気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Memory Man by David Baldacci

2015-06-14 08:38:55 | 読書感想

深夜、張り込みから帰宅したBurlington 警察の刑事Amos Deckerは妻と娘が殺されているのを発見する。愛する人を失った悲しみから彼は自殺を図るが、駆けつけた警官によって止められる。
彼は 警官になる前、Burlington出身の唯一のプロフットボールプレイヤーとして、全市民から期待されていた。しかし、デビュー戦で頭を強打し、生死の境をさまよう。奇跡的に命を取り留めた彼は、選手生命を無くすが、代わりに観たものすべてを記憶する能力を身につける。
彼は警官になり、その能力を生かし、相棒のMary Lancasterとともに犯人逮捕に優秀な検挙実績をあげていた。
しかし、妻子が殺された後、その特殊能力の故に、惨たらしく殺されていた妻子の記憶が際限無く彼の頭に浮かび、働く気力を無くした彼は、警官の職も自宅も失う。そして、生活費を得る目的で、私立探偵となり、元同僚の警官たちの紹介してくれる仕事で、かろうじて今日の食事をありつけるホームレス一歩手前の生活をしていた。
そして、事件から16ヶ月経った今、元パートナーだったLancasterが彼を訪ねてきて、男が出頭して彼の妻子を殺したことを自供したと伝える。
男はSebastian Leopoldと名乗ったが、ホームレスで身元を証明するものは持っていなかった。Leopoldは事件の一ヶ月前、7ーElevenでDeckerが彼をバカにしたことに恨みをもって、彼の妻子を殺したと供述していた。しかし、完璧な記憶を持つ彼は、7ーElevenでLeopoldが言ったような出来事の記憶がなかった。
Deckerは、彼の母校でもあるMansfield高校で起こった銃の乱射事件で署内が騒然としている状態を利用して、弁護士を装ってLeopoldに会い、彼が真犯人であるか見極めようとする。Deckerは自らの記憶と照合しながら、Leopoldから犯行の内容を聞き出し、彼がマスコミに載っている事実以外、警察が内部留保している事実を供述しないことから、Leopoldは犯人ではないと確信する。
Leopoldの尋問の後、家に戻ったDeckerは待ちかまえていた元上司の警部Millerから、無断で権限もないのにLeopoldに会ったことに釘を刺される。
だが、元同僚だった刑事たちの子供たちが通うMansfield高校の銃乱射事件が気になって様子を見に行ったDeckerは、Millerからofficial consultantとして事件の捜査に加わるように要請される。
Deckerは事件の現場に佇む人々の悲しみを観て、さらに、犯人が誰にも目撃されずに現場から逃走できたことに興味を抱き、捜査に協力することに同意する。
事件現場と目撃者たちの証言記録をすべて彼の記憶に刻みつけ、その記憶を検証した彼は次々と犯人の痕跡を突き止めていくが、犯人へとたどり着く手がかりは得られずにいた。そんな中、彼は、この事件で使用された銃が彼の妻を殺した銃と同じものであることを知らされる。
Deckerは、妻子が殺された事件はcold caseとなってしまったが、この事件の犯人を逮捕することが妻子殺しの犯人を捕まえることになると知り、動機、手がかりを徹底的に追及していくことを決心する。
それは やがて今以上の絶望感に彼を直面させることになるのだが・・・

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捜査が行き詰まったら、現場に戻るという現場100回という言葉が刑事にあるが、このDeckerはまさに、その言葉通りの行動をとる。現場に佇んで、その風景を心に記憶させ、目撃者の証言などと照らし併せて、じっと手がかりを探る。
またこの物語の中には犯人の侵入、逃走経路についての謎解きがあるが、学校の校内の見取り図があると読む方は助かる。

メモリーの記憶という点、色とか数などがからんで、ちょとまどろこっしい。同じような設定のBrenna Spectorのほうがすんなり物語にとけ込んでいる。
ただ、完璧な記憶能力を持っているために、忘れたい妻子が殺されていた場面が目の前に浮かんできてしまう。完璧な記憶をもっているなんて羨ましいと思っていたが、そういう負の一面もあると書いてあるのは新鮮だった。

Deckerというキャラがしっくりこなかった。妻子を殺されて生きる気力を無くして自殺を図る。ふつう、こういう場合、犯人を突き止めることに執念を燃やすことを期待して読む、迫力不足。

犯人の執拗なまでのDeckerへの執着理由がなかなか明かされない。Deckerも必死に考えるのだが分からない。理由が分かったとき、ちょっと犯人にも同情してしまう。それを見透かしたような最後のどんでん返しにはビックリ。

 ★★★★ Kindle版 405ページ

 


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