活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

自民党は「靖国」上映支援を

2008-04-08 21:15:23 | Weblog
ドキュメンタリー映画「靖国」が4月12日から封切り予定の映画館5館すべてが、残念ながら中止に追い込まれてしまいました。

中止の背景は、ある週刊誌が「反日的」映画と決め付けたことから、自民党稲田朋美衆院議員と同議員が会長を務める「伝統と創造の会」の同党若手議員たちが、この映画に助成金を出した文化庁に「選考過程がおかしい。自民党としてこの問題を取り上げたい」と文句をつけたことで、これを聞きつけた右翼による、上映中止を求める街宣行動が活発化し、トラブルを避けるために映画館側が自主的に中止を決めたというのがおおよその経緯です。

圧力による上映中止は憲法で定められた「表現の自由」が葬られたことを意味します。

稲田議員側も「内容が問題だから事前に見られないか」と公開前にもかかわらず、文化庁に試写会を要求したりと戦前を思わせる「検閲」に当たる行為をしたこと自体、上映中止の圧力をかけたこと拭い去れません。きわめて問題ある行動といえます。

同議員は5館の中止が決まると、手のひらを返すように「上映中止は残念だ。(国会議員を対象の)試写会では内容に引き込まれた」と内容に問題はないと受け取れるようなコメントをしました。これと相前後して「中止は遺憾」、「表現の自由に圧力は不適切」と福田首相及び町村官房長官も発言しました。これで「靖国」に対する文化庁の助成金支出は、正当化されていると考えるのが普通の人の感覚でしょう。

これだけ問題を大きくした稲田議員は「中止は残念」と語った以上、この映画の上映を積極的に支援する必要があります。それをしないということは、本心とは裏腹のコメントをしているものと思えますし、文化庁の助成金支出の疑義に名を借りた、単なる売名行為をしたように見えるのです。本当の狙いは上映中止にあったのではと勘ぐられても仕方ありません。いずれにしても、自ら事態収拾に動く必要があります。

稲田議員の失った信頼を回復するためにも、ここは自民党議員たちが、観客の安全を保障し、上映を実現させることにあらゆる努力を惜しまないよう求めるものです。こんかいの事態について、自民党議員の対応の鈍さも気になるところです。