Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

土着宗教

2011-05-13 21:53:16 | 読書ノート
さすが後半の2連休ともなると好きなジャンル(ただ考えたくない、難しいのは勘弁。)の本に手が出ます。
で、積読丘陵から次の二冊に目を通しました。

「激変! 日本古代史 卑弥呼から平城京まで 」(足立倫行 朝日新書)
古代史における「倭国」の体制について書かれています。

「日本の道教遺跡を歩く」(福永 光司 ・ 千田 稔・ 高橋 徹 朝日選書)
古代史における人々の精神の源流について書かれています。

「激変! 日本古代史 卑弥呼から平城京まで」について

邪馬台国の九州説、近畿説、倭国の女王卑弥呼の陵墓、吉備・出雲で墳丘墓、聖徳太子と大化改新、伊勢神宮の誕生等について書かれています。
著者は、文献学者大山誠一氏の説に多くを負うと語っており、「邪馬台国は九州にあった」とか「箸墓古墳の被埋葬者は誰だ。」と踏み込んだ仮説を構築するまでには至っていません。
これは、素人の古代史を研究している者の限界であり、また、素人ゆえの知的な楽しみでもあると考えます。

古事記の偽書説が以前からありますが、この本においても取り上げられており、序文の偽造の可能性があるとされていますが、学界では相手にされていないと。
ど素人の僕は、序文の偽造説に分があると妄想しています。


「激変! 日本古代史 卑弥呼から平城京まで 」

「日本の道教遺跡を歩く」について

この本は学術的であり、天武天皇が向かった吉野には、いったい何があったのか、なぜ桓武天皇は、長岡京にこだわって造都したのか、出雲・伊勢・宇佐の三大社のなりたちなどについて、また、京都、吉野、出雲など日本各地の古代遺跡を探訪し、日本の信仰の源流をたどっており、道教の影響を検証しています。

本書とは逸れますが、天皇の称号の由来を道教の「天皇大帝」に、また、宮中の四方拝の儀式は道教の宗教儀礼そのまま、天皇大帝の聖なる権威を象徴するものとして鏡と剣の二種の神器であり、中臣氏(中臣鎌足か?未確認)が三種説を主張して勾玉が加わり、三種の神器となったとされています。

また、現在の市民の生活の、元旦、初詣、節分、宮参り、ひなまつり、端午の節句、七夕、お札、お守り、おみくじ、門松、 注連縄、流し雛、易者等は道教に由来するものです。

当時、倭国では国全体が道教の強い影響を受けていたことが分かります。

本書は、近代、道教の影響を疎んじているが、その理由は、道教は土着宗教のため儒教、仏教より「下」と見ているためと指摘しています。


「日本の道教遺跡を歩く」

(2011.05.08記)