが、私が入部したのと同時に、コーチに就任した誰某さんが(名前は忘れた)、練習に元ミス横浜という美人の奥さんを、みんなに見せびらかしたかったのか、連れてくる。ミス横浜ですよ、横浜。ミス宇都宮とはちがう(宇都宮の人、いたらすみません)。国際都市、ヨコハマを代表して、豪華客船の船長なんかに花束をあげたりする役目だ。その時には、会話もかわすだろう。だから、ただ美貌だけじゃなくて、知性もある(んだと思う)。
 ただコーチはあまり背の高い人ではなく、奥さんもモデルのようなすらりとした背の高い人ではなかった。一緒にくる時も、和服姿。で、二人で岸壁から我々を見たりしている。鯖アレルギーのキャプテン(キャプテンがひどい鯖アレルギーで、それを利用してしばしば試合前日に逃避をはかった話は前に書いた)は、「チッ」的な顔で二人を見ていたが、やがて、学校(早稲田)に直訴して、そのコーチをクビにして、自分達で練習メニューを決め、管理するようになった。クーデターですな。ところが、以来、急激に実力があがって、それまでずっと連敗中だった対慶應高校戦にも勝利した。
 もちろん、これはコーチ不要という話ではない。ただ、あまりにひどかったら、むしろいないほうがましということだ。で、日本のスキーアルペンチームは、そんな状態が半世紀近くも続いていたのではないかと。

 いずれにせよ、今回の不成績の分析は、多分、競技団体できっちりやるだろうし、そういう素地はできてると思うが、それとは別に、各種マスコミの分析記事に興味がある。ことはスポーツだけの問題ではないからだ。(サンケイは、残念ながら、「ダメ」だった。サンケイが保守であり、右翼とも言われることはいいのだけれど、数年前から、書く中身に「含蓄」がなくなってしまった。言い換えれば知的水準が低下しているのだが、それは、案外、ちょっとしたコラムなんかでわかる)

 ちなみに、ボート部のコーチを追い出したのは、コーチが元ミス横浜の奥さんを練習に連れて来たからというだけでは、たぶん、ないと思います。私はその時、一年坊主だったので、どんなことがあったのか知りません。ただ、早慶戦(高校の部の)で連敗連敗又連敗だったことは確か。

ちょっと疲れぎみ

2006-02-24 11:03:50 | Weblog
 「いろいろやらねばならないこと」が重なってちょっと疲労ぎみ。こういう時はあったかいうどんでも食べるのがいいのだが、つい、栄養をつけようと、ピザの上に揚げ物をのっけて食べた上、チラシ配付に出かけてしまった。これは、ちと無理があった。なんとか316枚配ったが、事務所に戻ったら気持ち悪くなり、吐いてしまった。

 夜、イーストウッドの『ザ・シークレット・サービス』をテレビで見る。ドラマとしては、基本的に「ダーティーハリー」シリーズの第二作あたりに似ているようだけれど、「行動」に関する形而上的ドラマとも考えられる。最後に、暗殺犯人がイーストウッドの救助を拒否して、自らビルから落ちて死ぬ。これは、暗殺犯人がイーストウッドに「行動をするとはこういうことだ」と見せつけているわけだが、しかし、暗殺犯人のこの「行動」は、一般的に、「行動」がニヒリズムを伴うことを示唆している。三島なんか、まさに、その好例だったわけだが。

ちょっと疲れぎみ

2006-02-24 11:03:11 | Weblog
 「いろいろやらねばならないこと」が重なってちょっと疲労ぎみ。こういう時はあったかいうどんでも食べるのがいいのだが、つい、栄養をつけようと、ピザの上に揚げ物をのっけて食べた上、チラシ配付に出かけてしまった。これは、ちと無理があった。なんとか316枚配ったが、事務所に戻ったら気持ち悪くなり、吐いてしまった。

 夜、イーストウッドの『ザ・シークレット・サービス』をテレビで見る。ドラマとしては、基本的に「ダーティーハリー」シリーズの第二作あたりに似ているようだけれど、「行動」に関する形而上的ドラマとも考えられる。最後に、暗殺犯人がイーストウッドの救助を拒否して、自らビルから落ちて死ぬ。これは、暗殺犯人がイーストウッドに「行動をするとはこういうことだ」と見せつけているわけだが、しかし、暗殺犯人のこの「行動」は、一般的に、「行動」がニヒリズムを伴うことを示唆している。三島なんか、まさに、その好例だったわけだが。

脱肛まぢか!……ん?

2006-02-22 00:02:11 | Weblog
 三日前になっちゃったけど、住友不動産のチラシ配付。はじめるのが遅かったので、途中で暗くなり、余力を残して切り上げたが、それでもちょっきり300軒。テクマル君も、ほぼ一万歩ぴたり。
 面白い苗字として、「油面」というのがあった。なんと読むのだろう。「中曽」というのもあった。なんか、見ていらいらした。「中曽根」って書け、っつーの、という感じ。無茶か。それから、「庭師 ○○○」と、自分の職業を書き入れている表札もあった。「庭師」か。自分の仕事に誇りをもっているのだろうな。濡木痴夢男さんは、「縄師」と表札に書いているだろうか。誇りはもっていそうだ、というか、もう、誇りでいっぱいなのだが、やっぱり書き入れてはいないだろうな。

 帰りに、「天壇」でタンメンを食べる。なんか、チラシ配付のつきもの行事になりそうだが、今回のタンメンは、前回はキャベツばっかりだったのだが、もやしばっかりだった。もやしは好きなので、よい。でも、その時に余った野菜で作っている感じもして、ちょっと……。
 なお、前に食べた時に忘れていったと10円玉を渡された。私が帰った後、食べながら読んでいた新聞の間に挟まっていたそうだ。いや、有り難いことなんだが……。「天壇」の「天」は「……」のことだったりしてテンテン。

 「いろいろやらなければいけないことが重なって」と書いたけど、その「いろいろ」には、当然、月光24号の製作も入ってます。やっとこさ、主論文「映画の研究」脱肛、いや、脱稿まぢか! 「映画の研究」は、いわば、私のライフワークだからね、ちょっと力はいりました。しかも、具体的な作品、監督、俳優等への言及一切なし。じゃあ、何を書いたんだと言われると、まず、「ものが動いて見えること」の「謎」からはじめた。なんで、「動いて見えること」が「謎」かというと、なんとなく「謎」じゃないかと思ったのだけれど、調べたら、実際に「謎」だったと、謎めいたことを言ってますが、でもちゃんと解答は書いてますので、御期待ください。なんちゃって。

 映画といえば、昨夜、ブラッド・ピットとジュリアロ・バーツ主演の映画をテレビで見た。でも、また例のごとく、途中からなので映画の題名はわからず、また、終わる前に寝てしまったので、結末もわからないが、二人にとっては、それこそ、かなり「力の入った」作品とお見受けした。ブラッド・ピットの相棒の、いつも帽子をかぶっている犬が面白かった。あと、ジュリア・ロバーツと道中を共にするゲイの殺し屋もよかった。
 ドラマは、アメリカ人が、勝手のわからぬ隣国メキシコで右往左往するというパターン。この設定は、「ゲッタウェイ」とか「ワイルドバンチ」とか、よくあるパターンだけれど、この場合、アメリカ人が、たとえ悪者であっても、遵法精神に富んだ行動を見せることが多い。この映画でも、ブラッド・ピットが車が一台も走っていない通りで、赤信号待ちしていて、車がさっぱりこないので、左右を見ながらそろそろ車を走らせると、いきなりでかいトラックが走り込んできてびっくりするといったギャグめいた場面があったが、実際、無人の交差点で赤信号を守る国民は日本人とアメリカ人だけという話を聞いたことがある。
 アメリカ人は、遵法精神なんか糞食らえといった荒くれ者を気取りたがるが、実際は法律に従順なのが特徴で、そういう実像が、メキシコを舞台にしたハリウッド映画などでよく見ることができる。とはいえ、「アメリカ人は正義を守る」とか、そういうのではなくて、むしろ、融通無礙の「土着」の文化に接して、法律に頼らざるを得ない、孤独な「浮き草」である我が身を発見して、おどおどしてしまうという感じ。ゲイリー・クーパーとか、ヘンリー・フォンダとかハリソン・フォードとか、もちろんブラッド・ピットなんかも、そういう、どこかおどおどしているところが魅力となるキャラクターだと思う。
 しかし、いったい、なんて映画だったんだろう(笑)。

お知らせ、その他

2006-02-17 13:37:01 | Weblog
 何やら、いろいろなことをいっぺんにやらなくてはならなくなって、ブログもちょっと書き込むのが遅くなりました。

 その「いろいろなこと」の一つが、例の(?)千駄木のレストラン(イマーゴという)でタンゴの演奏会を開く、というもの。
 このタンゴバンドは、慶應大学のOBからなる「KBRタンゴアンサンブル」というもので、実力は、学生バンド全国大会三連覇の実績を誇る、折紙付き。実はこのバンドのリーダー格のぴあの担当が私の従兄弟で、私の母親の御葬式で久し振りに会い、まだタンゴをやっているということで、じゃあ、ということではじめた。

 日時は、2月25日(土曜日)の午後三時開演で、演奏曲目は以下の通り。

First Stage ( 15:20~ 15:50 )

1. チャリ-ト
2. フェリシア
3. 夜明け
4. ロカ
5. 小雨降る路 (Vocal)
6. マイアミビーチルンバ
7. 銀きつね
8. 夢去りぬ(Vocal)
Second Stage ( 16:10~ 16:40 )

1. リベルタンゴ
2. 黄昏のオルガニ-ト
3. ベサメムーチョ(Vocal)
4. 涙と笑い
5. 大きな人形
6. 水色のワルツ(Vocal)
7. カミニート(Vocal)

 一曲当たりの時間が数分と短いけれど、タンゴ曲って、元来、短いのが特徴なんだそうだ。
 コーヒー、ケーキつき、当日3000円、予約2500円。
 御予約は、イマーゴ(03-3827-0881、FAX03-3827-0882)まで。南原企画でも受け付けてます。その場合は、メール nanbara_2@nifty.com で、よろしく。下の写真は、そのタンゴバンド。受け取った際に、カラー情報を破棄しちゃッたんで白黒ですが……。



 それにしても、なんというか、高橋ダイスケを見てみようと深夜、待機したものの、滑走順が最後ということで、途中で眠ってしまって、見ることができなかったが、起きてみたら、順位が下がって、八位。どうも、転び捲ったりなんだりで、最低のできだったらしい。

 今回の冬期五輪の不成績について、玉木なんとかというヒゲのスポーツ評論家が、毎度のごとく、「国がきちんとしたスポーツ政策をもっていないから」とか言っていたが、こいつは、なんでもかんでも国を持ち出して批判するしか能がないのか。
 今回の失敗ははっきりしている。「普通通りにやればなんとなる」という甘い雰囲気が選手の間に充満していたからだ。では、なんで、そんな気分になってしまったかと言うと、はっきり言って、選手たちを統括するリーダーが、甘い言葉をふりまいたのではないか。
 というのは、選手自身はいつも不安を抱えている。たとえば、男子フィギュアで言えば、ロシアのプルシェンコなんて、とんでもない選手がいるということを、一般人、たとえば私なんか全然知らなかったのだが、選手自身は知っていたはずだ。つまり、金メダルは絶対無理ということはわかっていたはずだし、また、プルシェンコ以外にも実力者がめじろ押しであることもわかっていたはず。要するに、三位に入ることもかなり難しいが、でも、頑張れば可能かもしれない(実際、そうだと思うが)、そんなあやふやな気持ちで、選手たち自身はいたのだと思うが(今から見れば金メダル当然のプルシェンコにしても、やはり不安な気持ちでいただろう)、それ故に、選手団を統括する責任者から「なんとかなるよ」なんて、甘いことを言われたら、その言葉にすがってしまうのが人情ってものだろう。
 というのは、私自身に苦い経験があるのだ。
 大昔、高校の山岳部にちょっといた時のこと、冬の乗鞍岳に行ったたことがある。その時、上級生が、雪山登山をはじめてやることになった我々の不安をやわらげようと「初日はスキー場のちょっと上までだよ、ちょろいちょろい」と言いまくったのだ。ところが、いざ行って見ると、「ちょっと上」なんかじゃない。たっぷり7。8時間はかかる。ところが、下級生一同は、上級生の「ちょっと上」という言葉を信じちゃっていたので、上級生が、「ちょっと上は言い過ぎだった。まだまだかかるぞ」と言い直しても、もう切り替えはできず、最後には、上級生がびっくりするほどタフだった部員まで、ひっくり返ってしまった。
 この時は、一晩テントでぐっすり寝ることで、翌日にはすっかり気持ちを入れ替えることができ、その後は予定通りスケジュールをこなすしたのだが、そんなわけで、スポーツ競技において、事前のリーダーの一言は極めて大事であることを痛感したのだ。

 要するに、《いったん、「ちょろい」という気持ちが選手の間に入り込んでしまったが最後、その気持ちは、厳しい現実の前に「こんなはずではない」という焦りの気持ちに転化し、競技が終わるまで抜け出すことはできない。》

 トリノ冬期五輪の不振は、以上のように分析でき、したがって、今後も、残念ながら好成績は、もはや期待できないのではないか。おちろん、選手たちは、これまでの不成績は不成績として、今後は頑張る!という気持ちでいると思うけれど、その「頑張り」は、実際は「焦り」なのだ。もっとも、そうだとすると事前に散々叩かれまくったミキティーなんかが、逆に、好成績を残したりして。(マスコミが甘い期待を振りまいたということもあるけれど、当事者である選手自身はそんな無責任なマスコミの言葉にすがって、自分達の「不安」の解消を願うようなことはないと思う)

これはひどい!

2006-02-14 01:14:35 | Weblog
 といっても、トリノ冬期オリンピックにおける日本人選手の成績のことではない。子供の頃、「是はうまい」というふりかけが大好物だったが、「是はひどい」と言うしかない法律が4月1日から実施されそうだ。
 その法律は、検査機関の認証を受けていない電気製品の販売を禁止する、「電気用品安全法」という2001年に施行された法律で、今年3月一杯で、5年間の猶予期間が終了するのだ。簡単に言うと、検査機関の認証を受けた証拠である、PSEマークのついていないすべての電気製品の販売を禁止するというもので、違反したものには法人で一億、個人でも数百万円の罰金が課せられるという。
 この法律のどこが「ひどい」のかというと、“今後”、PSEマークのないすべての電気製品の販売を禁止するというのではなく、“過去”にさかのぼって適用されるところにある。実際、“今後”の販売禁止というだけなら、正直言って、まったくの無駄な法律だが、それを除けば、どってことはない。しかし、“過去”にさかのぼって適用されるとすると、話は別だ。なぜなら、その場合、2000年以前に作られた電気製品を販売することはできなくなり、中古市場が成立しなくなるのだ。是はひどい! 中古市場というものは、単に貧乏人向け市場というのではない。日本で「ノンリコースローン」が一般化しないのは、日本の家屋の中古市場が小さいのが大きな理由になっているように、「金融」にも密接に関係してくる。

 なんで「金融」に関係してくるのかと言うと、「月光」のケインズ特集でも触れたのだが、中古製品販売業というのは、実は、情報産業なのだ。たとえば、工場を出荷したばかりの自動車の品質は、製造業者が保証している。つまり、商品に関する情報は、新品の場合、消費者に公開されている。ところが、いったん消費者の手に渡り、自動車ならば、数万キロ走っている間に、どのような不具合が生じたかは、それを運転していたものにしかわからないし、それを中古業者に売る場合、売る側はそれを隠して売ろうとする。一方、中古車業者は、自らのノウハウでそれを見つけだし、適当と思われる価格でそれを買い取り、利益分を上乗せした値段をつけて、買い手に売る。これが中古車業者の仕事であるけれど、その本質は、中古自動車の外見ではわからない「秘密の情報」を探り出すところにあるのだ。もちろん、テレビや冷蔵庫、オーディオ機器、パソコンなどの中古販売業者の仕事も同様で、売り手が隠したがる、「真の価値」を暴き、それを中古価格に反映させるのが彼らの仕事である。(中古価格には、「ブランド価値」という、「品質」とはまた別の、無形の要素もあるけれど)もちろん、銀行や株の売買も、「情報産業」である。

 では、今回実施される「電気用品安全法」の場合はどうかというと、「PSEマーク」は、工場出荷時における商品の安全性を保証するというものであるけれど、前述したように、工業製品は、新品、すなわち工場出荷時の製品の機能、安全性は、製造者が保証している。言い換えれば、消費者は、新品を買う場合には、「安全性」について――もちろん、実際には、「価格に応じて」、という条件がつくが――心配する必要はない。つまり、新製品の情報は公開されているのだ。というか、正確には、消費者一般が「共有」している。
 要するに、工場出荷時の製品を検査機関が調べて「PSEマーク」を付与することなど、そもそも必要がないのだ。
 しかし、それだけじゃない。「PSEマーク」のついていないものは、中古品でも販売してはいけないというのだ。しかし、前に書いたように、中古品販売業者というものは、買い手(消費者)にはわからない、中古品の欠陥などを精査し、通常の使用にはまず問題がないとわかったものに、適当な価格をつけるのが仕事なのだ。それを、「PSEマーク」がついていないというだけで販売禁止にされたら、中古製品販売業そのものが成り立たない。逆に、「PSEマーク」がついていれば、中古品であれなんであれ、売っても良い、というが、「PSEマーク」がついていようがいまいが、いったん消費者の手に渡ったら、必ずどこかに不具合が生じる。つまり、「PSEマーク」は中古品の場合、なんの意味も持たないのだ。
 
 以上は、「原理的」な話だけれど、実際に生じる問題は多岐に渡り、いずれ深刻な問題を生じかねない。たとえば、古道具屋とか、リサイクルショップにかぎらず、一般の小売り業者も、「PSEマーク」のついてない商品の在庫をかなり抱えているのが現実で、そのために税金も払っている。なぜなら、将来利益を生むかも知れないからだ。その在庫品を4月以降は売ってはいけない、というのだから、業者としてはすべてゴミとして捨てるしかないが、そうなると、今まで、「将来的に利益を生じるもの」という前提で払っていた税金はどうなるのだろう。「売ってはいけない」ものを抱えて、なおかつ税金がかかるのだろうか。あるいは、利益の圧縮要因になるのだから、その分、一種の還付金としてもどってくるのだろうか。
 2chの書き込みにあったのだが、この疑問点を税務署に聞いたところ、「電気用品安全法なんて法律は知らない」、という返事だったそうだ。いやはやなんともであるが、業者としては、「PSEマーク」のついていない商品は、捨てる以外にない。それでもいいのか? 通商産業省。

 この「とんでもない」法律については、月光読者のH君から一ヶ月程前事務所に来た時に、「リサイクルショップや、中古業者がパニックになってますよ」、と聞かされていたのだが、昨日あたりから2chでスレが立って、「紀子様御懐妊」の後を継ぐように、大騒ぎになっている。しかし、新聞もテレビも、マスコミは一切、この問題に触れていない。どうなってるのか。担当役所である通商産業省には、ここのところ、急に抗議の電話が多くなり、苦慮しているらしいのだが……。役立たずだなあ、マスゴミは。

年齢不詳

2006-02-12 13:34:54 | Weblog
 ニフティからバースディメッセージが届いた。いらないっつーに。

 しかし、年齢というものは、一見しただけではわかりにくいところがある。
 南原企画事務所の下にある、キッチン「いづみ」の御主人(コック兼)と、そこで働いている女性なんかもその典型例で、最初、その女性を見た時、御主人の姪の眼鏡っこ女子高生がアルバイトで働いているのかと思ったのだが(なんで「姪」と思ったかというと、年齢的(外見上)には、御主人の娘と思ったのだが、見ていて、なんとなく親娘の関係という感じがしなかった。かといって、単に時給で雇っているアルバイトという感じもしない。それで、「姪っ子」と勝手に想像したのだが)、その「いづみ」の隣の割烹料理屋の板さんにそれとなく聞いたら、「姪っこなんかじゃないよ。奥さんだよ。若く見えるけど、よく見てごらん、それなりの年齢だってわかるから」と言われた。
 言われてあらためて見ると、確かに(笑)。とても女子高生などではない。
 実は、その彼女の御主人のほうもちょっと年齢不詳なところがあって、白いコックの身なりをしている時は60以上、いや、70歳を越したお爺さんのようにも見えるのだが、仕事を終え、コックの白衣から、ハンチングにスタジャン、細みのジーパンといった格好に着替えると、いきなりひとまわり、いや、ふたまわり以上、若く見える。それで、最近では、かつては女子高生ではないかと思っていた彼の奥さんが、「姉さん女房」に見えたりしている。
 「視覚」が、「思い込み」に思いっきり左右されるものだとはいえ、いい加減なものだ。それとも、私がいい加減なのか。まあ、そもそも、話題そのものが、無責任な、「いい加減」な話題であるわけだが。

 

職権乱用(?)

2006-02-10 01:38:16 | Weblog
 テクマル君を腰に、いざ、チラシ配付に出発。313軒、配って、テクマル君を開いたら(テクマルは蓋つき)、なんと、1万4000歩。調整したものの、ちょっと数が多めに出ていたので、少し割り引いても、1万2000歩くらいは歩いただろう。一度に1万2000歩はしんどいが、長めの靴ヒモを靴底にくるりとまわして縛ったお蔭で大変に歩きやすかった。
 その靴はフリマで買ったロシア製の靴。ロシアンプロダクツの製品は、丈夫で、案外良くできている、という話を聞くが、実際、軽くてかつ頑丈、革も柔らかいのに、水漏れしない。カメラなんかも、ロシア製はライカなど、外国のパクリが多く、したがってブランドとしての価値はないが、それなりによくできているという話をよく聞く。
 それに比べると、はっきり言って、中国製は今いち、というか、そこまでもいっていない。
 以前、シーガルという中国国内では有名な中国製2眼レフを買ったことがある。万年筆なら「英雄」とかいう製品が一時、日本にかなり数多く輸入されていたが、シーガルも同様で、10年くらい前、よくカメラ屋でみかけた。カメラ屋のおやじは、私を素人と見くびったか、「これで充分だよ」とか言っていたが、使ってみると、ピントがやたら重い。カメラにとって、ピント合わせはカメラの命みたいなものだが、重いと、写すのがいやになるし、軽すぎるとすぐにピントがずれそうで不安になる。この塩梅をどうきめるかが、カメラ造りのセンスなんだろうが、そういう、「こだわり」みたいなものがシーガルにはまったく感じられず、ほとんど使うことなしに、腹立ちまぎれに引っ越しの際に、赤帽の運転手にあげてしまった。
 このシーガル、今でも作られているらしく、つい数カ月前、新品をカメラ屋でみかけたが、おもちゃみたいに薄っぺらかった。実際に手にもったわけではないので、なんとも言えないが、少なくとも「見た目」は、えらく貧弱だった。進化どころか、はっきりいって退化している。多分、共産中国では国策としてハイテク製品に力を入れ、2眼レフのようなアナクロ機械は将来性がないから、貧乏な自国民向けに適当に作っておけといった感じなのだろうが、こういうセンスだと、「ブランド」は永久に育たない。
 「もの造り大国」なる、ここ数年の日本の流行語は、私はあんまり好きな言葉ではないけれど、中国の工業製品には「もの造り」へのこだわりが感じられないので、このままではいつまでたっても下請け段階から抜け出せないだろうと日本の某社の某社長がどこかで語っていたことには、同感だ。

 話がずれた。

 夜、夕飯に麺類を食べることはほとんどないのだけれど、「天壇」にもう一度行き、今度は塩ラーメンを頼んだ。前回食べたタンメンは、量が多くて、味もまあまあなのだが、醤油味だった。醤油味のタンメンというのも、不思議なものだが、私は、ラーメンに関しては「塩味」が基本的に好きなので、「塩ラーメン」を試してみたかったのだ。結論として、悪くはなかったが、野菜がやっぱり少なかった。次回はまたタンメンにしよう。
 ところで、店に入ると、あまり品がいいとは言い難い、数名のおやじが店内のあちこちに散らばって、お互いテーブル越しに怒鳴るように、大きな声で言葉を交わしながら、ソバや餃子を食べていた。そのうち、一人の携帯が鳴った。
 「もしもし…ああ、わかったか? 何? 昭和21年生まれで、大学は浪人せずに入り、4年間通ったが、結局中退なのか。ふーん」などと話している。何のことだろうと、聞くでもなく聞いていると、どうも、ヒューザーの小島社長のことらしい。
 そのうち、厨房のお婆さんが話に加わり、「マルぼうとかいう弁護士のこと知ってる?」と言い出した。すると、おやじ、「中坊かい? あれは、債券整理機構かなにかだったな」お婆さん「ううん、ちがうわよ」。どうやら、お婆さんの言う「マルぼう」という弁護士は、丸山弁護士のことではないかと思ったが、そのとき、別のおやじさんが、「マルボウといったら、誰それだぜ」と同僚らしき者の名前を言った。
 ん? マルボウって、マル暴のことか? どうやら、このあまり品の良くないおやじ集団は、警察の人間で、たまたま話に出て来た小島社長の経歴を自分の職場である警察に問い合わせていたらしい。職権乱用だぞ! 

マスコミったら…

2006-02-09 11:46:13 | Weblog
 昨年からずっと続いている傾向だが、「反小泉・安部」で、右と左が手を繋ぎたがっている。はしたないことに、「政策」抜きで。
 今回の皇室典範改正問題など典型的で、テレビ朝日のけさのモーニングショーでは、国会の会議中に「秋篠宮妃御懐妊」の一報を秘書官から受けた小泉首相が「えっ!?」と驚いた顔をした一瞬のテレビ画像を何度も何度も流し、その奥にいた安部官房長官が冷静な顔をしていたことと比較して、実は安部官房長官は、このとき既に知っていて、首相に知らせていなかったのではないかと、しきりに安部・小泉の仲を裂きたがっていた。
 これには、さすがに三反園政治担当レポーターも、官房長官が首相に情報をあげないということは絶対にあり得ないと断言していたが、司会者は、「その、あり得ないことが起こったのでは」と言いたげであった。
 しかし、真相はというと、流されたテレビ画像には音が入っていなかったが、小泉首相は秘書官が差し出したメモを読んでいるとき、質問者が、「首相! 何をしてるんですか、私の質問に答えて下さい」といった(正確には覚えていないが)発言をし、それを聞いて、「えっ!? な、なに?」といった顔になったのだ。
 実は私も、最初にニュースを見たとき、メモを見せられたときの小泉のびっくり顔に、「小泉は何も知らなかったのだな」と思ったのだが、別の局で再度同じ画像を見たら、「御懐妊」のメモに驚いたことは驚いたのだろうが、ちょっと異常な「びっくり顔」は、「首相、こっち向いて!」という質問者の声に反応したのだということに気づいたのだ。画像ぼろぼろのちっちゃな12インチのおんぼろテレビだってわかるんだから、テレビ局が気づかないでどうする。

 ところで、このとき、ゲストコメンテイターらしき見城ミエコ(愛称、ケンケン。誰も知らないだろうな)が、「なんで男性は、紀子様が妊娠される可能性のあることに気づかなかったのでしょう」と言っていたが、そんなことぐらい、わかっている。ただ、諸般の情勢から鑑みて、ここまで、端的、というか大胆な「行動」に秋篠宮が出るとは思っていなかったということなのだ。また、それを指摘してしまうと、兄弟の皇位を巡る抗争に、まさに「火に油を」注ぐことにもなりかねず、とても言い出せないことでもある。女はこれだからなー、と、つい思ってしまったケンケンの発言だった。

 ということで、問題は、皇太子殿下がどのように考えているかなのだが、誰もコメントを求めない。それはまさに、上記の事柄があるからだ。しかし、殿下の誕生日が刻々と近付いている。そのときには恒例の記者会見が開かれ、どうしたってこの問題についての感想を求められるだろうから、たぶん、そのときにどのように答えたらよいか、皇太子殿下は東宮御所の奥でただひとり、沈思黙考されているのだと拝察する。

 マンション強度偽装事件、姉歯物件以外にも表面化してきたようだが、住友不動産のチラシ配付で目立ったのが、「一級建築士」の事務所。一様に、「一級建築士」の看板をでかでかとかかげ、権威を強調するような建物が多い。自宅兼の事務所なんかに、とくにその傾向が強い。新宿近辺だけで即断はできないけれど、「一級建築士」という肩書きは、社会的にはずいぶん大きいのだなと改めて思った。
 ところで、その強度不足を指摘されたホテル、マンションは全国に相当数あるわけだが、それらがどの程度の地震を経験しているのか、マスコミのどこも調べている形跡がないのはどういうわけか。ビルの完成した年、建っている場所、それに地震記録の三つをつき合わせ、「やばい」と思われるビルを実地調査すればいいではないの。大学の研究室にビルの模型を作らせてゆさゆさ揺さぶるよりも。
 というのは、土木工学学会とか、機械工学学会などでは、それぞれどのような強度がよいか、基準値を定めているが、最低限必要と思われる数値より大分上乗せしている。建築基準法の場合、どうなっているかわからないけれど、同じく、かなり上乗せしているはずだ。人の命に関わることなので、当然とも言えるのだけれど、これに、日本人独特の「法意識」がからんでくると、ちょっとややこしくなる。
 たとえば、単純な話、高速道路の制限速度は80キロだ。しかし、実際には、みんな百キロオーバーで走っている。東名高速を80キロで走ったらかえって危ない。じゃあ、実態に合わせて制限速度を百キロにすればいい(もしかしたら、すでにそうなっているかも知れないが)はずだが、取り締まりにあたる警察の本音は、「制限速度をもうけたって、どうせ、守られないんだから、できるだけ低く設定することで、心理的に牽制し、全体の速度をおさえるほうがよい」といったところだろう。実際、日本の高速道路における事故件数が諸外国に比べて高いという話は聞いたことがないから、警察の「牽制作戦」は成功しているのかも知れない。あるいは、「牽制」とは別の要素で事故数が低く押さえられているのかもしれない。いずれともわからないのだが、どっちにせよ、もっとも身近な法規制である「最高速度制限」の曖昧な基準が日本人の法意識を歪め、それが無為意識のうちに「一級建築士」の遵法精神にも影響を与えているかもしれない。

 「ややこしい」と書いたけれど、それほど「ややこしい」話ではない。建築基準法の「基準」を下げろという話でもない。たぶん、「最低値」の4、5倍を設定しているのだと思うが、これは、そこに人が「住む」ことを考えれば、当然のことで、4、5倍もいらないから2倍にしておこう、といったことは許されない。しかし、建築基準法の「基準」を下回ったら、即、崩壊するという話ではない。(もっとも、「2倍」だと、直感的にだが、かなりやばい気がする。立地条件が悪いと「2倍」くらいではとても持たないかも知れないとか)
 いずれにせよ、そういった問題は、実際に違法建築がどの程度の地震を経験しているか、それによるダメージはどれくらいかを実地調査することでかなり明らかになるはずだ。

 賃貸マンションやホテルの場合は話は簡単だ。部屋を移るなり、ホテルなら営業を中止すればよい。しかし、分譲マンションの場合は難しい。今も、大半の住民が、地震の度に肝を冷やしながら住み続けていることだろう。ところが、マスコミは、こういった、やむを得ず住んでいる住人たちの危機感をやたらに煽ってばかりだ。もちろん、視聴率や新聞の売り上げ増を狙って。
 マスゴミと言われるのも、むべなるかな。

想定内

2006-02-08 13:39:47 | Weblog
…のことだったはずだけど、みんなびっくり、紀子様御懐妊。
 とりあえず、皇室典範改正は棚上げになるだろうから、このまま、もし、秋にうまれるお子さまが男の子だったら、そのお子さまが将来の天皇になるわけだ。やるなー、秋篠宮殿下。もちろん、雅子様に男の子が生まれれば、そちらが天皇になるが、雅子様が向精神薬を服用されているとしたら、妊娠は難しいらしい。
 正直言って、私は、秋篠宮より、現皇太子殿下のほうが好きなのだが、今のままだと、どうも現皇太子殿下は「悲劇の天皇」になるのかもしれない。でも、それはそれでかっこいいし、徳仁皇太子殿下はそういう役回りに耐えるだけの芯の強さをもっているのではないかと。

 南原企画の入っているビルの真向かいにあったレストランが閉店した。最初からお客は少なく、メニュー価格800円で、味もボリュームもなかなかだったランチを、1時~2時限定500円に値下げして集客をはかり、たしかにお客は集まったのだが、お客さんは格安ランチ目当てばっかりになって、他の時間帯に及ばず、遂に廃業に至った模様。これもまた、悲劇の一つであろうか。
 ちなみに、閉店して店の前に置いてあったポップ類が取り払われてはじめて、そのレストランが「じょうきげん」という名前であったことを知った。

 えー、訂正。柄谷行人の前夫人がママをしているスナックの名前は「クレッシェンド」ではなく、「アンダンテ」でした。前夫人は、なかなかきっぷのいい、美人ですよ。お詫びして訂正します。