活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

消費税の真実伝えないマスコミ

2011-02-14 19:01:06 | Weblog
菅直人首相はさきごろの施政方針演説で、「消費税増税と社会保障制度の一体改革」を打ち出した。社会保障の財源として消費税を増税して、それに充てるというものである。

たいへん耳ざわりがいいが、中身はすべてがウソで塗り固められていることに注意したい。法人税を減税するにあたり、その財源として消費税を充当するつもりでいること隠しているからだ。過去に消費税を引き上げた時期には、必ず法人税率も引き下げられた経緯を辿れば自明のことである。

消費税率も現在の5%から10%と2倍に引き上げられることが予定されている。最早、不況から脱却できること絶望的である。それどころか景気はどん底状態となり、これに伴う社会不安もいっそう増幅されること疑う余地はない。

ただし、大企業が恩恵を受けることは相変わらずである。と言うより税率が10%になれば、2倍の節税額を得ることが可能となる。これほどおいしいものはない。経団連など財界が、消費増税を一生懸命、政府等に働きかけているのは、これを享受したいからである。

例えば、仕入れ税額控除や輸出戻し税が受けられることから、大企業の得られるメリットは計り知れない。

仕入れ税額控除では、派遣等の非正規雇用を採用することで、消費税額を節税できることから、非正規労働者は今よりもいっそう増えることとなる。非正規労働者が増え続けているのは、節税策として経営者がこれに目をつけたからだ。

輸出戻し税は、製品の輸出企業が支払った消費税額は全部還付されるシステムである。因みにトヨタの07年度分還付税額は約3200億円だった。ソニー、ホンダ、キャノンなど、上位10社だけで1兆1450億円の還付を受けているから、半端な数字ではないことが分かる。(斎藤貴男著 消費税のカラクリ 講談社より)これも賃金に回らず、ひたすら内部留保の積み増しに使われているから、堕落した経営者の延命の一助に利用されている。

新聞を始めとするマスコミはこれらの実態を報道しない。実態を報道すれば、見せしめに広告の出稿を止められるからだ。だから大企業の御用聞きであるマスコミは、増税が不可避であること世論誘導することに余念がない。

社会保障に名を借りた消費増税。弱きを挫き強きを助ける消費税ほど不公平な税制度は他にない。税制度の欠陥を国民に隠し、正しい情報を伝えないマスコミ。報道機関として完全に地に落ちたといえる。権力の片棒を担いで、真実を報道しないマスコミ。読者や視聴者より、勉強しないマスコミ。恥ずかしくはないか。