黒岩涙香の怪奇推理小説、『鉄仮面』読了。
以前、一度読んだことがあるのだが、中身はほとんど忘れていて、でも面白かったことは覚えていたので、読み直したのだが、いやはや面白い。
フランスブルボン王朝の独裁専制君主、ルイ14世に叛旗を翻そうとしてことが漏れ、鉄仮面をかぶせられて幽閉された男を、その妻と部下たちが救おうとして30年近く苦心惨憺する、という話だが、救おうとするほうも救われるほうも、年々体力が衰えてゆく。しかも、鉄仮面はいかなる場合も外されることがなく、その正体は、国王と警視総監と、幽閉している牢獄長など数人しかいない。彼の妻も、部下たちも、状況証拠からみて、きっと夫だ、きっと御主人様だ、と推理しているだけで、真実は、救い出して、鉄仮面を剥いでみないとわからない。もちろん、読者にも知らされない。
まるで量子力学の不確定原理みたいな話で、最初読んだときは、そのために途中からいらいらしてしまい、ストーリーがすんなり頭に入らなかったきらいがあったのだが、今回は、全然イライラしなかったというわけではないけれど、いい加減にしてくれないかなあ、かつての美人ももうお婆ちゃんじゃないか、早くしないとみんな死んじゃうぜ~とイライラし出した頃に、大どんでん返しの解説に突入してくれて、助かった。
そのどんでん返しの詳細については一応ふせておくが、要するに警戒が厳しく、どうしても脱獄が無理ということで、最後の手段として一時的に仮死状態にする薬を鉄仮面に飲ませ、葬られた後で、墓地から掘り返す、ということにしたが、最後、鉄仮面を外したら……ヒエ~、ち、ちがう、という話で、全員がっくし、でも、せめて真実を知りたいと思い、蘇生薬を飲ませて生き返らせ、事情を聞こうとするが、飲ませるのが遅過ぎたか、生き返らせるのにも失敗、もはやこれまでと思ったところに、その鉄仮面が死ぬ直前に鉄仮面から最後の告解を聞いた教会の長老が現れ、真実を語るという仕掛け。
この最後に聖職者が現れて真実を語るというやり方は、『カラマーゾフの兄弟』もそうだったし、欧米の小説ではひとつのルーティンなのかもしれない。しかし、最後の「なぞ解き」を充分に生かすためには、それまでのお話をいかにがっちりと遺漏なく組み立てておくかが重要になるわけだが、翻訳とはいえ、その伏線のはり方など、さすが黒岩涙香、もしかしたら原作よりうまいのでは?と思わせるものがあり、面白かった。
ぐぐぐぅ~!
格差社会、ワーキングプア問題をとりあげた『朝生』で、自民党の世耕が、「負の所得税を研究中」とちらりと発言。これまで何度もとりあげたベーシックインカムのことだ。
しかし、例によって田原はそれを無視。というか、知らなかったのだろうが、当日のテーマからして、出席者の何人かは反応してもよいのではないかと思ったが、これまた無反応で、フォローする者もなし。『朝生』じゃあ、しょうがないか。
以前、一度読んだことがあるのだが、中身はほとんど忘れていて、でも面白かったことは覚えていたので、読み直したのだが、いやはや面白い。
フランスブルボン王朝の独裁専制君主、ルイ14世に叛旗を翻そうとしてことが漏れ、鉄仮面をかぶせられて幽閉された男を、その妻と部下たちが救おうとして30年近く苦心惨憺する、という話だが、救おうとするほうも救われるほうも、年々体力が衰えてゆく。しかも、鉄仮面はいかなる場合も外されることがなく、その正体は、国王と警視総監と、幽閉している牢獄長など数人しかいない。彼の妻も、部下たちも、状況証拠からみて、きっと夫だ、きっと御主人様だ、と推理しているだけで、真実は、救い出して、鉄仮面を剥いでみないとわからない。もちろん、読者にも知らされない。
まるで量子力学の不確定原理みたいな話で、最初読んだときは、そのために途中からいらいらしてしまい、ストーリーがすんなり頭に入らなかったきらいがあったのだが、今回は、全然イライラしなかったというわけではないけれど、いい加減にしてくれないかなあ、かつての美人ももうお婆ちゃんじゃないか、早くしないとみんな死んじゃうぜ~とイライラし出した頃に、大どんでん返しの解説に突入してくれて、助かった。
そのどんでん返しの詳細については一応ふせておくが、要するに警戒が厳しく、どうしても脱獄が無理ということで、最後の手段として一時的に仮死状態にする薬を鉄仮面に飲ませ、葬られた後で、墓地から掘り返す、ということにしたが、最後、鉄仮面を外したら……ヒエ~、ち、ちがう、という話で、全員がっくし、でも、せめて真実を知りたいと思い、蘇生薬を飲ませて生き返らせ、事情を聞こうとするが、飲ませるのが遅過ぎたか、生き返らせるのにも失敗、もはやこれまでと思ったところに、その鉄仮面が死ぬ直前に鉄仮面から最後の告解を聞いた教会の長老が現れ、真実を語るという仕掛け。
この最後に聖職者が現れて真実を語るというやり方は、『カラマーゾフの兄弟』もそうだったし、欧米の小説ではひとつのルーティンなのかもしれない。しかし、最後の「なぞ解き」を充分に生かすためには、それまでのお話をいかにがっちりと遺漏なく組み立てておくかが重要になるわけだが、翻訳とはいえ、その伏線のはり方など、さすが黒岩涙香、もしかしたら原作よりうまいのでは?と思わせるものがあり、面白かった。
ぐぐぐぅ~!
格差社会、ワーキングプア問題をとりあげた『朝生』で、自民党の世耕が、「負の所得税を研究中」とちらりと発言。これまで何度もとりあげたベーシックインカムのことだ。
しかし、例によって田原はそれを無視。というか、知らなかったのだろうが、当日のテーマからして、出席者の何人かは反応してもよいのではないかと思ったが、これまた無反応で、フォローする者もなし。『朝生』じゃあ、しょうがないか。