活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

ムバラク失脚は対岸の火事か

2011-02-12 21:01:58 | Weblog
82歳のエジプト・ムバラク大統領の退陣を求める反政府デモが始まったのは今年1月25日のことである。1月末にはデモがエジプト全土に広がり、政府の外出禁止令を無視する形で継続された。死者は150人を超え(最新数字は300人超)警察や治安組織も姿を消し、カイロ市内は無政府状態と化していた。

軍がデモ隊に対し、「武力行使はしない」と宣言したのもこの頃であった。2月4日には「追放の金曜日」として、即刻辞任を求めるデモ隊は、さらにエスカレート。ムバラクは野党勢力の懐柔に奔り、10日には「大統領の権限を副大統領に委ねるが、9月の任期を終えるまでは辞任はしない」とムバラク自身が国民向けメッセージを送った。

このメッセージにより国民の怒りは頂点に達した。とうとう昨日11日には、「勝利の金曜日」と名付けた辞任を求めるデモ隊を前に大統領職を辞任することを決断したという。エジプトの輝かしい新時代の幕開けである。

ムバラク在任中の30年間は、腐敗した強権政治がはびこっていた。格差社会が醸成され、あらゆる階層、特に若年層の高い失業率が梃入れされることなく、放置されていたことから不満が渦巻いていた。

さらには腐敗したムバラク政権から続々と生まれた特権階級が、多方面に亘り支配していたことで、国民は抑圧された生活を余儀なくされていた。行き過ぎた親米路線も生活疲弊を加速させていた。

振り返ってわが国はどうだろうか。エジプトに似てはいないだろうか。「国民の生活が第一」から、すっかり後退した政策と対米従属外交を進める、菅民主党政治に国民の不満は鬱積している。貧困層もいちだんと広がっていることは政情不安の最大要因である。ムバラク失脚は決して、「対岸の火事」ではないのだ。