書道家Syuunの忘れ物

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美辞麗句して何かすっぽり抜け落ちた首相所信表明

2011-09-13 17:54:31 | 民主党政権綴り
美辞麗句して何かすっぽり抜け落ちた首相所信表明

こういう所信表明というのは何やら文章に酔ったようなものが多くてヘキヘキすることが多い。その典型例というのがいつも問題にされる憲法前文であると感ずるものでもある。
この所信表明の中で特徴的なのは増税を二回も述べていることである。

それは、「2、東日本大震災からの復旧・復興」の「復興財源」で
復旧・復興のための財源は、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合うことが基本です。
まずは、歳出の削減、国有財産の売却、公務員人件費の見直しなどで財源を捻出する努力を行います。
その上で、時限的な税制措置について、現下の経済状況を十分に見極めつつ、具体的な税目や期間、年度ごとの規模などについての複数の選択肢を多角的に検討します。
3、世界的な経済危機への対応
「財政再建は決して一直線に実現できるような単純な問題ではありません。政治と行政が襟を正す歳出削減の道。経済活性化と豊かな国民生活がもたらす増収の道。そうした努力を尽くすとともに、将来世代に迷惑をかけないためにさらなる国民負担をお願いする歳入改革の道。こうした三つの道を同時に展望しながら歩む、厳しい道のりです。
 経済成長と財政健全化は、車の両輪として同時に進めていかなければなりません。」

よく見ればこの二つの項目は全く一緒のことを言っている。
その「次の世代に負担を先送りすることなく」増税と言うことであるのだが、次の世代に負担を先送りするどころか就職先もなく潰れてしまえば元も子もない。
そして、「歳出の削減、国有財産の売却、公務員人件費の見直し」と従来通り何の具体性のない一般論。所信表明演説だから一般論で良いのかも知れないが「郵政・郵便局」を持ち出していることから実際はそうとも限らない。
端的に言えば、「歳出の削減、国有財産の売却、公務員人件費の見直し」はやらないと言うことだろう。この3つを徹底的にやるとすれば多分それだけで政治史には名前が残るかも知れないという難題もある。
従って、都内一等地にある無駄な公務員宿舎や凍結されていた何百億円という真っ先に公務員宿舎の建設を止めさるとか、「日本たばこ産業株式会社(JT)の株を売却」ということも具体的に盛り込むと言うことは一切無い。なぜないのかと言えば、財務省案件だからである。

「こうした三つの道」
1-(政治改革・行政改革)政治と行政が襟を正す歳出削減の道。
2-(デフレ対策)経済活性化と豊かな国民生活がもたらす増収の道。
3-(増税)そうした努力を尽くすとともに、将来世代に迷惑をかけないためにさらなる国民負担をお願いする歳入改革の道。

実は、この前段にこういう文章がついている。
主要先進国の中で最悪の水準にあります。『国家の信用』が厳しく問われる今、『雪だるま』のように、債務が債務を呼ぶ財政運営をいつまでも続けることはできません。声なき未来の世代に、これ以上の借金を押し付けてよいのでしょうか。今を生きる政治家の責任が問われています。
これは財務省の言い分そのままの感じなのだが、この文がある故に三つの道は3-の増税しかないと言う論理である。
1-(政治改革・行政改革)や2-(デフレ対策)はどうなったのかも一般論でお茶を濁して具体性はない。
もし政治改革というのなら直ちに政治資金規正法の改正をして菅元総理、民主党からの不明朗な政治資金の横流しなどは禁止すべきだろう。
又、「国家の信用」が厳しく問われるのになぜ円高になるのか政府は誰も説明していない。
実際それを説明したら増税も出来ないと言うのは笑い話である。なぜなら、国民から増税までして国債を守るというのであればこれほど安全な日本円はないからである。
ここで「経済成長と財政健全化は、車の両輪として同時に進めていかなければなりません。」と言うのだが、バブルの時を思い起こしてみよう。
あれだけ税収が上がって赤字国債をゼロに出来た筈なのに、国債はたいして減っていないはずだ。普通の国民や民間企業ならばまず借金を減らすというのが始めに行われることで、それがバブル崩壊後のデフレの一因にもなっている。
しかし、国というのは道楽息子そのままで税収が上がればその分使ってしまう。あの箱物行政の残滓をみれば、役人に金を与えてろくなことにならないというのは明らかである。そうであるから、 復興増税、財源とはいうもののどういう使い方をしているのか疑問にところである。
「金があるから何でも言いなりで使ってしまえ!!!!」ということが聞こえてくるのはどういうことか。

この首相所信表明の要旨は、ロイターに「情報BOX:野田首相の所信表明要旨」と言うのがある。



この中で
▽閣僚辞任
 ・不適切な言動で辞任した閣僚が出たことは誠に残念。信頼を取り戻すためにも、原発事故の収束と被災者支援にまい進。
▽国家の信用
 ・政治が指導力を発揮せず、物事を先送りすることを「日本化する」と表現し、揶揄(やゆ)する海外の論調がある。国家の信用が危機にある。

と言うのが、新聞各紙に書かれている首相所信表明には一切書かれていない。
閣僚辞任の件は冒頭の陳謝でありそうなことなのだが、次の「国家の信用」というのは妙である。
そして「物事を先送りすることを『日本化する』と表現」と言うのだがあまり聞いたことがない。
物事を先送りすることを「日本化する」と言うのならどんな国にも当てはまり、こういう表現は朝日新聞特有の言い回しであることは過去を知っていればよく分かる。

かって朝日新聞が広めようとした「安倍(アベ)る」。
これは、朝日新聞が「自分に責務を自覚出来ず職務を放棄する。」表現として普及させようとしたが普及しなかった過去がある。
逆にその朝日に対して「アサヒ(朝日)る」ということが普及した。
「アサヒる」とは「朝日新聞社が記事を捏造すること。また、自国の利益より外国の利益を優先すること。転じて、マスコミや報道機関による捏造、ヤラセ行為全般にも使われている。」
こういう「~る」という表現は死語になってしまっている。
それが未だに「日本化する」というのは余程左巻きの連中の思考回路でしか無いだろう。

そしてそのロイターの要旨に抜けているのは「4、希望と誇りある日本に向けて」である。

東日本大震災と世界経済危機という『二つの危機』を克服することと併せ、将来への希望にあふれ、国民一人ひとりが誇りを持ち、『この国に生まれてよかった』と実感できるよう、この国の未来に向けた投資を進めていかなければなりません。

「この国に生まれてよかった」と言うのなら、常識的に過去の歴史観と安全保証だと思うのだがそんなことは一切書かれていない。
『失望や怒り』ではなく、『ぬくもり』ある日本を取り戻さなければ、『希望』と『誇り』は生まれません。」と言うのなら過去において日本を守った人達への敬意ではないか。
しかし、そんなことは一切書かれていない。
そこに書かれているのは、日本国籍を持たない外国人でも日本国憲法下の社会保障が受けられるということ。
そして驚くべきことは、「日本人が『希望』と『誇り』を取り戻すために、もう一つ大事なことがあります。それは、決して『内向き』に陥らず、世界に雄飛する志を抱くことです。」という日本を捨てろという話。
この辺はあの大前研一氏に似てきた感じがして、いっそのこと日本語を止めて全て英語にしろと出も言い出しそうである。
しかし、世界のどこの国にいようと自分の祖国に対する愛国心が無ければ誰にも信用されないのと同じように、日本人には日本人の愛国心を育てると言うのがやはり必要ではないか。
しかし、そんなことは一言も書かれていないと言うのが所信表明である。
冒頭「政治に求められるのは、いつの世も、『正心誠意』の4文字があるのみです。」と言う事柄に「愛国心はあるのか」という馬鹿な言葉を掛けなければならないというのは、一種異様な風体の民主党の実態である。