日本建築の雨に濡れた瓦屋根は大変美しい。惜しむらくは上の方から眺める機会が少ないことだ。この黒谷のあたりは、小高い丘なのでアップダウンがあり、結構上から眺め降ろす視覚が生まれる。そればかりか遠く京都の市街地まで見下ろせる。
街の中に小高い丘があるところを私の経験で思い出すと、ローマ、横浜市、名古屋市緑区大高地区、それに京都市である。つまり坂道があり、それを登ると街が一望できるというのが理想型である。
そう考えれば東京都も都心部は根津とか湯島とかお茶の水といったあたりにアップダウンがあり、富士見坂と名付けられるぐらいだから、富士山が昔は見えたぐらいに眺望は良かった。安藤広重の江戸名所図絵などには、街から富士山を遠望している図版が多い。さて現代では、富士山はおろか高層建築群で街を見下ろすことも不可能である。東京も随分つまらない街になったと思われる。街がつまらないと人情もつまらなくなるというのが私の理論である。
京都から東京に移り住んだ人いわく、東京のお寺の建築はおおざっぱであり、和菓子も京都のような手の込んだものではない、という感想を聞いたことがある。
東京人が東京感覚で物事を語ると、京都人は、はあそうどすかと聞いているが、内心は、はてあの程度のものが、そんなに話題になりはるんやろか!、と首をかしげるでしょう。それでいて東京というのは、何かにつけ物が高く、家をなおしても、また個展一つやるにしても、もっといえばお墓一つつくるにしても、雑な割には、結構な金額を要求される。
作家であり日本橋生まれという典型的な東京人である谷崎潤一郎も、京都に棲み続け、春琴抄など名作を生んでいる。京都という土地に1度は住んでみる、それはある種東京人のあこがれなのかも知れない。
金戒光明寺,2012年4月22日
OLYMPUS PEN E-P3,LEICA DG MACRO-ELEMARIT45mm,f2.8
ISO200,露出補正-1/3,f5,1/320,モノトーン
街の中に小高い丘があるところを私の経験で思い出すと、ローマ、横浜市、名古屋市緑区大高地区、それに京都市である。つまり坂道があり、それを登ると街が一望できるというのが理想型である。
そう考えれば東京都も都心部は根津とか湯島とかお茶の水といったあたりにアップダウンがあり、富士見坂と名付けられるぐらいだから、富士山が昔は見えたぐらいに眺望は良かった。安藤広重の江戸名所図絵などには、街から富士山を遠望している図版が多い。さて現代では、富士山はおろか高層建築群で街を見下ろすことも不可能である。東京も随分つまらない街になったと思われる。街がつまらないと人情もつまらなくなるというのが私の理論である。
京都から東京に移り住んだ人いわく、東京のお寺の建築はおおざっぱであり、和菓子も京都のような手の込んだものではない、という感想を聞いたことがある。
東京人が東京感覚で物事を語ると、京都人は、はあそうどすかと聞いているが、内心は、はてあの程度のものが、そんなに話題になりはるんやろか!、と首をかしげるでしょう。それでいて東京というのは、何かにつけ物が高く、家をなおしても、また個展一つやるにしても、もっといえばお墓一つつくるにしても、雑な割には、結構な金額を要求される。
作家であり日本橋生まれという典型的な東京人である谷崎潤一郎も、京都に棲み続け、春琴抄など名作を生んでいる。京都という土地に1度は住んでみる、それはある種東京人のあこがれなのかも知れない。
金戒光明寺,2012年4月22日
OLYMPUS PEN E-P3,LEICA DG MACRO-ELEMARIT45mm,f2.8
ISO200,露出補正-1/3,f5,1/320,モノトーン