Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Landscape42. 山陽路・成和町坂本

2008年03月13日 | field work
 明けて5日目、宿泊先のラ・フォーレ吹屋から、棚田と石垣のある民家が点在する山間部の道を徒歩で下ること1時間程で、中国山地の山奥に静かにたたずんでいる西江邸が見えてくる。先に紹介した広兼邸と同様に、ローハと紅殻の生産を行ってきた豪商、西江家の邸宅である。建設は1704〜1715年頃と推定され、江戸時代の建築様式を今に伝えている。また代官御用所を兼ねていたので、裁きの場である白州も設えられている。現在国登録有形文化財であり、西江家が民家の管理を代々引き継いでいる。従って今も夫婦が住んでおり、上の写真の門脇の右側の棟が住まいになっている。これに隣接し、染め工房があり、伝統工法を用いた工芸作品を制作している。
 門をくぐると小庭園を囲むように、母屋、寺子屋、お白州の場、蔵などが巧みに配置されている。小庭園を中心とするクラスター的配置の巧みさ、各建築間に発生するスリット状の空間とこれを活かした庭園、折れ曲がる動線とアイストップや視界の変化といった具合に、建築言語が多用に見いだされるなど、変化に富んだ風景を形成している。
 このような民家と庭との巧みな関係性あるデザインを見ていると、京都大徳寺の高桐院や孤篷庵を思い出す。こうした空間の設え方の上手さは、日本人の優れた特質なのかも知れない。個人的には、西江邸のように建築の量感と隙間の量感とが巧みに組み合わさり、変化呼応するデザインが、好きである。海外建築家で例をあげれば、リチャード・マイヤーがデザインした「アセニアムホール」だろう。それは一つの建築のなかに庭園的感性を詰め込んだデザインだといえるだろう。
 
Canon EOS Kiss Didital  F3.5-5.6/EF18-55mm
Canon EOS3,EF F3.5-5.6/28-135mm
エクタクローム,CanoScan.
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