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The Last Mile (Amos Decker #2) by David Baldacci

2016-09-11 10:30:24 | 読書感想


大学時代、将来を嘱望されたフットボールプレーヤーだったMelvin Marsは、両親を殺した罪で死刑を宣告される。それから20年間、彼は、テキサス州の州刑務所、処刑室から1マイル(last mile)しか離れてない死刑囚監房に収監されていた。彼は無実を主張して何度も裁判のやり直しを提訴したがことごとく棄却されてしまい、今は、彼も自分が処刑されることを覚悟していた。しかし、処刑当日数時間前、彼の両親の殺害を自白した男Charles Montgomeryが現れ、彼は処刑を延期すると告げられる。


元プロフットボールプレーヤーでプレー中、頭を強打する重傷を負ったAmos Deckerは、選手生命を絶たれた代わりに見聞きしたこと全てを記憶する能力を身につける。元警官だった彼はFBIのRoss Bogart捜査官がFBI内に創設した迷宮入事件(cold case)を捜査するチームに加わるためヴァージニアにあるFBI本部に向かう。その途中、彼はラジオのニュースでMars の死刑執行の延期を知る。彼は、大学時代、彼のいたチームと対戦し、彼のおかげで完敗したことを思い出す。彼は事件に興味を持ちネットで事件を検索し、一年半前に自分の妻子が殺された事件と彼の事件との類似性に気づく・・事件が迷宮入りになってから突然犯人が名乗り出るという類似性に。彼は、この事件を特捜チームの初仕事とするようメンバーに主張する。そして、他のメンバーが真犯人が名乗り出ている以上、捜査する意味がないと主張するのに対して、彼は、長い沈黙の後、突然、自分が真犯人だと名乗る男の自供には疑わしいものがあると話し、メンバーを説得する。

DeckerはMarsもCharlesも両親殺害の犯人ではなく、真犯人は他にいるという考えを持って捜査を進める。もしCharlesが犯人でないならば、警察と犯人しか知らない情報を彼に与えてMarsを釈放させようとしている人物は真犯人しか考えられない。今頃になってMarsを釈放させようとしている意図は何か?MarsとCharlesは知り合いだったのか?また、真犯人は、3週間後、他の殺人罪で死刑が執行される収監中のCharlesと何処で接触したのか?CharlesはMarsが処刑寸前という絶妙なタイミングで罪を告白した。どうやってMarsが処刑されることを知ったのか?彼はMarsやCharlesと会いその答えを得ようとする。

また、Deckerは、犯人はMarsの両親に怨みを持った人間の可能性が高いと考えて、彼らの過去について捜査を進めるが、彼は奇妙な点に気づく。彼らの過去はFBIの調査能力を駆使しても2人がここに来るまでに、何をしていたのか?何処から来たのか?突き止めることができなかった。また、彼らは極端に写真を撮られることを嫌い、家には彼らの写真が全く見当たらない。息子がプレーヤーとしてマスコミからも注目され、彼らも息子についてインタビューを申し込まれるが、ことごとく拒否していた・・まるで世間から身を隠しているように・・

両親と犯人との接点は発見できなかったが、DeckerはCharlesと犯人との接点の役割を果たした人物を突き止める。しかし、Deckerのミスにより、犯人像を聞き出す前に犯人に先手を取られて手がかりを失ってしまう。
そんな中、Deckerは犯人がMarsを出獄させた理由についてある仮説を立てる。そして、そんな彼の仮説を裏付けるような最悪の事態が発生する。

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犯人は、かって、Marsを罠にはめて死刑囚監房に彼を送り、20年後、突然、彼を死刑執行から救い、釈放させる。相反する行為を取った犯人の意図が謎として読む者を惹きつける。刑事時代に培われた洞察力の冴えと見聞きしたことすべてを記憶できる特殊能力で、Deckerがこの謎に挑んでいく。わかっている事実から事件についての仮説を立て、それが真実かどうか捜査する。彼の推理は、すごく論理的でこちらも物語に入っていきやすかった。彼の立てた仮説が捜査によって崩れると、また新しい仮説を立て捜査を進めていくというスピーディーで予想外な展開で一気に読めた。

ただ、チームによる捜査ということでは、Decker、ひとり活躍しているようで、チームの連携という点で物足りなかった。次作からもこのチームで行きそうなので、他のメンバーの活躍も期待したい。

E-book(Kindle版) ★★★★  418ページ  2016年4月出版 811円(2016年購入)

 


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